業界の嫌われ者と語り合う『ハミダシター』

絵本作家のぶみ氏(以下、のぶみ):西野さん、フジテレビオンデマンドのやつで『ハミダシター』というやつをやるんですよね。(※2016年5月28日より地上波で放送開始)

西野亮廣氏(以下、西野):そうなんですよ。めっちゃおもしろかったですよ。ここ最近の自分の仕事で、一番興奮したのがMCで。各業界の嫌われ者というか、はみ出してる人(笑)。

のぶみ:嫌われてるだろうね。

西野:その業界でちゃんとルールを守らずに、「こんなもんいらねーじゃん、もうやっちゃおうぜ」みたいな人って各業界にいるんです。

のぶみ:僕もそうだな。

西野:のぶみさんみたいな方いるじゃない? そういう方をお招きして、1時間半ずつお喋りして。

のぶみ:けっこう長いですね。

西野:そうなんです。1人1時間半、1対1で喋るんですけど。むっちゃおもしろいんですよ。

のぶみ:ちなみに、オンエアー上はどれぐらいに編集される?

西野:もちろんされるとは思うんですけど。オンエアーが今週の日曜とかなので、あんまり詳しい内容は言えないけど。でも、ちょっと興奮した話いいですか? ぼやっと言いますね。

いろんな方がいらっしゃるんですよ。例えば、お金のプロフェッショナルとか、ファッションのプロフェッショナルとか、建築のプロフェッショナルとか。

キンコン西野を夢中にさせた、テクノロジーのプロ

1人、最新テクノロジーのプロの人が来たんですね。これが外国の方で、僕より年下の子なんですけど。こいつがむっちゃ頭よくて。まず3歳でMacさわって、4歳でホームページを作ってるんですよ。

のぶみ:3歳でMacさわるって。

西野:こいつむっちゃおもしろいんですよ。こいつがやろうとしているというか、作ろうとしている未来が超おもしろくて。

のぶみ:すごいな、そいつ。

西野:例えば、我々って会話して前進するじゃないですか? のぶみさんの意見を聞いて、「なるほど、そういうことだったんですね。じゃあ、こういうやり方もありかもしれないですね」みたいなことで、会話して成長していく。

でも一方で、物。ホワイトボードとか、カメラとか、パソコンとかって、これの能力を上げようと思ったら、開発しなきゃいけないじゃないですか?

カメラの精度をもうちょっと上げようと思ったら、人間が新しいカメラを開発しなきゃいけない。もっと小さくて、パフォーマンスが上がるパソコンを作ろうと思ったら、開発しなきゃいけないじゃないですか?

そうじゃなくて、(その人は)「物同士で会話させたら、人間みたいにパフォーマンス上がっていくんじゃないか」と言うんです。つまり、壁と電気と椅子を会話させるという。ここに知能と通信チップを埋め込んじゃって。だから、間に人間は入らないんですよ。

のぶみ:なんかSiriみたいな? 判断能力を持ってるやつをいろんなやつにつけてみたらどうだという話?

西野:そう。埋め込んで。スーパーマーケットと冷蔵庫を会話させたり。これでパフォーマンスをあげていくという。もう最初、何言ってるのかよくわからなかったんですよ。

こんなことは別にやろうと思ったらできると思うんですけど、すごい簡単な例で言うと、例えば窓。窓と電気を会話させられる。窓君と電気君みたいな。本当に絵本の話じゃないですけど。

のぶみ:絵本ですよ。僕やれるな。

西野:窓君と電気君がすごい仲良しになったら、まず窓君は外の景色を見て、「ちょっと暗くなってきたな」と思ったら、「ちょっと暗くなってきたで」と言って、電気がパっと点くみたいな。

のぶみ:そうか。電気のところでは、位置的に暗くなったのが見えないかもしれないから。例えばカメラを搭載してたら、その伝達でこういうふうに。

西野:窓君が教えて。例えば、ここにテレビ君が来て、テレビ君が明かりをパって出したら、そんなに明るさはいらないから、テレビが「僕出してるから、もうちょっと明かり抑えてもらっていいよ」みたいな感じで、物同士で……。

地球が始まって、物が生まれてからというか、人類の歴史でずっと人間が間に入ってきたじゃないですか。ここからは物同士で、人間は蚊帳の外にいくわけ。

これを1時間半聞いていて。「なんでそんなことが可能なの?」みたいなことを聞いてると、この話は超おもしろいんですよ。これはだから、日曜ちょっと見てください。

のぶみ:ああ、そうか、ここから先が言えないんだ。なるほどね。

京都で会社を立ち上げた、クリストファー・テイトの話

西野:クリストファー・テイトというやつがいるんですけど、超頭いいんですよ。しかも、そいつ、そのサービスを始めるんですけど。それをするために、日本に来てるんですよ。

なんで日本でそれをやるかといったら、日本ってそれぞれのモノに神様がいて、モノに全部意思があって、そう信じられてるから。だからこのサービスをやるんだったら、日本発のほうが絶対にストーリー性があるからいいんじゃないかという。そこまで計算して、京都で会社を立ち上げて。

のぶみ:今の話は外人の話なんですか。

西野:外人です。でも、超おもしろい。

のぶみ:めっちゃ頭いいけどね。

西野:めっちゃ頭いいです。ずっと興奮してましたもん。びっちょびっちょですよ。

のぶみ:なにがびっちょびっちょなんだろう(笑)。

西野:なにかしらが、どこかしらが、もうびっちょびっちょになりました。

のぶみ:すごい(笑)。手塚治虫さんの『火の鳥』という漫画で「ロボットたちにやられてしまう」という話はあるんですよ。そういうふうになるのかもしれないですね。

ちょっと僕、おもしろいなと思ったのは、今日のFacebookかなんかで、(手で)パンパンってやると、会議でグチャってなってた席がちゃんと(元どおりに)整列するという(動画)。

西野:ありましたね。椅子がビューっと戻るみたいな。

のぶみ:でもあれは、会議中にパンパンってやったらどうなるんでしょうね?

滅びの呪文「バルス」は短すぎる

西野:確かに。どうなるんだろう? そういうときありますけどね。ハハって笑ってるときに(手を叩いて)、椅子がバーって。流れ弾ありますよね? ちょっと話ずれるんですけど。

そういうのってあるじゃないですか。それでいくと僕、前から思ってたんですけど、『天空の城ラピュタ』あるじゃないですか。ラピュタが滅びの呪文で「バルス!」って言うじゃないですか。あれ、短ないですか? 流れで言っちゃう。例えば、インパルスなんかおったら……(笑)。

最初にラピュタ見たとき、「バルス!」「みじか!」と思ったんですよ。「バルス」って言葉がなにかわからないけど、「頑張ります」みたいなのをちょっと噛み砕いて、「頑張るっす」とか言ってもうたら。

あれラピュタ、もうちょっと長くしないと。よくかわしてこれましたよね。「バルス」という言葉を。

のぶみ:「頑張るっす」は絶対言うよ!(笑)。

西野:「頑張るっす」とか言ったら、熱血なやつがいなかったからよかったものの。後輩でに「お前、頑張れ」とか言ったら、「頑張るっす!」「ガタガタガター!!」ってなるわけじゃないですか。ラピュタが。

のぶみ:最悪だよ(笑)。

西野:もうちょっと呪文長めに設定しておかないと、発動しちゃいますよね。

将来、ひな壇芸人と本屋はなくなる?

のぶみ:だから、機械にできないところって、その微調整だと思うんですよね。スパゲッティを作ったとしても、そこそこの味は作れるけど、さじ加減が違うというか、やっぱり人間なんでしょうね。

西野:なるほど。でも実際に、もうまもなくなくなる仕事と続く仕事というのはあるでしょうね。この仕事はなくなるというのと、この仕事の仕方してたら超やばいっていう。

のぶみ:けっこう知ってる人もいるかもしれないけど、ひな壇(芸人)をスマホで見るようになってきたから、「ごちゃごちゃ入れると見にくいぞ」というので、なくなるかもしれないというのと。

あとは、本屋がなくなるかもしれないという話も(西野さんが)言ってて。本屋はAmazonに勝てないから、なくなるかもしれないって。西野さん、「はあ〜」って言ってるけど、あなたが。

西野:僕、言いましたっけ? 店長の顔が見える本屋さんはたぶんまだ残ると思うんですよ。品揃えで勝負されるとまずいと思うんですけど。

店長の、要はあの人の選んでいる本を買いたいからという、昔のレコードショップみたいな。店長に信用があって、棚にちゃんと個性が出てる本屋さんはまだ大丈夫だと思うんですけど。ちょっといろいろ厳しくなってくるかもしれないですね。

のぶみ:本屋さん、今日会場にいらっしゃいます(笑)。申し訳ありません。

西野:でも、そんなこと言っても本屋は絶対なくなんないですよ。

のぶみ:やっぱり本屋はなくならないということですよね。

西野:俺が言ったの、それ?

トンボ:本屋なくなるって言ってた(笑)。

のぶみ:ちょっとすいませんけど、本屋の売上というのはどうなってます?

参加者:いや、もうどんどん落ちてますよ。

のぶみ:落ちてますか。

西野:売上が落ちてるみたいな。実はその『ハミダシター』っていうフジテレビの……。フジテレビの番組の話ばっかりして大丈夫ですか?

のぶみ:大丈夫だと思います。

西野:そこでも、本屋さんに出ていただいたんですよ。

のぶみ:今日TBSも来てます(笑)。でも、進めましょう。