世界イチ簡単な熊本を応援する方法

絵本作家のぶみ氏(以下、のぶみ):熊本が地震になったじゃないですか。

西野亮廣氏(以下、西野):そうですね。

のぶみ:熊本が地震になって毎日(ニュースが)流れてて、それで物資が届かなかったという話。物資が届かないから、「自宅にいて支援する方法がないのかな」と思って。

西野:あー。

のぶみ:「Amazonか楽天から、物資を送ればいいじゃん」と思ったんですよ。

西野:はいはいはい。

のぶみ:それはいけるのかなと思って、熊本の友達に電話して、「なにがほしいんですか?」って聞いてやって。僕なんかは炎上がまだ下手くそだから。

小谷真理氏(以下、小谷):なるほど(笑)。

のぶみ:それで、「世界イチ簡単な熊本を応援する方法」というのをやったら、ものすごい来たんですよね。(西野さんのブログみたいに)90万とかじゃないけど、ものすごいリツイート数と「いいね!」数が来て、Facebookがものすごかったんですね。

西野:それ、どうやって熊本を応援するんですか?

のぶみ:例えば楽天で物資、水とか米とか毛布とかを「送ってください」と言うと、梱包しないといけないじゃないですか。それで送らないといけないのはけっこう手間がかかるじゃないですか。

西野:はいはいはい。

のぶみ:でも、おじいちゃん、おばあちゃんでもできるように、「Amazonからその住所に送れば、全部物資が送れる」と書いたら、ものすごい来たんですね。

西野:なるほど。

復興支援に対するバッシング

のぶみ:それをやったときも、やっぱり「死ね」とか、「目立ちたがり」とか……。

小谷:なんでー?

のぶみ:すごいあって。僕はそういうの慣れてないから。

西野:そうか。

小谷:なるほど(笑)。

のぶみ:ちょっと……。

小谷:そういうときの心持ちとか。

西野:のぶみさん、優しいから。

のぶみ:「死ね」って言われたら、どうすればいいの?

西野:「おまえが死ね」って(笑)。「おまえのほうが、先に死ね」と。

小谷:また燃える(笑)。「おまえが死ね」って思えばいいということですね。

のぶみ:いや、すごいことだと思った(笑)。バーッてFacebookのメッセージが来たりしたから。

西野:のぶみさん、優しいんですよ。

のぶみ:見てると、すごいなんか……。

小谷:悲しい気持ちになるとか。

のぶみ:もちろん応援してくれてる人もいるんだけど。「なんでお前は熊本に行かないんだ」とか言われて。よくわかんないうちに「おれ熊本に行くのかな」っていう錯覚に陥って(笑)。

西野:でも、実際に行かれるんですよね。

のぶみ:行くんですよ。「4月27、28日に行く」と言ったら、アッという間にいろいろ仕組まれて。

西野:すごい。

のぶみ:僕は物資を運びに行くのかなと思ってたんですよ。そしたら、熊本の人に聞いたら、「え、読み聞かせしないんですか?」とか言われて。

西野:あー。

のぶみ:「絵本にサインしてくれるんですか?」とかすごい言われたんで、「そうなんだ」と思って、「そんなことしていいんだろうか?」って。

西野:それはうれしいっすよ。

のぶみ:「これしたら、どう思います?」と書いたら、またやっぱり「死ね」と(笑)。

西野:またっすか!

のぶみ:「死ね」と「頑張れ」というのがすごい来て。「俺けっこう『死ね』って言われてる」と思って(笑)。

小谷:なるほどね。

のぶみ:結局、「私たちがなんとかします」と言って、熊本のママさんたちが仕組んでくれて、行くことになったんですよね。

小谷:すげー!

西野:27日ですか。

クラウドファンディングの企画の大半はつまらない

のぶみ:熊本空港に行くんですけど、ここに実は、ホームレス小谷さんがいるんですね。

小谷:うん。

のぶみ:ホームレス小谷さんのクラウドファンディングで、実は「ホームレス小谷さんも熊本に行け」というのがあって(笑)。

西野:そうそうそう。行くんやろ?

小谷:はい、行きます。

のぶみ:でも、まだ足りないんですよね?

小谷:まだちょっと、貯まってる金額では行けないみたいですね。

のぶみ:小谷さんが熊本に行ったら、なにができるんですか?

小谷:僕ですか。いや、なんでもやります。

のぶみ:じゃあ、なにやってほしいか、ちょっとコメント書いてもらって(笑)。

西野:雰囲気が良くなるよな。

のぶみ:雰囲気が良くなる!

小谷:空気がいいから。

のぶみ:とにかくめでたい人だから、サンタクロースみたいな人なので。

小谷:連れて行ってください。

西野:あ、(コメントで)「小谷さん、支援しました」って。

小谷:ありがとうございます!

西野:「小谷を熊本まで行かせよう」みたいなクラウドファンディング?

小谷:そうです、そうです。

のぶみ:ちょっとね、みんな、やってほしいっすね。

西野:たぶん僕、クラウドファンディングをだいぶやってるほうだと思うんです。

のぶみ:小谷さんもものすごいやってるでしょ?

西野:ここは、すげーやってるんですよ。それでやっぱり、すごい見るんですよ。クラウドファンディング、どんな企画があがってるのかなって。

のぶみ:そうですよね。

西野:それで、だいたいがそんなにおもしろくないんですよ。クラウドファンディングの企画って。

小谷嫁「肉食いたいからお金ちょうだい」

のぶみ:さっき小谷さんに聞いたんだけど、「肉食いたいから」って(笑)。

西野:それ最高! ここ何年かのクラウドファンディングで1位ですよ。

のぶみ:「肉食いたいから」って言って、(お金)集まったんだよな?

小谷:集まりました。

のぶみ:なんだそれ。すげーよ。

西野:小谷の嫁のクラウドファンディングで、「肉食いたいからお金ちょうだい」っていう企画立ち上げて。糞すぎるじゃないですか。

小谷:(笑)。

西野:でも、それって別に誰にも迷惑かけてない。

のぶみ:「食えよ!」っていう気になるよね(笑)。

西野:誰にも迷惑かけてない。

のぶみ:小谷さんがクラウドファンディングで、「肉食べたい」というのをやったという話です(笑)。

西野:嫁です、嫁。

小谷:僕の嫁がやりました、はい。

西野:小谷の嫁が、クラウドファンディングの企画の中で、ここ何年かで一番いい。

小谷:ありがとうございます(笑)。

お金を集めるには、いろんな方法がある

西野:要は、じじい連中とかは「肉食いたけりゃ働け!」って言うやつがいると思うんですよ。「楽してお金もらおうとすんな」と。

小谷:うんうん。

西野:でも、誰にも迷惑かけてないじゃないですか。

のぶみ:そうだよね。

西野:「肉食うために働こう」と思うやつは働いたらいいし、「肉食いたいから、人からお金もらおう」と思うやつはそれでいいし。

のぶみ:(笑)。

西野:多様性があっていいじゃないっすか。全部の選択肢があっていい。

のぶみ:どういうあれなんだ、それ(笑)。

西野:なんて言うんですか、「お金を(稼ぐには)、絶対に苦しい思いをしなきゃいけない」みたいなのがあるじゃないですか? お金を稼ごうと思ったら、対価として苦しい思いを……。

のぶみ:ああ、そうか。

西野:でも、ふだんすごい人のことを幸せにしてる人、笑わしてる人とか楽しませてる人は、「ごめん、1000円ちょうだい!」と言って、それでもらってもいいじゃないですか。

この瞬間はたしかにもらってるかもしれないけど、別のところで信用を作ってるわけだから。

小谷:うんうんうん。

西野:別に集まれへんかったら集まれへんかったでいいし、集まったら集まったでいいし。お金を集める1つの選択肢としてすごいいいし、クラウドファンディングを浸透させるためには、ああいう「肉食いたいからお金ちょうだい」って(いいと思う)。

のぶみ:(笑)。

西野:工夫もへったくれもない。肉食いたいって。

小谷:いいっすよね。アホっぽくて。

「目標金額5000円」で集まったお金

のぶみ:小谷さんは、それで肉を食べられたらめっちゃうれしいですか?

西野:小谷の嫁です。

小谷:僕の嫁です。

のぶみ:嫁が「肉食いたい」って言ったんですか?

西野:(笑)。

小谷:僕がお金持ってないから、(嫁が肉を)食いたいときに、僕が「持ってへん」と言ったら、「じゃあ、クラウドファンディングやる」と言って始めたんですよ。

西野:整理しますけど、小谷がやったんじゃなくて、小谷の嫁がクラウドファンディングをやったんですよ。

小谷:今日。

のぶみ:そうなんだ。

西野:小谷じゃないんすよ。

小谷:僕じゃないっす。

のぶみ:「肉食いたい」っていうクラウドファンディング?

西野:小谷の嫁が、「肉食いたいからお金ちょうだい」っていうクラウドファンディングを立ち上げたんです。

のぶみ:すげーな! 嫁。

西野:それが見事だと。もう集まってるし。

小谷:集まりました!

のぶみ:集まったんだ。

西野:集まったんですよ。

のぶみ:いくら集まったの?

小谷:最初は5000円ぐらいの目標金額で、たぶんもう2万円ぐらいいってると思います。

西野:それがすごい。

小谷:4倍ぐらい集まってもうて(笑)。

のぶみ:マジで。

クラウドファンディング「CAMPFIRE」がおもしろい

西野:今なんかすごいっすよ。CAMPFIREむっちゃいいっすね。

小谷:CAMPFIREはおもしろい。

西野:やっぱ家入さんが戻ってからのCAMPFIREは……もうすごいですね。

小谷:めちゃくちゃいい。

西野:そういう「肉食いたいからお金ちょうだい」という企画を立ち上げていい雰囲気を作っちゃったのが(すごい)。人からお金をもらうには、もうちょっと崇高なことしかやっちゃいけないみたいな……。

のぶみ:だから、熊本のあれとか。

西野:なんか社会貢献してるとか、でっかい夢とか、そういうことでしか人からお金をもらっちゃいけないみたいになってるんですけど。

のぶみ:そっかあ。

西野:それがすごい、なんか次の時代の……。

のぶみ:「肉食いたい」と言った嫁、すごいよな。

小谷:けっこうTwitter見たら、「こんなことしてええんや」みたいなので、「私もやろう」という人が何人かいましたよ。

西野:そうそうそう。それがいい!

のぶみ:「私もやろう」って言ったんだ(笑)。やった人いないんだ、それで。

小谷:そうです。

のぶみ:ちなみに、ほかはどういうのがあるんですか? 「肉食いたい」以外のやつ。

西野:小谷の「新潟行くからお金ちょうだい」とか。

小谷:あと「赤いハット買いたいからお金くれ」って言って(笑)。

西野:赤いハットはいくらやったん? 目標金額。

小谷:6000円です。

西野:クラウドファンディングの目標金額を6000円にして。

小谷:僕、全部めちゃくちゃ安くしてるんですよ。

西野:それでいい。

小谷:でも、いいっすよね。それで倍にする人がおってもええし、クラウドファンディングで。だから1個「あ、クラウドファンディングしよ」みたいになればいい。

のぶみ:すごいんだね。

西野:それよくないですか? なんか。

のぶみ:僕もちょっと、いろいろ柔らかく考えよ。

小谷:そうっすね。