アルコールが尿意に与える影響

ハンク・グリーン氏:パーティーの後か、結婚披露宴の合間か、もしくは地元の居酒屋でラストオーダーを頼むあたりに、たくさんの人が携帯をいじって聞いてくる質問があります。

なぜビールを飲むと、おしっこがしたくなるのか?

アルコールが、どのようにして単純なものを突然まったく複雑なものに変えてしまうのかは、ご存知でしょう? それは、この質問にも当てはまります。

「ビールが入って、おしっこが出る。ビールのほとんどは水なのだから、トイレに行きたくなるのは当然だ」と、あなたは思うかもしれません。

しかし実際はそれより少し複雑で、ビールだけではなく、活性成分エタノール、またの名をエチルアルコール、が入っているどんな飲み物にも関係があるのです。

アルコールが脳の動きに直接干渉することは、おそらくご存知でしょう。ニューロンの互いの交信を難しくしてしまうだけではありません。

心臓の動きや細胞の代謝、生殖器などの性に関わることに必要なホルモンを秘めている内分泌系にまで影響が及んでしまうのです。

今回の質問の場合、下垂体から分泌される抗利尿ホルモンとも呼ばれるバソプレシンという特殊なホルモンをアルコールが妨げてしまいます。

このホルモンの役割は体内の水分を保つことです。血液中の水分と無機塩のバランスを正しく保つことによって体内の水分を維持するように、腎臓に信号を送るのです。

しかしアルコールは脳の動きを邪魔する一方で、下垂体の動きも妨げ、バソプレシンを作る動きも止めてしまいます。

一定の体液を保つよう腎臓に信号が送れないと、体内で膀胱を通して全部の水分が出るようになってしまいます。

ですから、アルコールを摂取するほどバソプレシンが作られなくなり、水分が体内から出てしまうのです。

これが、ある程度酒を飲むと尿の色が薄くなる理由です。もし飲みすぎたなら、結果的に色は透明になります。

その時点で、出ているのは基本的に水です。それを見たら、ただ飲みすぎただけではなく、次の日も辛くなるということです。なぜなら脱水症状は二日酔いを引き起こすからです。