女を売りにしていない、戦う女が出てきた

山田玲司氏(以下、山田):『マッドマックス 怒りのデスロード』で普通の人頑張る、ポンコツ頑張るという話の流れと、もう1つはフィリオサですよ。エロなしのヒロイン。戦う女、カッコいいみたいな。この流れがスターウォーズにもあって。

おっくん:なんか『G.I.ジェーン』と同じようなのが出てくるんですよ。

山田:ちょっと待ってくださいよ。

東村アキコ氏(以下、東村):『G.I.ジョー』?

おっくん:ジェーンのほう。

山田:フィリオサっていうね……。

東村:今マッドマックスの話?

おっくん:マッドマックスの話(笑)。

山田:マッドマックスのフィリオサ。それが、今回、レイというキャラクターいたでしょう? スターウォーズの女キャラクターのやつ。

東村:かわいかった。

山田:あれは、女を売りにしてない。戦う女。かっこいい。かと言って、女を捨ててる感もないみたいな。というのが実にいいバランスであって。それが、フィリオサもそうだったんで、なかなかタームに来てるよなというのもあるよなという。

東村:要するに、歌を歌って鎮めるとかじゃないというね。女の役割がね。ってことでしょう?

山田:そう。マクロス的なやつですか?

おっくん:ただ、一緒に戦うということなんですよ。守られるんじゃなくて、自分も。

東村:めっちゃ機械に強いんだよ。その今回の子。ね? メカドックなんだよ。

山田:まさかの『よろしくメカドック』。ありがとうございます。すごいなこれ。

東村:姫ポジなのにメカドックもやっちゃうんだよ。全部やっちゃうんだよ、女の人なのに。それはすごいよかった。

山田:守備範囲がわからない(笑)。

おっくん:男性化していってるってことでしょう?

山田:というか、同権。女だからこの役割とかいうんじゃないタームに入ったなとう。まさにマッドマックスが一番象徴的に。

おっくん:『ガッツとキャスカ』でしょう?

久世:次は『ベルセルク』か(笑)。

東村:うんうん。ブルマ。ブルマの貧乏版。今、ここに「ブルマね」って書いてあるけど。

山田:ブルマの貧乏版(笑)。

東村:ブルマはお嬢だけど、貧乏やから、その人は。

おっくん:話が飛びすぎて(笑)。

実は努力するって楽なんだよ

山田:あと1つあるのが、努力しかもうないなってところと同時に、ストイックって、楽だな、快楽だなっていう。実は努力するって楽なんだよ。快楽なの、気持ちいいの。ということを長ーく忘れてたんだよ。楽してなんとかしようという気持ちが強すぎて。

でも、楽して何かを待っていたって「何もおきないじゃん?」って言って、20年ぐらい経っちゃったの。それで「もう限界」って言って、「やりますよ、血豆作って」というのがセッションの流れみたいなのであってさ。

そしたら、これシンクロしてて、同時期に修造が流行ってったじゃん。今年。武井壮とか。

東村:日めくり、すごい売れたんだって。めちゃめちゃ売れたんだって。

山田:そうそう。フレッチャー先生じゃん、修造って。修造がメンヘラになったら、フレッチャー先生になるじゃん。そんな感じあるじゃん?

おっくん:そうですね(笑)。それはそうだわ。

山田:あと武井壮というキャラクターが今年。あれ漫画のキャラだよほとんど。あの人、「バキで出てる人でしょう?」って感じじゃない?

おっくん:バキに出てるというか、バキ……。

山田:バキなんだよな、あの人な。出てきちゃった、漫画の中から。

おっくん:僕、非常に好きですよ。

山田:そういう流れ同時に出てきちゃって、そういうストイックジャンキーというか。だから、ストイックによる脳内麻薬で気持よくなっちゃってる人たちがぼちぼち水面上に現れちゃってるの。ただの変人だったのが、おもしろいなってことになっていたというのもちょっとありだな思って。

あと、この話関係ないんだけど、ちょっとだけ言いたいんだけど。ずっとフィンのことを考えての。さっき言ったトゥルーパーの中にいる……。

東村:ライザップやって。

おっくん:なるほどね。ライザップそうだよね。

東村:ライザップねん。うん。そうや。

ヒモザイル復活の可能性

山田:要するにブートキャンプ的なことがやりたくなってきたんだよ、みんな。フレッチャー先生を待ってるというね。

だから、アッコがそうなんだって。ヒモザイルはお前にバシバシやられたいわけよ。

東村:まあね。

山田:そうなんだよ。

東村:いや、ヒモザイル応募の人いっぱい来たからね。

山田:そう。そしたら、まさかのフレッチャー先生が折れちゃったというね(笑)。乙女だったんだよ。耐えられなくなっちゃいました。

東村:乙女だから。もう、みんなそこをわかってない。うん。

山田:本当にわかってない。

おっくん:「訴えたのはお前か」みたいな。

東村:このあいだも年末のさ……。

おっくん:あれ?(笑)。

東村:ごめんね、おっくん。年末の漫画家さんが集まるパーティみたいのが毎年あるんですけど、いろんな先生に怒られた。

本当浦沢先生にまず「何やめてんだよ?」って。「やれよ」っていろんな先生に怒られた。「やってよ」って。もうシュンですよ、またそれで(笑)。

山田:怒られるのに弱いよね。

東村:怒られっぱなしで。「あれ、楽しみにしてたのに」とか言って。

おっくん:みんな楽しみにしてますよ。

東村:来年、復活しようかな。じゃあ。

山田:いいんじゃん。ういーい! 待ってる、待ってる! 世間が待ってるよ!

東村:ウェイト。お預け。今はお預け。来年心が復活したら。

山田:傷が癒えたらな。

東村:3人ぐらい増えたしね。ヒモザイルも。

おっくん:へー。

東村:応募してきた子が、売れてなくてこれから売れたいというお笑い芸人の子と、あと格闘家目指してる子と、あともう1人知り合いの息子みたいのが増えて(笑)。もう即行でアシスタントでうちで消しゴムがけとかやってるけど、今。

山田:そこから始まるんだよ。フレッチャー先生は。ビシビシと。いい男になれ。ビシビシ。

東村:やりますわ。来年はどこかでね。

オバマは「チェンジ」できなかった

おっくん:それで、それで?

山田:いや、トゥルーパーの中から現れた黒人青年フィン。ボンクラ。でも、夢はあったみたいな。もうオバマ政権が被っちゃってね。オバマに見えちゃってしょうがないんだよね。どうせ君はキョトンとするだろうなと思ったんだけど。

おっくん:オバマ?

山田:オバマってマイノリティの代表みたい感じで出てきたでしょう、最初。「Change」とか言って。要はアメリカ発の黒人大統領でさ。でもさ、結局、何をやらさせれたかというと、イラク戦争の後始末と、もともとのティーパーティの人たちのための行動をさせられてたっていうさ。結局何もできなかったなっていう。

東村:みんな知的やから、すごい頷いてるよ。ほら、うんうんうんって。

おっくん:最初の選挙の時にスティービー・ワンダーが出てきて、歌を歌うんですよ。それで、こうやってやるやん。

まあ、目見えない設定なんだよ。何歌うのかなと思って。「Stay Gold 」じゃないっけ? 「Barack Obama, Barack Obama♪」って歌って、みんな「うわ~!」ってなって、「USA!」とか言ってるの。アメリカ人バカだなと思って。「もうダメだ、これ。誰がなってもバカだわ」って思いましたよ。

山田:ナイスファイト(笑)。

東村:よかった、今の。

山田:かなと思って。だから、切ないなと。ただ、フィンは脱走するわけだよね。自分のための人生を始めるわけなのね。だから、オバマの次の人生みたいのが被っちゃうなみたいな。結局帝国のために使われてしまった感があったの、オバマって。チェンジできなかった。

あの時、支持をさ、お金を集めたところの先がやっぱりすごいニューヨークの金融関係の人だとか、軍需関係とかからもいっぱいもらって勝ったというのがあって。もう宿命的にどうにもならなかったんだというのはあるんだけどさ。

それがトゥルーパーの宿命とちょっと被るというか。なんかそこがもし被ってたすごいなと。

あともう1個。さっきの「フォースって何?」って話なんだけど。フォースって作品の中では、万物に宿るエネルギーだって言ってるの。これって東洋の「気」みたいなものなの。

東村:「気」ね。「気」って言われたらわかるわ。

山田:そう。「気合だ!」の「気」なの。だから、「フォースだ!」っていうのって、意外と日本語にすると「気合だ!」になるんじゃないかって言って。あのアニマル的なものが(笑)。

おっくん:フォースだ! フォースだ! フォースだ!

山田:すごいやりにくいよー。ルーク、フォースだ! フォースだ! 台なしですよ、あれ(笑)。

東村:いいね。