人工知能技術を用いた、トヨタとの資本提携

孫泰蔵氏(以下、孫): さて、あと30分ほどになった。せっかくなので、フロアのみなさんとインタラクティブに議論していきたい。

フロアの面々を拝見していると、聴衆としてでなくスピーカーとして壇上でお話しになったほうがいいと思えるような方々ばかりだ。ぜひ、質問がある方は挙手をお願いしたい。

(株式会社ホットリンク代表取締役社長CEO)内山幸樹氏: 西川さんにうかがいたい。ぶっちゃけ、トヨタさんとの契約ってどういう中身なんでしょうか。

(会場笑)

IoTや人工知能は、データがないとなにも生み出せない。だから、トヨタさんからデータをもらわない限り、トヨタさんが満足できるものはつくれない。

となると、アルゴリズム以外にデータがない状態でどのように契約へいたったのだろうと思っていた。また、先方にデータをもらわないとアウトプットできない状態となると、できたものの知財権はどうなるのかとも思う。

最終的にノウハウだけ取られて、「次の世代の自動車開発は自分たちだけでやるよ」なんて言われないのだろうかと考えてしまった。大企業とベンチャーとの組み方の一例として、その辺について教えていただけるとうれしい。

(株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ マネージング・パートナー、一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会会長)仮屋薗聡一氏: 藤田社長と山田社長にうかがいたい。

今までのインターネットビジネスでは、企画やマーケティングが競争優位性のポイントになっていた時代が長く続いていたと思う。

でも、ここへきてAIやビッグデータ、あるいはIoTといった新しい技術が競争優位性の大きなポイントとして取り沙汰されてきた。

なので、その辺の技術戦略についてお二方におうかがいしたい。今まで、その切り口でお話をする姿を僕はあまり拝見したことがなかったので。

会場: パートナー企業を選ぶなんらかの基準みたいなものがあれば教えていただきたい。例えば藤田さんの場合、なぜほかの局ではなくテレビ朝日だったのかなと。なぜ独自でやろうとしなかったのかという点も併せてお聞きしたい。

大企業との提携は、トップ同士の信頼関係が重要

藤田晋氏(以下、藤田): パートナーシップについては、早河洋テレビ朝日会長兼CEOとの信頼関係ではじめたようなかたちになる。

こういう話はすごく非合理に聞こえるかもしれないけれども、やっぱり大企業だし、社内にはいろいろ反対する人も出てくる。テレビの競合となるかもしれないサービスだし、自分たちの資産を持ち出さなければいけないわけだから。

そこでトップ同士……という表現はアレだけれども、とにかく会長と信頼関係を結んだうえでスタートした。「細かいことは後からでいいから、とにかく早くやろうよ」と。そういう感じで進めたことがうまくいっている主要因だと思う。

ちなみに、さらに前からスタートしている「AWA」はエイベックスさんとやっていて、先週はちょうど両社の人たちが集まる懇親会のような催しがあった。それで、その様子を見ていると、もうどっちがウチの社員かわからないほど一心同体でやっている感じだ。

これもやっぱり松浦勝人社長と僕との信頼関係からスタートしている。すべてのケースに当てはまるかどうかは分からないけれども、やっぱり大きな会社と組むときはトップ同士の信頼関係がまず一番重要になると僕は思っている。

AbemaTVがテレビ朝日と組んだ理由

: ちょっとだけ意地悪な質問をしたい。仮にテレビ朝日よりもすごいコンテンツを数多く持っていて、けれどもサラリーマン的なかたちでしか物事が動かず、スピード感がない会社からも「やりましょう」と言われていたら、テレビ朝日と比べてどちらを選んでいただろう。

藤田: まあ、今となっては答えがもう出ているけれども、やっぱり社内をきちんと統制できる会社とやったほうがいいと思う。

: 比較してみてコンテンツが少し劣っていたとしても?

藤田: たぶんその時点では迷う要因になると思う。ただ、それで社内がまとまらなければ結局は組んだ意味がなくなっちゃうので。

: 僕もそう思う。そもそも、戦略的な意思決定にあたって相手の成長性を加味せずに「スタティックで見ると今負けてる」といった考え方をする人は多い。でも、本当にすごい人たちはみんな伸びていく。

そう考えると、そのときはNo.1でなくとも、スピード感を持って一緒にできる会社と組んだほうがうまくいくんだろうなと思う。ちなみに、自分たちでだけでできるとは思わなかったのだろうか。

藤田: その辺も、今となって考えるとテレビ朝日なしでは立ち上げきれなかったと思う。こう言うと、「保有している過去のドラマやスポーツのコンテンツ量が違うから」というふうに思われがちだ。

でも、そうではなくて、とにかくテレビ局の人々は番組の制作能力が異常に高い。もう、類するものがないほど高い。

当然、ニュース素材についても同じことが言えるし、やっぱりクオリティの高いコンテンツをつくっていくことができるので。

あと、我々だけでゼロから立ち上げると、コンテンツホルダーやタレント事務所といった周辺権利者の方々に理解を得るのも大変だ。でも、そこもテレビ局が「やります」と言うと、インターネットでもすぐ、テレビと同じようにやってもらえる。

そこでネット企業がゼロからやろうとするとB級的なものからのスタートになってしまうけれども、一気にメジャーなものを立ち上げたかったので。そこはテレビ局なしでは有り得なかった。

メルカリのパートナーシップと技術戦略

山田進太郎氏(以下、山田): まず、パートナーに関してお話しすると、我々がやっているビジネスのようなCtoCやトランザクションのような領域では、組む相手の範囲もかなり広くなる。

だから、そのなかでまずは自分たち自身でやっていく部分をきちんと限定する必要があると思う。それは僕らに関して言うとサービスそのもの、そしてCtoCやアプリ、あるいはモバイルといったところになる。

となると、それ以外の、例えば物流ならヤマト運輸さんと、あるいは決済ならクレジットカード会社さんやコンビニエンスストアの決済会社さんと組むといった話になる。

あと、もう少し我々に近いところで言うと、今年1月にはBASEという会社に出資をさせていただいた。これはBtoCのショップを簡単につくって、商品を販売できるというサービスをつくった会社だ。

それで、どちらかというとBtoC部分は我々のコアではないということで、その部分に関してはBASE社と組んでやっていく。

それと技術戦略に関して言うと、もともとスマートフォンの時代ということがあって、モバイル領域で既存サービスと差別化していくということを当初から考えていた。モバイルファーストということで、サービスや使い勝手を最適化していくということが大きかったと思う。

でも、今後は技術的な部分での差別化が重要になっていく。昨日はFacebookが決算を発表していたけれども、彼らは売上の30パーセント弱をR&Dに使うのだという。

彼らも今までは……「今まで」という話でもないかもしれないけれども、やっぱりインターフェースや使い勝手の良さで差別化していた面は大きかったと思う。

でも、広告やタイムラインあるいは検索等に関して、今後はどんどんテクノロジーのほうに投資をしていくと。それで、もう今ですら、例えばFacebookとTwitterを比べたら後者はもう絶対に追いつけないほどの圧倒的な差がついた。その辺の戦略はグーグルも同じだ。

だから僕らも今はR&D部門をつくろうか考えていて、何人かに声を掛けたり、社内でも新しい研究を進めたりしている。

具体的に今どんなことをやっているかと言うと、例えば商品を出品する際、「この商品ならこれぐらいの価格で出したほうがいいですよ?」「シッピングの値段はこれぐらいだと思いますよ?」といった、レコメンデーションを出すようなことを試験的にやっている。

これはアメリカでやっているけれども、かなり良い効果が出ている。だから日本でもそのうち導入していくと思う。

そういった技術のR&Dに投資していくことで、同じようなアプリが出てきたときの差別化ポイントにしたい。

シリコンバレーにはそれこそ1億ドル調達して、広告をばんばん投入してくる会社もあるわけで、そういったところとの差別化という意味でもR&Dは相当重要になる。

まあ、それでFacebookも3割と言っているし、僕らもそれぐらいの規模でR&Dに投資してきたいと思っている。

共同事業における、知的財産権の行方

西川徹氏(以下、西川): トヨタさんとの契約についてはあまり細かいお話ができないけれども(笑)、大企業さんと契約することが非常に多い僕らではあるけれど、基本的になにかを言われて仕事をするということはしない。

「こういうネットワークがつくりたい」という僕らの考えとパートナー様のやりたいことが一致して、互いにメリットを享受して成長できるというかたちでしか契約を結ぶことはない。その意味では対等でない契約を結ぶこともない。ご質問への回答になっているかどうかわからないけれども。

: パートナーシップのなかで生まれた新しい知見やテクノロジーのなかで、知財が取れそうなものに関してはどんな扱いになるのだろう。詳細はけっこうなので、例えば大手さんと組むとき、基本的にどういった考え方をなさるのかをうかがってみたい。

西川: 例えば競合との関係等、細かい点では互いに信頼関係を守れるよう各種条項を設けている。ただ、その辺の条件も対等だし、基本、僕らが知財を使えないような契約は結ばない。

: 「これはもう当社の固有技術として差別化したいからほかには出さないでくれ」といった指定をしてくるようなケースもあると思うけれども、そういう場合はどうだろう。

西川: 例えば、それによってふだん触れることのできないデータに触ることができて、しかもその会社とだけやっていても大きな市場性が見込めるのなら、そういった選択をすることもある。

逆に言えば、そこは僕らがビジネスを大きくできるか否かで考える。もちろん触ることのできるデータによってスピードも変わってくるし、そういったところで選んでいるような感じだ。

パートナー選びの決め手はビジョンと技術力

: 増田(宗昭氏:カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社代表取締役社長兼CEO)さんも、先ほどの第1部全体会で「(組む相手に関しては)1業種1社」とおっしゃっていた。そういうことを選択する場合もあるということだと思う。

西川: そう。あと、どんなパートナーとやっていくかについては、基本的には意思決定が速く、高い技術力を持っていて、そしてビジョンを共有できることが重要。

例えば、今はファナックさんといろいろ協業させていただいているけれども、去年4月時点ではまだ提携していなかった。それで、初めて稲葉善治社長とお会いしたのが昨年2月。

そのとき、「これからはロボットを賢くするだけではなくてロボット同士が協調する世界をつくっていきたいし、僕らはそのためのネットワークをつくりたいです」といったお話をさせていただいていた。

恐らくはそうしたビジョンが一致していたからこそ、以降、互いに意識するようになったのではないかと思う。

それで、そのあと4月頃に一度、ファナックさんの工場を見学させていただく機会があって、そこで想像を絶する技術力を目にした。そうしてファナックさんと組ませていただきたいと強く思うようになって、それで協業が決まった次第だ。

もう、工場の中ではロボットがロボットをつくっていて、SFに出てくるような世界が実現していた。とにかく正確にロボットが動く。物理的にロボットを動かすわけで、そのためには知能だけでなく肉体部分も精度を高めないといけない。

その分野の方であればおわかりになると思うけれども、そこは本当に難しい。やっぱり研究開発を積み重ねていかないと実現できないし、そこは僕らが自分たちでつくろうと思っても絶対にできない。

結局、そういった部分も含めて互いの技術力を尊重し合うことで、パートナーシップに至ったという面がある。

まあ、先ほどは「パートナー選びの基準」みたいなことを3点ほど申しあげたけれども、正直なところ、それほど明確な基準があるわけじゃない。

実際には「この会社と組めたらおもしろそうだ」ということを最初に考える感じだ。私自身、これまでずっとテクノロジーの世界で生きてきたし、やはり技術者として「これはおもしろそうだ」と感じるところに飛び込んでいきたい思いがある。だから、そういう思いを満たせるパートナー様と組ませていただいているという面はある。

: お三方のお話を聞いていて感じたのは、やっぱりトップの強烈なコミットがなければ本当のパートナーシップにはならないということだ。そうでないと提携なんて言っても意味がないという話なのかなと。

よく新聞にも「どこそこが提携して云々」なんて話は載ったりするけれども、そのほとんどは、互いのトップが本気でコミットするという真のアライアンスになっていないように感じる。

サイバー藤田氏の「総張り戦略」からの転換点

(株式会社マイネット代表取締役社長)上原仁氏: 私は藤田社長のことをいつも見つめているけれども(笑)。

(会場笑)

藤田社長の一番の魅力は、アクセルを踏むポイントの見極めと、その踏みっぷりだと思う。それで今は「AbemaTV」に目一杯踏み込んでらっしゃるというお話だけれども。

2012~2013年頃は各種スマホアプリを数多くつくっていて、そのなかにはフリマのアプリも音楽関連のものもあったと思う。

そこで、直近では音楽とテレビに踏み込んで、逆にフリマアプリには踏み込まれなかったと。そうした踏み込みどころをを峻別するポイントがあればぜひうかがってみたい。

: 上原さんもなかなかの戦略家だと思う。むしろご自身はどう思ってらっしゃるだろう。まさかの逆質問だけれども。

上原: 私はもう自分自身が米粒みたいな存在なので(笑)。

: いや、そんな謙遜はいらないから(笑)。

上原: (笑)。とにかく米粒は米粒なりに絶対に誰もやっていないことをやろうと。負けているときはなおさら、誰もやりたがらないこと、あるいは誰もやっていないことを、徹底的に、圧倒的にやりきって貫くということを考えている。

(株式会社ロフトワーク 代表取締役、共同創業者)林千晶氏: 先ほど、人工知能は2~3年でコモディティ化するとのお話があった。また、「あらゆる領域にAIが入ってくる」と。

そうした流れのなかで日本はというと、オールジャパン的に知恵を集め、閉じたかたちで強い人工知能をつくるといった政策になっていると感じる。

一方で、今は機械学習のモデルがオープンソースで次々共有され、世界中の人々がそれを使って「自分たちもこんなものをつくってみた」というふうになっている。

そうした状況下、我々はどういったフィールドで戦っていくべきなのだろう。どこをオープンにして、何を自分たちで貯めていくと強さになるのか。

その辺の考え方はIoTにもつながると思うので、オープンとクローズドの戦略について、2~3年先のビジョンも交えつつ西川さんのお考えをうかがいたい。

: そのあたり、どういったお立場でご質問をなさっているイメージだろうか。

: 例えば、西川さんは機械学習のプログラムをつくっていくなかで、その学習モデル自体に価値を置くべきだとお考えなのだろうか。

一方、別セッションでは増田さんから「データが集まらないと学習モデル自体に価値が生まれない」といったお話もあって、どこかのフェーズでオープンにデータを集めないとスケールしないのではないかとも感じる。その辺のお考えをうかがいたい。

麻雀も経営も大半は我慢・忍耐の時間

藤田: 上原さんに見つめていただいているみたいだけれども(笑)。あれですよね? どさくさに紛れてフリマアプリの話をさせようと。

(会場笑)

その辺はわかりつつ、あえてお答えすると(笑)、当時はとにかく「総張り戦略」だった。「ネイティブもブラウザもゲームもコミュニティもEコマースもぜんぶやる」と。大量に試してうまくいったものを残す。

もうジム・コリンズの『ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』に書いてあった通りやっていました、はい(笑)。

: 藤田さんは麻雀もお強い。勝負の勘どころをわかっていいらっしゃるように思う。

藤田: 麻雀もそうだけれど、大半の時間は我慢や忍耐を強いられる。麻雀だって1/4の確率でしかあがれない。

経営も同じで、大半は我慢の時間。それで、ここぞというときに勝負できる度胸がないといけない。そういう意味では、今は勝負どころということで進めている。

山田: 当時の「総張り戦略」のなかには動画と音楽がなかったですよね。

藤田: 当時は一通りやってみて、まずは「ネイティブが正解だったね」「ゲームが立ち上がったね」といった結果とともに、止めるものは止めていった。

それで、そういう流れのなかでサイバーエージェントが次に進む方向を考えてみると、ウチの社員はあまりインフラをやりたがないというのがあったので。

それで、(フロアを指して)あそこにいる(現Qrio株式会社代表取締役)西條(晋一氏)も辞めて(笑)、金融も誰もやりたがらない。

(会場笑)

まあ、西條君すらやりたがってなかったけれども、でもエンタメや音楽となると「はい! はい!」みたいな感じになる。結局、うちの社員はそっちに行きたいんだなというのがあって、次の成長分野は動画や音楽といったエンターテイメント領域に定めた。

IoT時代を生き抜くデータの取捨選択

西川: データに関してどこを握るべきかというお話をしたい。まず、人と機械が大きく違う点として、「出して」と言われない限りなかなかデータを出さない人間と違って、機械は放っておくといくらでも出してくれる。

もっと言うと、出し過ぎてしまう。だから、すべてのデータをクラウドに集めようとしても恐らく集めきれないだろうという考え方が、今は製造業全体のなかで浸透してきた。

そこで重要になるのは、集めるものを取捨選択すること。何を集めるべきかという「集め方」を握って、そこで主導権を取る必要があるのだと思う。

僕らがネットワークの部分を握ろうとしているのも、そうした考え方があるから。IoTでも同じだ。機械のデータをみんなが出したがるかというと、出したがらない。

データさえあればどういうものをつくっているかがすぐにわかってしまうし、プライバシーの問題もあるので。

また、それに加えて先ほど申し上げた大量のデータがどんどん出てくるという問題もあるので、恐らくはデータを集めるという考え方自体が破綻するだろうと考えている。

「じゃあ、どこで何を処理するのか」といったアーキテクチャ全体を握る必要がある。ただ、そこはソフトウェアの会社だけでやっていても駄目で、ハードウェア企業やサービス企業とも連携していかないといけない。

その仕組みをつくることができたところが勝つんだろうなと思う。それで、そうなると日本はチームワークで物事を進めることが得意だと思うし、とにかくそういった領域で勝ち抜いていくという考え方が不可欠ではないかなと思っている。

AI、動画、C2C領域の今後

: 人工知能は、やはり「インダストリアル・インターネット」と言われる産業用途でまず圧倒的に発達していくと思う。

一方、先週、厚生労働省が主催する「医療健康分野のイノベーションを促進する協議会」といった会合に参加したとき、そこにいらしたジャーナリストの方におもしろいお話をうかがった。

デンマークはすごく慧眼で、国民の各種健康・医療データをもう20年近く……個人情報として特定されないようなかたちで、あくまで健康・医療上のデータとしてきちんと蓄積していたという。

それで今はスタンフォード大学が「そのデータを解析してディープラーニング等の研究をしたい」ということで、莫大なお金を払ってそのデータを提供してもらっているそうだ。そうした連携で、今は医療分野の解析が大変な勢いで進んでいるというお話だった。

「実は今、それがデンマークにとってすごく優秀な外貨獲得手段になってきているんです」という。日本もそんなふうににするべきで、「なんでもかんでも“個人情報だから駄目”と言うのではなくて、国民の医療・健康データ解析に資するかたちとしながら、きちんとデータインフラを整えるべきだ」という話を聞いて、「なるほどな」と思った。

だから、立場によって違ってくるのだと思う。実際にそれを使って応用アプリケーションをつくりたいと考える方々からすれば、データはすごく重要だと思う。

ただ、データバンクのようにただただ貯め込んでみても、西川さんがおっしゃるように意味はない。実際にはその中間で、いろいろな立場によって具体的な方向が決まっていくのだと思う。

ということで、あと1分となってしまった。お三方には最後にひと言ずつコメントをいただきたい。

西川: 現在の人工知能のブームは恐らく2~3年で落ち着く思う。ただ、その先では新しい技術の世界がさらに広がっていくし、その辺は今もすでに見えはじめている。だから、そういったところにも注目していただけたらと思う。

藤田: 技術戦略について話せなかったけれども、我々のサービスはスマホのアプリを使ったものがほとんど。だからクリエイティブで勝負すると決めている一方で、やはり今後は技術も重要になっていくと思う。

例えばクリエイティブオリエンテッドな操作性やサーバーレスポンス等々、クリエイティブで素晴らしいものを実現するための技術ということで、今は「テクニカルクリエイター」という言葉も打ち出している。

それで、今はデザイナー1つとっても、単にデザインするだけじゃなくて技術も分かる人を集めたりする、というような取り組みをしている。

山田: (事務局から)「終了」のサインが出ているので(笑)。僕からは、「今年、海外で頑張っていきたいです」ということで。

: ぜひみなさんで応援していきましょう。ありがとうございました。

(会場拍手)