楽天株式会社2016年度第1四半期決算説明会

司会者:ただ今より楽天株式会社2016年度第1四半期決算説明会を開始いたします。まず初めに登壇者を紹介させていただきます。

みなさまから向かって左手より、穂坂雅之、山田善久、平井康文、河野奈保、以上4名でございます。それではこれより説明に移らせていただきます。

山田善久氏:財務を担当しております、山田でございます。本日は、楽天株式会社2016年度第1四半期決算説明会にお越しいただきまして、ありがとうございます。

私から簡単に概況を説明しまして、その後各分野それぞれの担当からご説明させていただきたいと思います。

まず決算の数字に入る前に、あらためて楽天という会社がなにを売り出しているのか、その根幹になにがあるかということを申し上げたいと思います。

「No.1 Membership Company」の基本理念

ここに書いてありますとおり、「No.1 Membership Company」ということです。楽天というのはひと言でいうと、「メンバーシップを中心に、会員の方にさまざまなサービスをご提供する会社である」ということをあらためてお伝えしたいと思っております。

ここに書いてありますとおり、多くのサービスを利用するほど、よりメリットがある、還元される経済圏ということで、私どもエコシステムと呼んでますけれども、楽天市場、楽天カードを中心として、さまざまなサービスを、メンバーシップ、楽天会員の方にご提供するというのが基本的な考え方でございます。

その中でも、楽天市場、楽天カードというところが大きいわけですけれども。例えば、楽天市場ユーザーにおける伸びしろを考えてみますと、楽天市場ユーザーでプラチナ・ゴールド会員。最上位にはダイヤモンド会員というのがあって、ダイヤモンド会員になるためには楽天カードが必要なので、除外しているんですが。

プラチナ・ゴールド会員というかなりのヘビーユーザーの中でも、楽天カード会員の比率というのはまだ66パーセント。逆に言えば、非楽天カード会員が34パーセントいるということです。

この方たちに楽天カードに入っていただくと、相当、楽天市場での消費が伸びるということがわかっておりますので、私どもの「No.1 Membership Company」という考え方をベースに、かなりやってきたつもりではあるんですけれども、まだまだ伸びしろがあるということでございます。

楽天経済圏内のライフタイムバリュー最大化ということで、楽天市場からさまざまなサービスにユーザーを導き入れさせていただいて、楽天経済圏の中でいろんなサービスをご利用いただきたいと。

第1四半期の決算ではあるんですけど、あらためてその考え方だけお伝えしたいということでございます。

連結業績

具体的に連結の業績なんですが、まず売上。前年同期比+13.5パーセントということで、順調に伸びております。

FinTechの中心であるカード・銀行の営業利益が前年同期比+10パーセント台後半の高成長を持続していると。

それから、グローバルEC流通総額。国内と海外の主要なところを合わせた流通総額は前年同期比15.1パーセントということで、こちらも順調に伸びております。

国内のEC流通総額。前年同期比+12.5パーセントと、徐々に再加速をしてきてるということでございます。この背景としては、楽天市場における品質向上の取り組みが成果を出してるということでございます。

私どもが利益の主要、中心に見ているNon-GAAP営業利益でございますが、こちらは前年同期比で−16.8パーセントです。こちらは、国内のECにおける積極的な販促活動を反映してるということでございます。

事業別に見ますと、「国内EC」の営業利益が前年同期比−17.3パーセント。「その他インターネットサービス」、かなり多様なインターネットサービスがございますけれども、こちらは若干改善はしてきていると考えております。

FinTech、金融全体でみると楽天証券が、どうしてもこれ国内の株式取引の影響を受けるものですから、そちらが若干減益になっている関係で、トータルではほんのちょっとマイナスになっておりますけれど、これは証券ディーラーもそういう性質のビジネスなので、やむを得ないかなということでございます。

それから、Non-GAAPからいわゆる会計上の営業利益への調整額。こちらは通常どおりのものしかなくて、ひいて重点をおく項目等ございませんので、とくにコメントはございません。

ということで、トータル的にいうと、以前からみなさまにお伝えしていたとおり、楽天市場を中心とした国内ECの部分で積極的な投資をするということに伴って、多少の減益にはなってございますけれども、それに伴ってEC流通総額が再加速してきているということで。いい結果、私どもの考えているとおりの内容が数字に現れてきているのではないかなと考えております。

Fintech分野の売上利益

穂坂雅之氏:こんにちは。FinTechを担当しております穂坂です。よろしくお願いします。

先ほどFinTechのトータルの売上利益を説明しましたけれども、その内訳でございます。主要3社とその他となっております。

見てわかるとおり、売上収益、これは楽天カードが前年同期比+19.5パーセント、銀行が+14.4パーセント。証券は、先ほど言ったようにマーケットの事情がございますので、マイナスになっております。

営業利益を見ますと、楽天カードが前年同期比+15.6パーセント、銀行にいたっては+18.2パーセントの成長でございます。

トータルとしましても、利益のほうが昨年同期なみ。売上のほうがさらに9.3パーセント成長しているということでございます。

3社につきまして、もう少し細かく、いくつかトピックをお話しますと、繰り返しになりますが、楽天カードのほうですけれども、19.5パーセントの成長。322億円、それから売上が71億円ということです。

見てわかりますとおり、売上は左から右に順調に拡大して伸びてきてるというところです。

それから、収益のもとになってます、カード事業の取扱高。これは前年同期比+21.4パーセント。昨年が通期で20.2パーセントでした。そういう意味では、さらに取扱のほうの伸びが上がっています。

そして、業界の統計で取られている数字が、昨年度は7.7パーセントと記憶しておりますので、そういう中では、昨年が20.5パーセント。それを超えてきたということで、非常に順調にカードの取扱が成長しています。

それに伴って収益のほうですが、リボ残高をしっかり積み上がるということで、19.2パーセントの前年同期比で伸びておりますので。キャッシング等を入れますと、4千億円を超えるという規模になっております。

台湾楽天カードが10万人を突破

こちらの台湾楽天カード。昨年の1月にスタートしまして、1年ちょっと経ちますが、いよいよ10万人を突破しました。

台湾で楽天カードが非常に人気を博しておりまして。台湾の方が大変多く日本に来ていらっしゃいますけれども、日本で楽天カードを使ってるという状況になってきております。今後もここをさらに拡大したいと思います。

銀行でございますけれども、収益、それから利益のほうですね。先ほど言ったように163億円。それから利益のほうが36億円ということで、銀行のほうも四半期ベースで順調に成長していると。マイナス金利の環境でございますけれども、会社としては順調に拡大しております。

その中でも、銀行の収益の大きな柱でございます、「楽天銀行スーパーローン」ですけれども、こちらは債権が3,532億円ということで、12.9パーセントの成長。会員数も前年同期比で16.9パーセントということで、まったく問題なく推移しております。

証券ですが、マーケットのほうの影響はありましたけれども、121億円。46億円の利益ということで。見てわかりますとおり、マーケットの影響だけでございますので、とくに大きな問題はなく成長しています。

FinTech全体としましては、非常に楽天のエコシステムを使いまして、会員を巻き取って、それを利益化するということが今回のクオーターでも十分にできたということです。以上です。

グローバルECの成長

河野奈保氏:みなさん、こんにちは。楽天市場を担当しております、河野と申します。私からはグローバルECのところをご説明させていただければと思います。

まず、最初のご説明したいのが、国内EC流通総額とEbates流通総額を合わせました、グローバルEC流通総額になります。

こちら見ていただいてわかるように、今期においては8,313億円。そして、前年同期比+15.1パーセントと引き続き強い成長をしているということになります。

続きまして、国内EC流通総額の推移です。今回が6,879億円。前年同期比+12.5パーセントの成長となっております。前期の第4四半期に関しましては、この成長率が+10.9パーセントでしたので、再加速をしていると思っていただければと思います。

「スーパーポイントアッププログラム」の効果

大きな要因としましては、先ほどありました、「スーパーポイントアッププログラム」と品質向上の取り組みが功を奏していると思っております。

こちらが国内ECの業績の推移になります。売上の収益は、前年同期比+8.3パーセント。営業利益は、中長期的な投資を行ったことで−17.3パーセントのダウンとなっておりますが、こちらは予定どおりと思っていただければと思います。

「スーパーポイントアッププログラム」に関して、もう少々細かい数字をご説明いたします。こちらは楽天のエコシステムを活用した新たなプログラム、今年の頭から進めさせていただいております。

内容としましては、楽天カードや楽天市場のアプリケーションを使うことで、楽天市場のポイントが貯まりやすく。そして、ユーザーにポイントをきちんと還元する。こういったことでスタートしているものです。

期間限定のキャンペーンではなくて、ポイントプログラムというかたちで、恒常的にやらせていただいているものです。

この効果としまして、明らかな効果が見られてきております。1点目が新規と復活ユーザーの増加です。そして、2点目がライトユーザーの流通総額の増加。そして、中長期的な成長へこれから行けるのではないかというところに強い自信を感じております。

ここの点について、数字を用いてご説明をいたします。

まず、新規と復活ユーザーの数なんですが、こちらの「復活」というのは過去1年以降、楽天市場で購買がなかった。過去に使われていたんだけれども、その後休眠していたユーザーなんですが。そこも含めまして、成長率で+11.6パーセント。ここが改善してきているというところになります。

これにつながって、ライトユーザーの成長が見られておりますので。結果として、今後半年〜1年というスパンで、楽天市場全体の流通に大きな貢献をしていくと、自信を持っているところでございます。

楽天モバイルのシェア70パーセントに向けて

また、楽天というと、モバイルもかなり注力をさせていただいておりまして。前四半期でいいますと、モバイルの流通のシェアが54.2パーセントだったんですが、今期は57.6パーセントまで。約3.4ポイント成長いたしました。こちらの数字年末には70パーセントまでなると予測をしております。

また、注力しております、楽天市場のアプリ経由流通に関しましても、前年同期比で+110.8パーセント。2倍以上の数字をしているというところになります。

もう1つご説明したいのが、楽天のモバイルのアプリなのですが、月間アクティブユーザーにおけるデイリーアクティブユーザーの比率です。簡単に言いますと、どのぐらいのユーザーが頻度高くアクティブにアプリを使っているかという数字になります。

Yahoo (Japan)さんやAmazonさんの数字と比べましても、弊社のほうが上回る数字となっておりまして、27.4パーセント。「活発にご利用いただいてる」と言えるかと思います。

楽天カードと楽天市場の親和性

それから、先ほどからありますように、楽天カードと楽天市場の親和性も引き続き好調に成長しております。今期に関しましては、46.4パーセントが楽天カードでの決済をされているというところになります。

こちらが楽天カードのユーザーがEC事業でどのぐらいシェアを使っているかというところになります。

Yahoo Japanさん、Amazonさんと比べましても、この「スーパーポイントアッププログラム」の効果というところで、楽天市場の比率が成長しているということになります。

EC事業における品質向上の取り組み

もう1つご説明したいのが、品質向上の取り組みでございます。2年ほど前からすべての品質向上をかかげて、スタートしておりますが、今回ご紹介するのは、ショッピングに関わるすべての工程において、どのような取り組みをしているかというところになります。

工程というのは、例えば検索をして、コンテンツを閲覧して、そこから購入のステップ、配送、配送後のフォローアップに関して、今積み重ねているところでございます。

詳細としてはこのようなかたちで、例えばサーチの改善をしたり、どのくらいポイントが貯まるかという表示をいろんなところにすることによって、ユーザーにわかりやすくするといったところの改善を進めてまいりました。

本日は、このなかから2つご紹介いたします。

まずは送料無料の比率です。現在の楽天市場における送料無料の割合は、流通総額ベースで約80パーセントを占めています。

これは他社さまと比べても高い数字となっておりますが、私たちの取り組みとしては、この数字をユーザーさまに実感していただくこと。そういったことを強化していきたいと思っております。

また、ユーザーさまがお買い物をされた後に、レビューというかたちでご投稿いただいております。このレビューに関しても、品質向上のなかでは大きな意味をなすと思っておりまして、レビューの内容を見て、即座に私たちのほうからユーザーさまにフォローアップのお電話をさせていただいております。

平均の電話件数は1日429件。この内容をもとに店頭さまとともに改善を進めているということになっております。

さらに、ナショナルクライアントからの広告売上も引き続き好調です。前年同期比+3倍で成長しております。

続きまして、Ebatesの流通総額の推移です。こちらは前期同期比+30パーセント。引き続き高い成長を示しています。

また営業利益も前年同期比+34パーセントと、こちらも大幅に成長を示すことができました。私からはこちらで以上です。

楽天モバイル事業の進捗

平井康文氏:楽天モバイル事業を担当させていただている平井です。ここ数回の決算発表で、楽天モバイル(MVNO)事業が取り上げられております。今回、その進捗をご説明させていただきます。

楽天モバイル事業は2014年11月にスタートさせていただきましたが、着実にビジネスが伸張しております。こちらにありますように、昨年1200万カードを達成した楽天カードのローンチのスケジュールと比較しましても、楽天モバイル事業が月々の新規顧客獲得数において、楽天カードを上回るペースで伸張しております。私もこのペースがずっと続くことを大きく期待しております。

またこちらは今年の3月に外部のMMD研究所が発表いたしました、調査におけるシェアの分布なんですが、大変ありがたいことに、楽天モバイルはとくに音声SIMの分野で一番大きなマーケットシェアをちょうだいするにいたりました。

またiOS、iPhoneにおけるSIMに利用においても、楽天モバイルが他社を大きく引き離しているという結果になっております。

これは楽天モバイルが単なる格安スマホ事業ではなくて、従来の3大キャリアや格安スマホとは違った第三極としての位置づけが認知されたのではないかと思います。

そして楽天モバイルをご利用のお客様は、2台目・3台目という使い方ではなくて、1台目としてこの楽天モバイルをご利用いただいていると考えております。

この第1四半期におきましても、さまざまなサービスを発表させていただきました。1月28日には「5分かけ放題850円」、大手キャリアの半額でございます。

またMVNOとして初めて、海外でのデータ通信に加えて、海外でのSIMカードも発行させていただきました。

また、みなさんご存知のローソンさんとの提携で、お申し込みをいただいた後にローソンさんでそのままお受け取りいただけるサービス。

4月には全国のWi-Fiスポットを月々350円でご利用いただけるサービスも発表いたしました。

明日からはお家でMMPというかたちで、従来はネットでお申し込みになられたお客様は、SIMカードと端末がご自宅に届く直前は、従来の端末が使えない、通話ができないという状態にあったわけですが、これをなくすために、ご自宅にSIMカードと端末が届いたら、そこでSIMをアクティベーションする。それによって、通話ができない期間が0分0秒になるという新サービスを始めることになりました。

今後もさまざまなサービス展開、直営店舗さん、家電量販店さんなどにおける顧客接点の拡大に努めてまいりたいと思います。私からは以上です。

山田:最後に少しだけ「Project V6」ということについてご説明させていただきます。これまで楽天株式会社で、「Project V〜」ということを何度かやってきたわけですけれども、今年もやりましょうということで、長期的な成長分野への投資をするために、既存事業の効率性を最大化するということで、4月から12月までの間に、予算で定められた営業費用100億円コストカットいたしましょうということを開始しているということだけ、お伝えさせていただきます。以上になります。