日本とノルウェーの働き方はどう違う?

司会者:みなさま、大変長らくお待たせいたしました。本日はお忙しいなか、株式会社ワークスアプリケーションズ主催「日本・ノルウェーのオフィスワーカーの働き方を考える」セミナーにお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

私、本日の司会進行を務めさせていただきます、ワークスアプリケーションズ広報の中川と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。

それでは、本日のプログラムをご案内申し上げます。

第1部では、「日本・ノルウェーの働き方の調査」につきまして、調査結果を、株式会社ワークスアプリケーションズプロダクトソリューション事業本部ゼネラルマネジャー、松本耕喜よりお話いたします。その後、ゲストの公益財団法人日本生産性本部参与、一般社団法人副会長でいらっしゃいます北浦正行様より、調査結果を解説いただきます。

第2部では、日本とノルウェーの働き方の違いについて、パネルディスカッションを実施いたします。パネリストとして、在日ノルウェー商工会議所専務理事、ミカール・ルイス・ベルグ様、 株式会社リクルートホールディングス働き方変革推進室室長、林宏昌様をお迎えし、弊社代表取締役最高責任者の牧野正幸も参加いたします。モデレーターは、日本生産性本部参与の北浦正行様にご担当いただきます。

最後に、みなさまから登壇者にご質問をお受けする時間をご用意しております。それでは、弊社の松本より、「日本・ノルウェーの働き方の調査」につきまして、調査結果を発表いたします。

「働きがいのある会社」NO.1、ワークスアプリケーションズ

松本耕喜氏(以下、松本):ただいまご紹介にあずかりました、ワークスアプリケーションズで広報をしております松本と申します。よろしくお願いいたします。

私からは、本日発表させていただきます「働き方に関する調査リリース」に関しまして、みなさまにご説明差し上げたいと思っております。本内容に関しましては、本日お越しいただきましたみなさまには本日、それ以外のみなさまには明日昼前にリリースさせていただく予定となっております。

まず、簡単に当社の説明をさせていただければと思っております。

当社は、1996年に創業いたしまして、2つの企業理念を核として、20年目を迎えた会社でございます。

1つが「企業の情報投資効率を世界レベルへ」ということで、とくに日本の大企業が陥っている、IT投資の非効率性をなんとかしないと、という想いを持って、本日パネルに参加させていただきます牧野を中心に創業した会社でございます。以降、20年間に渡りまして企業の生産性およびIT投資に関するサポートをしてまいりました。

また、もう1つ、「クリティカルワーカーに活躍の場を」という理念を掲げております。とくに日本で教育を受け、日本の社会に出てくる学生たちに、より自由でよりクリエイティブな仕事を、クリティカルワークをしてほしいという想いを込めて、創業時に掲げた理念でございます。

その理念のもと、現在、2,000名弱の従業員を抱えるまでになっております。みなさまにはもしかしたら、インターンシップ制度で話題になっているところもあるかと思いますが、2010年には「働きがいのある会社」ナンバーワンと認めていただいた会社でございます。

企業の生産性向上のため、人工知能型のクラウドをリリース

現在は、2011年にMBOをしまして、マーケットから退いて以降、積極的な人材投資および製品投資をしてまいりました。現在、グローバルでアメリカ、中国、それからシンガポールを中心としたASEANおよびインドと、海外でR&Dおよびサポートを展開しております。

ここでの投資を通じて、2015年には「HUE」というまったく新しい人工知能型のクラウドERPをリリースさせていただきました。

この新しいHUEという製品なんですけれども、この根底には、2つの大きな目標を掲げてまいりました。

1つが、「最新のテクノロジーを企業のなかにも使っていこう」という取り組みでございます。ここ10年でコンシューマ、とくにスマートフォンやタブレットを使ったアプリケーションが世の中の生活をがらっと大きく変えてきました。GoogleやFacebook、あるいはAmazonでのお買い物と、人々の市民権を得てきたというなかで、企業のなか、そのものはまったく変わってこなかったということが、我々のなかでも問題提起としてありました。それを、コンシューマの技術、および最新のAIのテクノロジーを活用して、企業の生産性および効率化を図っていけないかということです。

もう1つの問題提起が、今回のこのディスカッションのテーマにもなっております、日本の労働生産性の向上をやっていかなければならないんじゃないかということです。とくに、これから日本は国際競争のなかで戦っていく、そして人口減少のなかでどのようにオフィスワーカーあるいはビジネスパーソンが活躍できるか、世界に向けて生産性を高めていけるか。今後は、これが、日本の大きなチャレンジになってくるんじゃないかと、我々自身もとらえております。

日本の労働生産性は、OECD諸国では最下位

ここで、そういった問題提起をより具体的なものにしていくために、日本企業の生産性向上にはなにが必要なのかということを、より掘り下げて考えていくべきではないかということです。

先ほどの労働生産性に関して、生産性本部さんが2015年に発表した調査によりますと、日本は21位。OECD諸国では最下位という結果が出ております。また、本日お呼びしておりますノルウェーに関しましては、世界2位ということになっております。

これはあくまでもマクロな視点で見た場合には、名目GDPと就労者数を割ったものになりますので、より具体的に働く人そのものの働き方や生産性に関して、どういう意識を持って日々暮らしているのか、仕事をしているのか。こういったところを明確にして、これからの日本の働き方について考えるべきではないかととらえて、今回の調査を実施いたしました。

調査内容としましては、日本の民間企業のオフィスで働く316名の方、それから同じく民間企業で働くノルウェーの120名の方に、インターネットを通じてアンケートを実施いたしました。当社からのニュースリリース、およびこの調査結果に関する詳細資料をお手元にお配りしております。

「自社の生産性は高いと思う」ノルウェーは圧倒的回答

私から、調査結果のポイントを何点かお伝えできればと思っております。

1つは、ノルウェーでは93パーセントが自社の生産性は高いと、対して日本では23パーセント止まりということで、約4倍の意識の差が生まれているということになっております。

ここでポイントになるのは、こういった働き方に関する議論をすると、たいてい残業時間の多さが日本は際立っているんじゃないかなんてことがよくあるんですが、実は平均労働時間では、日本とノルウェーではほとんど大差がなかった。

休日出勤はノルウェーがやや多い

さらに休日出勤に関しては、ノルウェーのほうがやや多いという調査結果が出ております。

そのなかでも、ノルウェーの方が自社の生産性は高いという意識を持った方が多いというのは、新たな発見だったかなと思っております。

ノルウェーの仕事の自由度 日本の約3倍

これをもう少し分解していくと、手順の決まっている業務が日本はノルウェーの3倍ということで、ノルウェーで働いている方々はより自由度を持って、働く場所、働く内容、働く時間、こういったものに自由度を持って働いているということが、調査からわかってまいりました。

一方で、日本に関しては、会社あるいは部門で決められた業務をやっているというような意識の結果が出てまいりました。

フレックス制度が浸透するノルウェー

同様に、その自由度を表すものとして、フルフレックス制度という、自由に時間を選べるというものに関しても、ノルウェーでは約82パーセントということで、多くの企業あるいは従業員の方で、フルフレックスが採用されている。一方で、日本は、ノルウェーの半分以下という結果になっております。

同様にリモートワーク、場所を選ばないということに関しても、ノルウェーは約78パーセント、日本は約21パーセントということで、働くことに対する自由度で、大きな差が見られるかなと、とらえております。

ルーティンワークから人々を解放する

また同時に、ICT環境の充実ということで、外から社内の環境にアクセスできるかとか、あるいは経費の精算であるとか、あるいは業務システムを扱う部分に対する改善が求められるかという質問に対しても、これは両者ともに、まだまだICT環境の整備が求められるという回答を得ております。

この辺に関しては、この後、生産性本部の北浦さんの解説をいただくとともに、パネルディスカッションのなかでも触れていきたいなと思っております。

最後になりますが、当社のなかでも、ICT環境の充実、それから社内システムの改善の側面から、日本のビジネスパーソンの方々のルーチンワーク、日々コンピュータの前でガチャガチャ集計をしたり資料を作ったり、そういった仕事をなるべく解放していくといったことをコンセプトに、新たなAIというテクノロジーの活用、そして日本の生産性の向上に、これからも寄与していきたいと存じております。

私からの説明は以上になります。また、ご質問等ある方は、後ほどおうかがいしたいと思います。ありがとうございました。