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危険な「宇宙ゴミ」を大気圏に引きずり込んで燃やす 宇宙の掃除人「スペース・スイーパー」がすごい

危険な「宇宙ゴミ」を大気圏に引きずり込んで燃やす 宇宙の掃除人「スペース・スイーパー」がすごい

米ロ中の宇宙開発の結果もたらされたスペースデブリ(宇宙ゴミ)は、ついに互いの衝突によって自己増殖をし始めています。人工衛星同士の衝突事故も発生するなか、旧大蔵省からマッキンゼーを経て独立した岡田光信氏が、自身の乗り出した「宇宙の掃除ビジネス」について語りました。(TEDxTokyo2014より)

スピーカー
アストロスケール社CEO 岡田光信 氏
参照動画
岡田 光信 at TEDxTokyo 2014

自己増殖をはじめたスペースデブリ

spaceec_R-590x323 岡田光信氏(以下、岡田) 皆さん、こんにちは! 私は15歳の時に、アメリカのNASAのジュニアプログラムに参加しました。その時、日本人初の宇宙飛行士の毛利さんが、この手書きのメッセージをくださいました。 1 「宇宙は君達が活躍するところ」と書いてあります。これで私の宇宙に対する情熱に火が付き、そこから一生懸命勉強しました。ただ宇宙は、私が思い描いていたものとは違いました。見てください。 2 この赤い点がなんだか、想像がつきますか? これは、ロケット本体や古い衛星等が、衝突し爆発することで出来た破片です。地球の周りを秒速8キロで飛んでいます。これは銃弾の20倍の速さです。赤い帯に見えるところが、一番破片が混んでいる場所で、非常に危険です。 想像してみてください。スペースシャトルや国際宇宙ステーションのような有人の飛行船が、この写真のどこにいるかわかりますか? この赤い帯と、緑で示している地表、その間です。ここに私たちは閉じ込められているのです。人がこの赤い帯を超えた、一番最近の記録は、1972年のアポロ17号の月探査です。もう42年も前のことです。 3 私たちはこの間に閉じ込められてしまっているので、赤い帯の所で衛星と破片衝突するという脅威が、どんどん大きくなっています。衛星とデブリ(「debris」=宇宙ゴミ)それぞれが、ぶつかり始めているのです。世界の例を見てみましょう。エクアドルは自国初の衛星を、昨年打ち上げました。国は大歓喜でした。しかし1か月後、衛星とデブリが衝突してしまったのです。この国がどれほど悲しんだか、想像できますか? 他の例です。これも大きな事件です。アメリカの衛星とロシアの古い衛星がぶつかり、その結果、衛星は1000以上のデブリになってしまいました。それぞれのデブリが、他の衛星を吹き飛ばすほどの力を持っているのです。そしてこれらに吹き飛ばされた衛星もまたデブリになるという、連鎖反応が始まります。この連鎖反応は「ケスラーシンドローム(Kessler Syndrome)」と呼ばれています。 残念ながらこの連鎖は、すでに始まってしまっています。これは皆が同意するところなのです。スペースデブリは、宇宙空間だけではなく、私たちの毎日の生活にも影響しています。 例えば大きな嵐や台風、津波が来るという情報が届かず、何も準備できなかったらどうなるでしょう? 皆さんの大好きなテレビ番組やワールドカップが見られなかったらどうですか? GPSが使えなかったらどうなるでしょう? 船や飛行機がGPSを使えなくなったら、物流が全て止まってしまいます。証券取引所が混乱してしまったら、世界はどのくらい混乱するのでしょうか? つまり私たちの毎日の生活というのは、衛星技術に本当に大きく依存しています。ですから誰かが、このデブリの問題を解決しなくてはいけません。では、誰ですか? 誰がこの問題を解決するのでしょう? 政府でしょうか? 政府や宇宙機関はこの問題をきちんと認識しています。では何か成果は出ているのでしょうか? まあ、出ているのかもしれません……ですが、デブリの数はどんどん増えていて、明確な解決策はありません。その理由は、この問題に対しては宇宙関連費用の約0.2%、またはそれ以下の費用しか使われていないからです。どうしてでしょう? 4 それぞれの国にそれぞれの言い分があります。ロシアとアメリカ、中国の3ヵ国で宇宙物体の9割以上を占めています。彼らはこう言うでしょう。「私たちはすでに、世界に十分貢献しているから、そろそろ恩恵を受けている人たちが費用を持つべき時期じゃないの?」しかし他の国はこう言うでしょう。「私たちはまだ手を汚してないでしょ? 勘弁してよ。3ヵ国が払えばいいじゃないの」……こんな議論は出口がありません。地球温暖化と同じですね。 もっとわかり易い例をご説明しましょう。高速道路で車が故障したら、どうしますか? 車を撤去しますよね。そのための費用を払い、また保険代も払っています。それによりこの撤去費が賄われています。地上の高速道路では、責任、お金、警察、クレーン車、全てそこに存在しています。しかし宇宙の高速道路、つまり軌道にはルールもなければお金もないのです。それが問題なのです。

人類が自らもたらしたデブリを無くすために

岡田 ではどうしたらいいのでしょう? 2つの選択肢があります。1つは、無視をする。何もしない、我慢して受け入れる。私たちの子供が苦しむかもしれませんが、まあ、そのままでいいんじゃないの? というのが1つ。 もう1つは協力をする。アクションを起こす、変化をもたらす、ということです。私は行動することに決めました。民間会社として、行動を起こすことに決めたのです。「Space Sweeper」というチームを作りました。宇宙の掃除人という意味です。この人たちはプロで、国籍も性別も多様で、非常に素晴らしいチームです。 小さな会社が、こんな大きなリスクを取るべきではないと思う方もいるでしょう。実際、宇宙産業には、明確で具体的なビジネスモデルはありません。現在のところ、政府から資金を得られるというシステムしかありません。それでも少しずつ進む方法があるのです。「Space Sweeper」を止めることはできません。 5 これは私の発明した「BOY」です。「BOY」は小さなものですが、とても力強いのです。この「BOY」は自分より大きなデブリにくっついて、大気圏まで連れて行って、そこで燃やすことが出来ます。どのようにして連れていくのでしょうか? 全てのデブリは地球周辺を回っていて、この性質を利用しています。デブリと一緒に取りついた「BOY」も地球周辺を回り、減速させるためにデブリを強く押します。 6 そして軌道の形を変え、大気圏に突入させ、燃やすのです。 7 100年以上軌道を回っていたデブリを、2日間で地表に連れてくることが出来ます。これが私たちが出来ることです。マザーシップには6機の「BOY」が入っています。マザーが一機ずつ「BOY」を解き放ちます。そしてデブリを大気圏に連れて行きます。 8 ……はい、お金が必要です。私はお金持ちではないんですね。でも方法はあります。今私たちは素晴らしいアイディアを募って、さまざまなスペースプロジェクトを行い、そこからキャッシュを生み出しています。そのキャッシュを使って、研究開発や実験を行っています。マザーと「BOY」を実用化したら、衛星のメンテナンスサービスを、宇宙の軌道上で提供します。 例えば衛星の写真を撮ったり検査をすることで、大小さまざまなダメージをフィードバックします。修理という補完サービスもありますが、アンテナが壊れているような場合、マザーがその電波をリレーして地上に届ける「Tugboat」というサービスもあります。また衛星というのは、軌道から少し外れることがあります。それをBOYが押すことによって軌道に戻し、衛星の寿命を延ばし燃料も節減することが出来ます。 これらが私たちが、スペースデブリの除去以外に出来ることです。もちろんこれがうまくいくのか? という声もあるでしょう。しかし私たちのチームは、精力的にこの開発費を賄うためのアイディアを考えています。 9 60年前、スペースデブリは全くありませんでした。でも、今はこの状況です。環境問題とこのスペースデブリ問題の大きな違いは、デブリは100%人間によってもたらされたものだということです。今、もし行動をとらなかったら、宇宙の未来はこのようになってしまいます。 10 この問題を私たちの未来に残すようなことは、しないようにしましょう。今、変化をもたらしましょう! 皆さん同意してもらえますか? うなずいてもらえてますね、ありがとうございます。 私たちが共に出来ることは、この問題に目を向け続ける、ということです。そして民間企業の迅速性、そこにチャンスと利点があるということを、覚えておいてください。スペースデブリの問題に、ずっと関心を向けてください。そうすれば、美しい地球になると思います。ありがとうございました。

  
※ログミーでは、TED Talksおよび各TEDxの定めるCCライセンスを遵守し、自社で作成したオリジナルの書き起こし・翻訳テキストを非営利目的のページにて掲載しています。
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