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「オープンなものが勝つ」ドローン界のプラットフォーム戦争、クリス・アンダーソンの勝算

「オープンなものが勝つ」ドローン界のプラットフォーム戦争、クリス・アンダーソンの勝算

進化するドローンは私たちの生活をどう変えるのか? 4月7日、8日にかけて開催された「新経済サミット2016」にて、行われたセッション「産業用ドローン時代の幕開け ドローンが開拓する新たなB2B市場」。元『WIRED』の編集長で3D Robotics社のCEOを務めるクリス・アンダーソン氏、千葉市長の熊谷俊人氏、自律制御システム研究所の野波健蔵氏が登壇し、ビジネス、BtoB領域におけるドローン活用の可能性について語り合いました。

シリーズ
新経済サミット2016 > 産業用ドローン時代の幕開
2016年4月7日のログ
スピーカー
3D Robotics CEO /DIY Drones 創設者 Chris Anderson(クリス・アンダーソン) 氏
千葉市長 熊谷俊人 氏
千葉大学特別教授 株式会社自律制御システム研究所 代表取締役社長 野波健蔵 氏

【モデレーター】
アクセンチュア株式会社 取締役会長 程近智 氏
参照動画
産業用ドローン時代の幕開 -NEST2016-

多岐に渡る人々が参加するコンソーシアム

程近智氏(以下、程) それでは、少しパネルの議論にいきたいと思います。 まずは、野波先生、先ほど喋り足りなかったことが、たくさんあると思います。今日は「産業用」ということなので、先ほどもお話に出た、コンソーシアム200社とか地域とかがあると思うんですけれど、具体的にいうと、どんな産業で有望だとお考えですか? 先ほどもいくつか例が出てますけれど。 野波健蔵氏(以下、野波) 220社、日に日に増えています。半分ぐらいはやはり空撮とか、かなりこじんまりとしたかたちで、ドローンを「使う」ユーザーですね。残り半分ぐらいが部品を供給したり、モーターを作ったり、ESCというモータードライバー、そういう製造とかマニュファクチャ関係で貢献したいという方々。 それから、半分のうちのさらに半分ぐらいが今の製造関係で、残りの四分の一の企業さんはどちらかというと商社とか、「それをぜひ販売したい」という方々。 だいたいコンソーシアムというと、作る側の人たちだけが集まって、消費者とかあるいはビジネスと必ずしもフェーズが合わないかたちで、よく動くんですけども。 私たちは、メーカーとユーザーが一体になっていまして。使う人からの「ここがちょっと問題なので変えてほしい」という要望を聞きながら、メーカーは作っていく。そういうかたちで非常にうまく回ってると思います。

世界ではどのようなかたちで活用されているのか

 なるほど。ちょっと今の質問、私の質問の仕方がおかしかったかもしれないです。 もともと軍事産業で非常に伸びていて、明らかに、災害だとか、いろんな地図を作るとかという応用があると思うんです。第1次産業、第2次産業、第3次産業とあると思うんですけれど、そのへんは同時に立ち上げていくんですかね。 野波 そうですね。やはり、ここにいらっしゃるみなさんご理解いただけると思うんですが、無限の可能性があるんですね。どんどんアプリケーションが広がっている。1次、2次、3次産業というよりも、そのカテゴリーも超えて、第4次産業というかたちで広がっている、実情はそういうことです。  世界では野波先生が言うように、全産業でそれを今どうやって応用しようかという機運になっているのでしょうか? クリスの見方を世界的な観点からお願いします。 クリス・アンダーソン氏(以下、アンダーソン) 基本的に世界の最も大きな産業が関わっています。まず農業です。これについては先ほどすでにお話したとおりです。次は建設業ですけれども、建設というのは非常に興味深い業界です。日本は建築業界ではグローバルなリーダーですね。 建設で興味深いのは、まず、デジタルで、画面上で始めるわけです。それから実際に地面を掘る段階になるとアナログになるわけですけれど、そこで最初に計画したとおりに管理できなくなってしまう。 こうした場合に投入できる、「リアリティ・キャプチャー」というものがあります。これを使うと、プロジェクトを再度デジタル化することができ、最初に設計を作った時と同じようにデジタル上でプロジェクト管理を進めることができます。これに関しては、Autodesk社と、日立からも協力を得ております。 建設業でも不動産業でも建築でも、スキャナー用のドローンを活用できるわけです。そしてデジタル上のフローのなかで一連の管理を続けることができます。進捗状況やミスなども追跡可能で、非常に精密な管理ができます。 そして、工事現場だと特にドローンの導入が容易です。みんなヘルメットを被っておりますし、私有地だし、プライバシーの問題も生じません。 それから次に保険業。例えば、損害を受けた屋根の検査はドローンで簡単に行うことができます。それから、科学的な計測とか、環境の計測、あるいは捜索・救助などでも使うことできます。

住民の声もしっかりとくみ取って

 今度は、熊谷さんにお聞きしたいんですけれど、いい側面もある一方、リスクもたくさんあります。多くの場合、まだ法整備ができてないことがこれからわかってくると思うんです。 熊谷さん、その辺りについて、リスクの面ではどういうことがこれから起きるか、ポイントになるのかということを想定されてますでしょうか。 熊谷俊人氏(以下、熊谷) そうですね。おそらくドローン、さまざまな産業面での活用があると思います。そうした時に、例えばプライバシーの問題1つ取っても、撮影している画像のデータをどうコントロールしていくのか、個人情報に配慮したかたちでやっていくのか。 また、安全・安心について、どのへんの技術まで確立されていれば、どのエリアでの飛行を認めるのか。たぶん、それぞれ模索を今後していくことになると思っています。 先ほど話されていたように、たしかに民の土地からおそらく始まっていくんだと思いますけれども。とは言いながら、最終的に私たちも行政をやっていて、そうした地図データと複合的なさまざまなものというのは十分あり得るだろうと思っています。 そういう意味で、我々が実証実験をやる幕張新都心のベイタウンの方々というのは比較的科学技術が好きな、非常に先駆的な方々が住んでる街ですので。その地において実証実験をする場合に、その方々がいったいどのレベルのプライバシーを求めるのか、どの部分の安全性を求めるのかということについて、本当に一番話せる人たちなんですよね。我々としては、そのなかで、ルールをしっかり決めていきたいと思ってます。  ちょっと細かい話なんですけれども、これ具体的には自治会と一緒に、市とデベロッパーさんと一緒にこれからやっていくんですか? 具体的にどうやって回していくのでしょうか? 熊谷 来週に実証実験をやりますけれど、その時にもベイタウン関係の自治会には話をしています。実は国家戦略特区を申請するにあたって、私もベイタウンの自治会の方々とは顔見知りでありますので、こういう話をして。 「一緒にそこは考えていきましょう。みなさん方を無視してやっていくつもりはない。しかし、みなさん方であれば、少なくとも合理的な判断と議論ができると思っています」ということで。 彼ら自身もたいへん関心があります。パートナーの方々が技術的、ビジネス的にさまざまな実証を検討していくのと併せて、私たちは住民のみなさん方となんらかのかたちで、研究会などを立ち上げて、住民の側から見てどういう見解なのかというのを詰めていきたいなと、そう思っています。

ものづくりの国・日本の出番

 なるほど。ありがとうございます。話をもう少し深掘りしていきたいと思います。 世界で今ドローンがたくさん作られています。これから技術的なイノベーション、差別化の要因がいくつかあると思うんですけれども。 先ほどのクリスの話でいうと、ドローンはデバイスだと。デバイスというと、スマホもあるし、車もデバイスになるような世界になると思うんですけれど、車の次に民間用では非常に複雑なデバイスだという話がありました。 具体的にいうと、メカの部分とソフトの部分があると思うんですが、野波先生、長年研究されていて、差別化をこれからしていく要因はどこにあるかとお思いでしょうか? 野波 やはりここは「新経済サミット」ということで、将来的に日本はこのドローンをどういう具合に考え、どういう具合に私たちは立ち向かうのかということだと思うんですね。 激烈なグローバル競争の真っ只中にありまして、3ヶ月後、半年後にはガラッと変わっていく、そういう、ものすごくスピード感のある分野です。 世界中のドローンたくさん種類もありますけれども、よくよく開けてみますと、かなり日本製が使われています。 ですから、今、中国DJIの「Phantom 4」というのが出てますけれど、あれもかなりの部分が実は「なんだ、これは日本製じゃないか」と。中国製ということになってるんですが、実は準日本製。そういうレベルなんです。 つまり、それだけ日本は物を供給する立場にあるし、これからもしていくであろうと。これは日本の強みですね。産業用ドローンというのは、ホビーとはまったく違います。信頼性・耐久性・安全性。 先ほど、熊谷市長が話された幕張新都心のドローン宅配というのも、風の強い東京湾を超えて10キロも飛ぶ、あるいは、場合によっては、羽田空港からひとっ飛びで千葉に飛ぶという構想もある。そういうことをやっていくためには、ものすごい信頼性・耐久性・安全性がないとダメ。これはやはり日本ならではでできる。 ドイツも実はものづくりがすごく強いです。車もそうですね。今や車は機械じゃなくて、メカトロニクス、エレクトロニクスの塊になりつつあります。ドイツと日本というのはよく似ている環境でして。敗戦もそうでしたけれども。ものづくりはすごく強いんです。やはり勤勉さと手の器用さというのがあると思うんですね。 長くなりましたね、ごめんなさい。  大丈夫です。 野波 そういう意味では、日本はやっぱり、しっかりものづくりで貢献して。 私がクリス・アンダーソンと話してたのは、アメリカはITが強い。人工知能も含めて、ソフトはすごく強いです。今、日本がこれを寄ってたかってやってもアメリカには勝てません。 ですけれども、我々が連携して、ものづくりは日本がやって。ソフトは、もちろん我々もやりますけれども、一緒に連携することで、世界の市場のトップにいけるかなというぐらいに思っています。 そういう意味で、産業用ドローンは日本がいよいよ、日本の出番じゃないかとぐらいに考えています。

鳥のようなドローンを目指す

 なるほど。そうすると、部品のところが非常に日本は強いと。開けてみると、日本の部品に依存しているところがある。そこは絶対守らないといけないと。 よく言われてるのは、それに今度、組み立てる、マーケティングする、ソフトを乗っける部分。そういったところは少し弱いので、これから連携していくという考えですかね。やはり。 ただ、先生の研究所の名前は「自律制御システム研究所」ということで、「自律制御」ってまさしくソフトの世界ですよね。そこはもう世界をリードすると? 野波 私自身は約20年間ずっとそういうオートパイロットの制作から、とくにドローンで難しいのは姿勢制御なんですね。 IMU(Inertial Measurement Unit)というもので、加速度、ジャイロ、方位を今、使ってるんです。それで、どんなに風が吹いても、ピタッと水平を保つ、ホバーリングをするという、この技術が非常に重要で。 そこをすべて、私どもで開発をしてきて、まさにソフトです。制御技術というのはソフトウェアの塊です。 ですので、ここをエッジカッティングで先端的に新しい、落ちない、私が今、目指しているのは鳥のように飛ぶドローンです。じゃあ、それをどうやって実現するか。鳥は絶対に電線に引っかからないですし、木の葉にも絶対に当たらないようにしてチャッと枝に着陸するわけです。そういうようなドローンを目指しております。 ここは、やっぱり我々ももちろん日本でしっかりやっていきたいと思うんです。  そのなかで自律型で飛ぶと思うんですが、トラフィックコントロールの部分とかもあると思うんですけれども。ちょっと今クリスが、手を上げましたね。

カメラ、自動車…日本のメーカーの技術が生きる可能性

アンダーソン 野波先生の言葉に加えて申し上げたかった点があります。日本の強みに関して、先生がおっしゃったように、ものづくりがあげられるわけですけれど、それ以外にもカメラやセンサーという強みもあるわけです。 日本のカメラ会社は、世界最高水準ですが、今、新規市場を開拓しようとしています。みなさんご存知のように、スマホの登場でカメラ市場は縮小しているからです。しかし、カメラと同じセンサーや光学レンズ、メカトロニクスなどはドローンでも使えます。 そのため、キヤノンやソニー、ニコンなどといった会社は、ドローンに搭載されているセンサー分野で、これから重要な役割を果たすことができると考えられます。 そのほかのケースを見てみると、実は日本の自動車メーカーも深く関連しています。 自律型のドローンは、自動車の自動運転とちょうど同じような課題を抱えているからです。 特にトヨタ、そしてホンダもある程度そうなのですが、レーザーやレーダー、超音波センサー、カメラセンサーなど、ドローンに使われるのと同じ技術が見受けられるようになりました。 さらに、グーグルやテスラが先導して自動運転が始動しているシリコンバレーと、そうした技術を応用する日本企業との間で、多くの連携関係が生まれています。

オープンvsクローズの戦い

 よく日本が負けてしまう領域が2つあります。ひとつは標準化。ドローンが飛ぶ環境のトラフィックコントロールの領域の標準化の動きがどうなってるのかと。これはクリスと先生にお聞きしたいです。 あともう1つ。非常に大事なのは、最近、プラットフォームプレイという言葉がありますが、プラットフォーマーが勝つということで。このドローンの世界のプラットフォームプレイというのはどういうものがあるのかということ、とくにアメリカではプラットフォーマーの話がよくあると思うんですけども、その辺、クリス、どうでしょうか。 この2つの視点、標準化のところと、いくらいいものを作っても、そこのデータも利益もプラットフォーマーに全部持ってかれてしまう、という2つの視点があると思うんです。 アンダーソン スマホの時代、それからインターネットの時代、あるいはPCの時代からの教訓とも言えることは、21世紀の勝者はプラットフォームだということです。プラットフォームvsプラットフォームの戦いです。 プラットフォームというのは、ハードとソフトの両方がありソフトウェアについては、フルスタックでデバイスからクラウドにいたるまでということになります。 そのようなプラットフォーム同士の戦争というのは、オープンとクローズド、この2つの戦いです。スマホの世界でいうと、どちらかというとクローズドプラットフォームのAppleに対して、Androidのオープンプラットフォーム。どっちもよいです。おそらく会場にいるみなさんの半分はAndroid、半分はiPhoneをお持ちだと思います。 このオープンvsクローズの戦い、これこそが21世紀を形作るものだと思います。2つだけです。三つ巴の戦いではないんです。そして、究極的には、より大きいプラットフォーム、最もユーザー数の多く、最もイノベーションを起こしているプラットフォームが勝ちます。 Androidは世界市場の87パーセントを占めております。オープンだから勝っているのです。一方でApple。利益の87パーセントを享受しているかもしれませんけれども、市場シェアはAndroidが87パーセント。 ドローンでも同じことが起こると思います。エコシステムをいかに形成するかということです。 さて、私、Dronecodeを創設して理事長を務めておりますけれども、こちらはドローンのオープンプラットフォームになります。DJI以外のプレイヤーが参画しております。DJIはクローズドプラットフォームなので、我々がAndroid、向こうがiPhoneと言っていいかもしれません。 「オープンこそが勝つ」と私たちは信じています。1社だけで勝てるほど単純な業界ではないからです。AIとかアプリケーションとかハードとか、あるいは市場とか規制とか。あまりにも複雑なので、連携する必要があります。 ですから、ドローンの分野でも、オープンで効果的なエコシステムこそが勝つと思います。そして、先生ともぜひその点で一緒に協業できればと思います。  野波先生、この辺、非常に重要なポイントなので、何かありますか? 熊谷さんすいません、昔のお仕事はそういう世界だったと思うので、技術的な側面からお話に入ってもらってもけっこうです。

  
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