自分に向かないことを続けることに意味はあるのか

乙君氏(以下、乙君):うわー、この質問けっこう深いよ。

山田玲司氏(以下、山田):何?

乙君:いきます?

山田:うん。

乙君:今日ほんと、見てる人はいい回になりそうですね。

山田:何それ(笑)。

(一同笑)

乙君:いや、これさ、打ち合わせのときに「これいいね」って言ってたやつなんですよ。いきますね。にゃんみつさん、男性27歳の方。

山田:にゃんみつくん。

乙君:にゃんみつくん。

山田:いつもありがとう、にゃんみつくん。

乙君:「自分に向かないことを続けることは意味があるのか」問題。

山田:あー、これか。なるほど。

好きなのに才能がない場合は?

乙君:「みなさん、こんばんは。いつも元気になるニコ生を届けてくださいまして、ありがとうございます」。

山田:いえいえ。

乙君:ごきげんだね、にゃんみつくんね。

「では質問です。人間誰しも向き不向きがあると思います。例えば、スポーツの世界では運動神経が優れているか否かで試合に影響が出てしまいます。当然負け続ければ、選手としての評価は悪くなります。そして、場合によっては、スポーツの実力とはまったく関係ないその人の人間性まで否定してくる、いわゆるイジメをするような人も出てくるでしょう」。

山田:うん。

乙君:「たとえどんなにそのスポーツが好きであったとしても、現実問題、自分にセンスのないことをしても嫌な思いをするだけです。このように、自分が好きでもセンスがなければ悪い評価をつけられ、挙句の果てには、人の気持ちが理解できないバカどもにバカにされ続けるなんて、死にたくなるほどつらいものです。

そこで質問です。このような状況に置かれても、どうしたら好きなことを好きのままでいられるでしょうか? そして、好きなことを嫌な思いをしながら続けることに、意味はあるのでしょうか? 漫画志望の童貞より」。

山田:にゃんみつくん、漫画家志望の童貞なんだ。

しみちゃん氏(以下、しみちゃん):見てますよ、今。

乙君:あ、にゃんみつ、見てんの?

山田:にゃんみつ、いつもありがとな!

乙君:好きなんだけどセンスが、自分にその才能がないってことを続けていくことに、意味はあるのかっていう。28歳の方ですね。

藤田太郎氏(以下、藤田):どんな漫画書描いてはるんですかね。

乙君:あー。

藤田:気になりますね。

乙君:……、なってへんやろ?

しみちゃん:(笑)。

藤田:なってるで(笑)。

乙君:(笑)。まあ、だから、こういうトラウマがあるってことなんでしょうね。なんか、自分はサッカー好きだったのに下手くそだったから、スタメン落とされ、もう人格まで否定されみたいなことがあったんじゃないんですか。

藤田:漫画で言われてるのかな。

乙君:あ、漫画で言われてるのかもね。

藤田:でも、そんなん言う人いる? そんな親切な人いる?

乙君:ほっとけよっていう話なんですけどね。

藤田:うん。

「好き」と思えるものは大事にしたほうがいい

乙君:(「昨日、さんざん効率の話したじゃん」というコメントを受けて)そうなのよ。昨日の話の続きに、奇しくもリンクしたんだけど。

まず……、玲司さんが考えているうちに、おれが思ったのが、その何かの対象を好きになるっていうこと自体が、すごいことだと思うんですよ。

山田:うん。

乙君:だって、おれ、例えばジャズとかぜんぜん好きじゃないんですよ。だけど、メタルは好きなんですよ。でも、音楽を好きじゃない人もいるんですよ。ね?

藤田:いるいる。

乙君:カバディ好きな人もいればさ。

山田:セパタクローが好きな人もね。

乙君:いるじゃないですか。おれはその全部を好きにはなれないというか、知らないこともいっぱいあるし、そのなかで合わないな、合うなっていうのがいろいろあるなかで、「あ、これめっちゃ好きだ!」って思える時点で、もうそれって宝箱の鍵を開けたみたいな状態じゃないですか。

だから、それはむちゃくちゃ大事にしたほうがいいと思うんですよね。人にどうのこうのっていうよりは、まずそれを好きになれたっていうこと自体が、もうだって、生きてる意味があるっていうか。思いませんか?

山田:(笑)。そうだね、うん。

乙君:「そうだね」……。

(一同笑)

乙君:(「才能のあるなしなんて判断できるの?」というコメントを受けて)そう、才能があるなしじゃなくてっていう。

山田:あ、そうそうそうそう。

乙君:太郎ちゃんはどうですか?

藤田:いや、そんなこと言う奴がアホやから、「そんな人いるかな?」って思ったら、いる? そんなん言ってくる人って。

乙君:まあ。

藤田:嫉妬してんちゃう? その人に。おもしろいから。

乙君:あー。

藤田:「おれの漫画のほうがおもろい」みたいな。

乙君:あー。

藤田:言う人がよくわからへんな。どういうこと? 親とか? 「もうやめろ」みたいなことかな。

乙君:まあ、それはあるかもね。「漫画家なるとか言って、センスないんやからやめとけ。就職しろ」みたいなことも含めたうえでね、向いてないのに続ける意味があるんかなっていう。

藤田:あんま言われたことないから、わからへんかもしれんなあ。

(一同笑)

山田:向き不向きの話で言ったら、好きなもののほうが向いてるよね、そりゃね。

乙君:そうなんですよ。

山田:なんでかっていうと、好きだから努力できるという意味では、嫌いなものをやるよりは好きなものをやったほうが、それは向いてるからそっちのほうがいいんじゃないか。

でも、「すんごい嫌いなことのほうがすごい向いてるっていう可能性もあるじゃないですか」って言われたら、それは「わかりませんよ」としか言いようがないけど。その話はとにかくそうだなと。

でも、向き不向きってどうしてもある程度はあるかなと思うんだけど、それを決めるのは外側にしちゃダメだなっていう。だから、さっきコメントでもあるんだけど、他者の評価で自分が向いてるか向いてないか決めるっていうのは、なんかつまんないよね。

だから、編集とかに「君、向いてないよ」って言われたら、「ふざけんなよ」って心ん中でぶん殴っといたほうがいいんじゃないかなとは思うんだけど。だけど、実のところ、ステージに立ちたいと思ってがんばってたんだけど、意外とプロデュースのほうが向いてるかもしんないって言って、プロデューサーになる人とかもいるじゃん。

乙君:あー。

山田:そこが本当の向き不向きの話で、「おまえ、フロントマンじゃねーよ」とかっていうのはあるかなっていう気はする。「おまえ、ほんとに横にいるとすごいいいよな」とか、マネージャーとしては敏腕とかさ。たまに編集者のほうが向いてる作家とかもいるし、その逆もいるし。

だから、そこは好きカテゴリの中で……、まあ、サッカーで言ったら、「サッカー大好き」って言って、「おれ絶対フォワード」って言ってたら、サイドバックになる奴とかもいるじゃない。

乙君:あー、いるいるいる。

山田:内田とかそうじゃなかったっけ。

藤田:いますいます。

山田:多いよね。最初、だから、高校のときまではフォワードだったんだけどっていうさ。そういう、なんかやってくうちに、認めざるをえない自分のポジションみたいなものが見えてきたら、そこにいけばいいんじゃないかなっていうのが、この問題の落とし所かなっていう気がするんだよね。

乙君:うんうん。

山田:おれね、絵が下手なんでね、漫画家向いてないんだよね。だから、絵で判断されたら、おれ、漫画家すごい向いてないんだけど、「おまえ、漫画家に向いてないよな」っていう意見をまったく聞かずに生きてたんでね。

それは絶対的に、「いやいやいやいや、君がそんなこと言える立場じゃないから」「ごめんね。君の意見聞けないから」みたいなこと、どんなにえらい人に言われても、「あなたがわかってないだけですよ」ぐらいの気持ちで、自分にとっての最強のサポーターの自分っていうのにならないとダメなんで。

よく言うじゃない。自分のことを応援するのが自分じゃなかったら、誰が応援するか。それを外に求めたら、もう自分がいなくなっちゃうっていう。

藤田:つぶれちゃいますよね。

山田:つぶれちゃうよね。だから、そこにいる全員に「おまえ、ダメだよ」って言われたときに、「どうしてもやりたい」って言ったらダメだから。ほんっとに人の言うことって聞かなくていいよね。

藤田:うんうん。

山田:こないだ五味太郎さんに会ったら、「おれ、人の話聞かねーんだよな、山田」とか言って、トークショーで。「でも、人の話聞かねー奴ってさ、長生きするんだよな」とか言って。五味さん、長生きして元気だから、それはあるよなと思って。

ただ、ファイルは用意しておいたほうがいいかも。だから、人の話を聞く用ファイルっていう。いったんここに入れておくといい。だから、全部ゴミ箱に直通するともったいないんで、いったんそこの保留ボックスみたいなのに置いといて、で、「おれは天才。でも、参考意見でおまえの話を聞こうか」みたいな(笑)。

(一同笑)

自分の傷は自分で縫え!

山田:それで、「おまえ、いいこと言うね」なんつって。「あー、おれ、そういう漫画も書けそうな気がする」みたいな。そういうぐらいの気持ちのスタンスでいると、持つかな。

藤田:追い詰めすぎると、逆におかしいことになっちゃうっていうことですよね。ストイックに。

山田:追い詰めるのに向いてる人もいるの。だから、おれ、自己肯定感が非常に強いんで、逆に追い詰めたほうがいいタイプ。だけど、それが弱い人は、やっぱり追い詰めると折れるんで。まずは自己肯定感の補強をしないといけない。

だからこれ、向いてるかもしれない、向いてないかもしれない、こういう迷いがあったりとか、「人にはそういうふうに言われて死にたくなります」とか言ってるのは、まだ弱いんで。

まずいったん鍛えるっていうか、どう鍛えるかっていうと、ゴールはどういう状態かっていうと、頭のおかしいぐらい自分のことを信じている人になるっていう。

藤田:あー。

山田:頭がおかしいぐらい、「おれって天才」って思ってるけど、それを言ったらめんどくさいから「いやいや、僕なんて」って言ってくっていうぐらいの。このあたりのバランスが、まあ、今28歳でしょ。30歳ぐらいでできるようになるから(笑)。

(一同笑)

山田:そうするとけっこう、周りともうまくやりながら、自分のやりたいみたいなこともできるようになるんじゃないかなと思います。

乙君:うんうん。とはいっても、承認欲求はいるよねっていう。

山田:だから、「いいね!」ボタンあるじゃん。自分の「いいね!」は100「いいね!」にしとくんよ(笑)。人は1「いいね!」しか上がんないけど、人が100「いいね!」になってるとほんとにしんどいんで。

だから、「おれってどう思う?」「おれってどう思う?」って常に言ってないと、「いいね!」がないと安心できないけど、「今日のおれ最高!」みたいな(笑)。

(一同笑)

山田:今日のおれに100「いいね!」。これぐらいじゃないと、表現の世界じゃもたねえ。

藤田:あー。

山田:なんでかっていうと、自分の全存在をかけた作品をこうやって出したりなんかして、残っちゃったりなんかして、みんなに笑われたりとかして、よく見るとけっこうデッサンが狂ってるな、なんつって(笑)。

(一同笑)

山田:「最高!」みたいな。「これ!」みたいな。

(一同笑)

藤田:玲司さん、めっちゃかっこいいっすね!

山田:そうそうそう。でも、3巻で打ち切りみたいな。

(一同笑)

山田:でも、「おれ最高!」みたいなさ。みたいな状態になると。

藤田:ちょっとBJに見えてきましたよ(笑)。

山田:BJ誕生ですか、今日は。

乙君:何を言ってるの(笑)。

山田:ブラックジャックじゃん(笑)。

乙君:ということで、あの……。

山田:自分の傷は自分で縫え! BJでした。

(一同笑)