学生時代の友人を口説き落とした

スライドは以上。あとはバンバン質問してください。ここからは、大質問タイムに移りたいと思います。あと、25分ちょっとくらいあるので、全部質問です!

質問者5:2つ質問があって。1つは朝ごはん行ってくれますか、というのです。

宇佐美:オッケーです!

質問者5:ありがとうございます(笑)。

もう1つは、ほかのメンバーの方との、役柄というかキャラクターといいますか。なにが自分と合ってやっているのか、そのへんを聞きたいと思います。

宇佐美:なるほど。今、僕は2人で会社をやっていまして、僕ともう1人、高岡というやつと2人でやっています。高岡は、学校で会ったんですね。大学の同じ学部のやつで、すげぇいいやつなんです。

別にプログラミングとかできるわけではないんですけど、そいつとサークルを作ったこともあって、すげぇいいやつだなと思ってたので、ずっと誘ってたんです。「高岡、一緒にやろうよ」って。でも高岡は、「俺は就職するから」って。それこそDeNAとかも受けたりしてて、まぁ落ちてましたけど(笑)。

最終的には日本郵船という素晴らしい会社に内定していて、彼女もすごく安定志向だし、高岡自身も安定志向で、「僕は日本郵船に行くんだ」と言っていました。でもそこに僕が「いや、ちょっとおかしくない? 日本郵船って」とか言ったりしてて(笑)。

最初、会社を起業する段階からずっと誘ってたんですけど、「俺は就職する」「俺は就職する」と。そこで、「合宿とかだけ手伝ってよ~!」「合宿だけだったらいいよ」っていうことで、手伝ってもらって、ずっと接触し続けたことで、「あれ、俺mikanに入ったほうがいいかも」って思い始めて、みたいな感じで(笑)、高岡に来てもらいました。

2人とも一応エンジニアということになって、僕も起業する直前からプログラミング始めただけなんですけど、高岡も入ってからプログラミングを始めて。今は2人ともエンジニアですね。役割としては。

今日のMVPにはmikanタオルをプレゼント

ほかの質問の方?

質問者6:楽しいお話ありがとうございました。3つ質問があって……。

宇佐美:あ、1個にしていただいていいですか? 1人1個のほうがたくさん回ると思うので。1個でお願いします。

質問者6:とっておきのが1個あるんですけど。そのシャツ欲しいんですけど、どこでもらえますか?

宇佐美:あ~、シャツね! シャツが今、ちょうど在庫切れで、あと1個オフィスにあるんですけど。今日、実はタオルを持ってきてて、1つ。「mikan特別タオル」を持ってきてて、MVPの質問をしてくれた人にプレゼントしようと思っているんですね。

だから、今の質問にプレゼントできるかちょっとわからないんですけど(笑)。そういう予定です。

つらいこともたくさんあった全国の旅

ほかの質問の方?

質問者7:慶應義塾大学の〇〇と申します。お話ありがとうございます。

1,000人の方に1回見てもらうというお話があって、「47都道府県で20人集めれば1,000人いくじゃん」みたいな話があったんですけど。僕の考え方だと、「1つの都道府県で20人集めるのもけっこう難しくない?」と思いまして、そこに対して北海道から沖縄まで、どのように各都道府県に宣伝していったのかなというのを聞きたいです。

宇佐美:なるほど。いい質問ですね。

結論から言うと、バカだったんですよね。20人いけるだろうと思ってやったんですけど、実際、長崎県とか行ったら1人しかいなくて、どうしようってなりました(笑)。40人くらい入る会議室取ってるんですけど、1対1みたいな。なんならこっち2人で行ってるんで、2対1みたいになったりしたのもありつつ。

最終、250人くらいしか来なかったです。1,000人やろうとして。そこは失敗だったんですけど。まずmikanの合宿、お金を取ってたんですね。「1人5,000円払ってください」とか。それで、「1回来たら、1日で1,000単語覚えられます。そういう合宿なので、5,000円払ってください」という感じでやってて。

そこで、戦略としては「各都道府県、今リーダーを募集しています。リーダーに立候補してくれたら、タダで参加できます」ということでまずはリーダーを集めました。そして「僕、リーダーに立候補します」みたいな人が来て、その人に言うんですよ。「僕は長崎には行ったことがなくて、わからないので、会場を用意してください。20人以上入る会場を。あと、長崎県に友達いないんで、長崎県の集客をやってください」。であとはその人が全部やるんです。

だから、各都道府県のリーダーの素質によって、かなり集客に差が出てくる感じでしたね。

(会場笑)

大変だったんですよ。本当に。夏の間、2ヶ月ずっと旅をしていたんですけど、スケジューリングとかもすごく適当にやっちゃってたんで、長崎県のあと、急に秋田みたいな(笑)。

そのあと、大阪行って、九州行って、北海道、みたいな(笑)。そういうのが連続する感じで、超絶つらかったです。毎日やってるから、夜、夜行バスか飛行機で移動で、「眠い……」みたいな感じで朝9時からスタートという合宿をやっていました。みんな辞めそうになっていました。その間に、つらすぎて。

読書はお金にならないので断念

ほかの質問ある方?

質問者8:渋谷教育学園渋谷高校3年の〇〇と申します。

今、高校生のための起業家講座というので、高校生100名集めて毎週開いていて、私は運営をやっているんですけど。グループを組んでプロジェクトを考えているんですが、毎週毎週、発表するプロジェクト内容が変わってるんですね。

最終審査会に向けて、みんな進めてやってきてるのに、いいところまでいって、それこそ太河さんから30万円お金もらってやろうっていう、そこのチームはちゃんといってるんですど、ほかのチームはどんどん変わってきてるんですよ。

私はmikan使ってるんですけど。

宇佐美:やったー。ありがとうございます!

質問者8:アプリ以外にやろうと試みようとしたプロジェクトはありましたか? これから、ありますか?

宇佐美:ありました。

何をやってたかというと、実は最初は高岡と二人で読書のサークルを作ったんですよ。赤川さんとかに話しに行くと、「お前もっと本を読め。俺のおすすめの本はこれだ」みたいに言われて、「わかりました」みたいなやりとりもあったんですが、中学から7年くらい本を1冊も読んでませんでした。

「読めよ」って言われてたんですけど、全然読んでなくて、次会ったときに「お前あれ読んだ?」「あ。いや! 次読みます! はい!」みたいな感じになったりしちゃったんで(笑)、本をもっと読んだほうがいいなと思って、読書のサークルを作ったんですね。

週1冊とか、週2冊、週3冊と、だんだんレベルアップしていって、最終は1週間に10冊読むというスパルタなサークルだったんですけど。そこまでやってると、もっと読めるんじゃないかと思って、土日で100冊読む速読合宿をしようみたいなことをやったりしていて。僕はなんか合宿が好きなんですよね(笑)。

その速読合宿もお金を集めて、ここでやったんですよね1回。DeNAのオフィスを貸してもらって、速読合宿やりますと人を集めて、お金取って、「みんなで速読します。やり方教えます」みたいな感じで、100冊速読合宿をやろうとしてました。

ただ、それはお金取るのがめちゃくちゃ難しくて。そのとき1,500円だったんですけど、「なんでここでみんなで速読するだけなのに、1,500円払わなきゃいけないの~」みたいな人が多かったです。

正直、1,500円もらっても全然儲からないんですよ。なぜかと言うと、1人100冊読むから100冊用意しなきゃいけないじゃないですか。それだけで1,500円×100冊で15万くらいかかる。全然儲からなくて、なおかつ、本って超重いんですよね。

なので、ガラガラで持ってきてたんですけど、ガラガラのローラーとか全部壊れて、そのガラガラ自体、親に借りてた数万円するやつだったんで、全然赤字だみたいな感じ(笑)。

これはやだなと思って、速読合宿はやめました。こんな感じでいいですか?

「日本人みんなが英語をできるようにしたい」

質問者9:貴重なお話ありがとうございました。

今の方も、最後に質問されてたんですが、今mikanという英単語アプリをやっていて、このあとAndroidも増やすという話だったんですが、さらにそのあと、どういうことをされようとしているのかということと、そこに対する情熱があったら教えていただきたいなと思います。

宇佐美:僕は、今の事業でなにがやりたいかというと、とにかく日本人が英語をできるようにしたいんですよ。なぜかというと、昔から遣唐使とかで海外にどんどん派遣されていた時代とかって、そのあと連れて帰って来た人たちが文化とかを輸入して発展するんですよね。国が。明治維新が起きたときも、国のトップがみんな留学させられて行って帰って来て、欧米のいいところを学んで、日本をよくしていった。

でも今って、すごくみんな閉鎖的で海外行かないじゃないですか。TOEFLのテストもけっこう難しいんですけど、中国とか韓国とかは、そこにすごく力を入れて、全員英語やれみたいな感じで点数をバーンっと上げているのに、日本はそこが弱すぎる。

英会話学校とかだけには任せてられないと思って、自分もTOEFLの勉強をしたかったし、それをやろうというのが最初ありましたね。最初は自分がTOEFLの点数を取りたいからという理由で始めて、英単語をやってるうちに、「英語教育やっぱ俺がやんないといけない!」ってだんだん思う。

アプリもプログラミングの勉強をしようと思って始めただけなので、英語教育に対するなにかとかは最初は一切ない状態ですね。自分がTOEFLの勉強がしたくて、そのやり方がほかの人にも役立つんだったら100万人、1,000万人に使ってもらえるならそのほうがいいなと思って作りました。作ったあとで色々ユーザーの方に使ってもらっているうちに情熱は沸々と湧いてきました。

この次やりたいことというのは、当然英単語を覚えただけでは英語をできるようにはならないですよね。それは当然そうなので、次は、英語をしゃべれるようにするプロダクトを作りたいと思っています。

どうやったらしゃべれるようになるのかというのも、僕は明確にわかっているので、作りたいんですけど、今は英単語もグイグイ伸びていて、2人しか社員がいないので、リソースを分散するのはよくないと。だから、今は英単語にフォーカスして、とにかく伸ばす。

例えば、英単語。「高校生が全員mikan使ってます」みたいな状態になってから、次、英会話やるためにはこれですというのを作っても、遅くはないのかなと思ってやっています。

絶対負けないポイントは?

ほかにありますか?

質問者10:ありがとうございます。

英単語のアプリって、正直めちゃくちゃ数があると思うんですね。私も高校生のとき、違うの使ってたんですけど、正直違いがわからなくて、かつ今の作ってるのもマネされやすいと思うんですよ。そのなかで、mikanはここは絶対負けないというポイントを教えて欲しいです。

宇佐美:良い質問ですね。まず、会社として本当に本腰を入れてやっている英単語アプリというのは、ほとんどないんですね。3つとか4つとかしかない。

それ以外の個人デベロッパーでちょっといいなというのはあったりするんですけど、やっぱり個人なのでトータルではやっていけないですよね。今後も本気でずっとやっていくという感じがどうかはわからない。

そういうことで、会社でやっているというところと、自分自身が本当に覚えるために、2週間で3,800単語覚えようと思ったんですよ。TOEFLの単語。超難しいやつなんですけど。

3,800単語覚えようと思って、それが覚えられるものというので作っているので、覚える効率が全然違います。使ってみれば本当にわかると思うんですけど。全然違うし。

あと、さっきスライドでも出たんですけど、ユーザーさんからのレビューを見てもらうとわかると思います。圧倒的に評価が違うので、僕らのアプリがどれだけ使いやすいかということが現れている。

ですが、マネされやすいっていうのは、マジでそうなんですよね。本当に英単語を覚えるためのツールなんて超簡単にマネできちゃうんで、マネはしないでほしいと思ってやってはいるんですけど(笑)。

そのなかで、唯一僕らの強みとしては、ユーザーさんとしっかりコミュニケーションを取っている。例えば、レビューが170件とか付くじゃないですか。今まで2,000数件とか付いてるんですけど、そのレビューひとつひとつに返信してるんですね。

Appleってレビューに対する返信というのができないので、ツイッターにわざわざそのレビューをツイートして、自分のツイートに返信するかたちで、「コンテンツではこうなっています」「ご意見ありがとうございます」みたいなことを全部返信しています。

最近は、コミュニケーションをもうちょっとしたいなと思ったので、アプリのなかに掲示板をつけて、そこにユーザーさんから「こういう機能が欲しいです」とか「ここがちょっとおかしいです」みたいな意見をもらって、それに対しても全部返信するというかたちで、ユーザーさんとのコミュニケーションはどこにも負けてないと思います。

初期ユーザーを逃した失敗談

質問者11:立命館大学の〇〇と申します。

4月にサービスをリリースする予定なんですけれども、作っていた段階で、これやっちゃったなとかこんなことあったんだけど、これヤバかったなみたいな経験がありましたら、お願いします。

宇佐美:ありますね~。最初、5日くらいで15万ダウンロードとか、ガーってダウンロードされたんですよ。事前にすごく注目されていたプロダクトだったので、だけど、作っているのは、僕っていうプログラミング初心者が作っていたので、めちゃくちゃ落ちるんですよね。アプリが。

だからダウンロードしたのに、15万人ダウンロードしたうちの1万2千人くらいが落ちて使えないみたいな感じになってて、苦情の嵐で「使えない。このアプリ」みたいになっちゃって、超もったいなかったなと思います。

最初メディアでめっちゃ入ってくるんですけど、一気にバーンっとダウンロードされて、ちょっと落ち着いてくるんですよね。そのところでかなりユーザーを逃しちゃったので、超もったいなかったなと思います。

DeNAはゲームをやめるべき!?

ほか、どうですか?

質問者12:ベンチャーの創業者として、DeNAとかメガベンチャーに物申してもらってもいいですか?

宇佐美:あ、出た! 大丈夫ですか? 言っても。

DeNAさんには、1つ言いたいことがあって。ゲームの事業はやめたほうがいいんじゃないかと、僕は思っているんですよね。

なぜかと言うと、このなかにDeNAに入りたいという人もいると思うんですけど、ゲームの事業がやりたいと思っている人はどのくらいいますか?

ほら、いないんですよ! やりたい人はいいと思いますが、やりたくない人をゲームの事業にアサインしてほしくないと思っています。南場さんのお話で、「お金を払ってくれている人がいるということは、その事業は価値があるということ。みんなが価値を認めて感謝しているからお金が払われている」と言うのを聞いたことがあるんですけど。

僕の倫理観では、それはちょっと違うなと思っていて。なぜかというと、麻薬にだって人はお金を払いますよね。だから、「お金を払ったからオッケー」というのは、ちょっと違うんじゃないかなと思っています。

ゲームにもいろんなゲームがあって、素晴らしいゲームもたくさんあると思うんですけど。こと、ソーシャルゲームの、例えば“ガチャ”とかに関しては、僕はあまり好きじゃない、あのスタイルが。

『ドラクエ』とかは、僕ら子供のころ夢中になりましたし、すごく好きで、こんなゲームを作りたいという気持ちで作っている人がいると思うんですけど。ゲームを全然好きでもない優秀な人たちが、そこにアサインされて、運営でいかに課金率を上げるかというのをさせるのは、「日本にとって、本当にそれっていいの?」と思うので、よくないんじゃないかなって思っています。

赤川氏「ゲームにすごく感謝している」

司会者:一番近くにいた赤川さんがなにかしゃべりたがっているので、しゃべってもらっていいですか? DeNA代表として。

赤川隼一氏(以下、赤川):長い付き合いがあるのでつい。ありがとうございます。ちなみに宇佐美くんがさっき話した、1、2、3、あるじゃないですか。迷い期、2番目、3番目みたいな。学生のとき、宇佐美くんめっちゃ迷い期で。

宇佐美:そうですね(笑)。

赤川:カンファレンスの最前列で「僕は、なにをしたらいいかわからないですけど、なにかをしたいです!」みたいな質問をしてくれて、そのあと仲良くなりました。みんなそういう時期を経て、七転八倒しながらすごい事業家になっていくんだなぁ、今日のプレゼンすげぇかっこいいなと思って、見てました。というヨイショは置いといて(笑)。

まず、どういうゲームがおもしろいかというのは、人それぞれだと思ってますが、僕もドラクエ大好きでした。今僕は「Mirrativ(ミラティブ)」というライブストリーミングのアプリを作ってまして、そのミラティブっていうアプリも子供のころに体験した、ドラクエを友達ん家で一緒にやってる感じ、がインスピレーションです。

僕はコンテンツとコミュニケーションは切り離せないと思っていて、あるコンテンツがあって、それを友達と話題にしたり、一緒に楽しむのも含めてコンテンツだと思っているんです。そういう体験をスマホ上で作りたいと思って、ミラティブというアプリを作っています。それで、僕もすごくゲーマーだったというか、ゲームが大好きだったんですけど、ゲームがあったことを僕はすごく感謝しています。

ゲームがあった人生が良かったかどうかという以前にすごく感謝をしていて、影響を受けてます。映画とかああいうのもそうですよね。僕、音楽が大好き、ロック大好きなんですけど、ロックも昔は排除しろみたいな時期があったりとか、新しいユースカルチャー、新しい価値観のものって反発もあるんだけれども、結果的にその空気を吸って生きていった人が、また次の新しいイノベーションを作るというサイクルになると思っています。

本気で世の中にインパクトを与えるのがDeNA

それで、僕もゲーム事業を1回やってゲームを自分で作ってみて、「俺はすごいゲーム作るのはたぶん無理だな、向いてないな。ゲームクリエイターマジすごいな」と思って、今はどちらかというと、ゲームをもっと楽しめるものを作るという、その尊敬がもっと伝播するような仕組みを作りたいと思ってアプリを作ってるんだけれども。

ゲームってめちゃくちゃ作るの難しくて、すごいプロダクトなんですよね。あれだけ世界中の人がハマっているっていうことは、エンターテイメントとして超一流。僕は映画も好きだし、遊園地も好きだけども、そのなかで、エンタメとしてゲームというのは本当にすごいと思っています。心から尊敬をしていて、だから「本当におもしろいゲームを作ろうぜ」という情熱を僕は止めたくないし、それが実際に事業にもなっているわけなので、とことんゲームを作りたいやつにはとことん最高のゲームを作ってもらいたいな、という考え方ですね。

実際にDeNAには、新卒で入ってゲームを作るやつもいれば、作らないやつもいて、このなかでミラティブを作りたい人がいれば、速攻僕のところに来てほしいんですけど(笑)。ゲーム以外のプロダクトも作るということも含めて、とにかく世の中にインパクトを与えられるようなサービスを作りたいんだと。僕も、今作っているミラティブを10億人くらいに使ってもらいたいと思っているんですけど、インパクトのあるサービスを作ることに全力で取り組む会社がDeNAです。

ゲームを作りたくないやつがゲームを作る部署にアサインされてるのかというのは、なにか作りたいものがあるやつは、僕はさっさと作ってほしいと思っているし、その事業に入れればいいと思っているんですけど、でもゲーム事業はよい経験になりますよ。伸びてる市場の最前線でプロダクトをたくさんの人が使っているなかで、プレッシャーを受けながら仕事をするとこれはめちゃくちゃいい経験になると思いますね。

どういう環境であっても、本気でやるといろんなことが見えてくるんですね。実際に、メルカリとかSlackとかもそうですけど、以前は本気でゲームを作っていた人が今、新しい事業を作っていたりとか、そういうケースもあるんです。

なので、ゲームを死ぬほど作りたい人にはゲームを作ってもらいたいと。そうじゃないけど、なんかデカイことをやりたくてDeNAに入って結果的にゲームにアサインされてやる人は、とことんリスペクトして一回本気でやってみるんだ、と。本気でやって、「俺はやっぱゲームだな」と思えばもう1本作ればいいし、過程で何か見つけたらそれに没頭すればいいんじゃないかなと。

答えになっておりますでしょうか。

世の中に対して価値が高い仕事をしてほしい

宇佐美:申し訳ないのですが、最終的には僕は好き嫌いだと思います。

お金を儲ける方法だけだったら、いろいろあると思うんですよ。最近聞いておもしろかったのが、ラーメン屋で1,000万儲ける方法みたいな話で。

なにかと言うと、1店舗だけオープンするんです。超狭い店。そこで夕方の16時から19時までの間しかオープンしません。一番最初にめっちゃいいカメラマンと記者を呼んで、グルメ系の人たちにお金を払ってレビューを書かせる。最初の日だけ、めちゃくちゃ回転しても席が少ないので超行列になる。

その行列をパシャパシャ取ってブログとか書いて、「この幻のラーメン屋さん」みたいなのを作る。それを「あの幻のラーメン屋さんのラーメンがなんと通販で食べられる!」みたいなので、1,000万くらいバーっと売り切ると、すごく簡単にお金が儲かりますと。

そういう話をしていて、お金が儲かる方法だけだったら、全然たくさんあると思うし、それをしないといけない人はもちろんたくさんいると思う。やったりもする。だけど、ここに来ているような人たちってめちゃくちゃ優秀だと思うんですよね。

世の中に対して、いかに価値を届けるか。本当に価値が高い仕事をしてほしいなと思っていて、それが自分にとってゲームを作ってクリエイティブを発揮することなんだって思う人は当然作ればいいし、どんどん作ったらいいと思ってるんです。でも、そうじゃないなと思っている人たちは、もっと違うことで力を発揮したほうがいいんじゃないかなと僕は思います。

南場智子氏(以下、南場):まったくその通り。DeNA内でも、自分を信じることで力を発揮したら良い。一点付け加えると、最近問題になっているガチャ確率表示の話。あれは、我が社はどちらかというとむしろ、確率表示をしっかりとやるべきというスタンスで、業界にも呼びかけています。

自分の意見が言えることの大切さ

宇佐美:僕が、DeNAでなんでこれを言うかというと、ほかの事業にもおもしろいものがたくさんあるんですよ。DeNAには。ミラティブのアプリだったり、Anyca (エニカ)っていうのを作ってたりとか、そういうおもしろい事業がたくさんあるから、ゲームをやりたくない人をそういうところにアサインするんじゃなくて、そういうところで力を発揮したほうが日本のためになるんじゃないかなって思います。

赤川:その事業も本気でやるし、ゲーム事業も本気でやります。

南場:ただ!

宇佐美:めっちゃ議論になっちゃった(笑)。

南場:一方で、私はゲームで2、3、すごく好きなのがあって。それがあって自分は救われたし、よかったなと思うんだけど。

どっちかと言うと、宇佐美と一緒で、自分自身はゲームを作るという仕事にそれほど一生懸命になれないと思うんだけど、ゲームを作る人を心から尊敬しています。我が社のゲームエンジニアとかクリエイターとか、デザイナーとか、あの人たちは本当のプロです。ユーザーについて死ぬほど考え、新しいことに勇敢に挑戦し……すっごく尊敬しています。

もう一つ。今日来ている塩田元規(アカツキ代表取締役CEO)も、ゲームを作ってるんだけど、私は教育とか医療ということだけじゃなくて、やっぱり娯楽とかエンタメとか文化というものは、すごく人間を人間らしくする大事なものだと思っているので、そこに没入したいやつはすればいいと思っている。

でもね、私は、こういうことを言ってくれる宇佐美くんがすごいと思ってるのよ! だって、私に呼ばれてるんだぜ。

(会場笑)

宇佐美:ちょっと言うか迷ったんですよね(笑)。

南場:それで、ちゃんと言ってくれる。最後まで起承転結しっかりと。要するに、年とか、どっちが呼んだとか呼ばれたとか、立場とか関係なくしっかりと自分の意見が言葉にできるということだけで、素晴らしい人だと思うんだよね。

そこが、たぶん太河さんとかアンリさんがこの人を見込んで、出資をしているということ。さっき太河さんが人柄と言ったじゃない? こういうところにあるのよ。上下とかじゃなくて、人はみんな平等で、しっかりと自分の意見を、相手の気分を害するかもしれないなと思いながら、この明るさで、このTシャツで言われたら、やっぱり笑っちゃうよね。私は、むしろそういう人をリスペクトしたいなと思います!

宇佐美:すみません、ちょっと長くなっちゃいました。

南場:ごめんね。

本当のニーズに応えているか

宇佐美:ほかに質問ある方?

司会者:お時間なので、最後の1つにしてもらって。

宇佐美:今、前で手を挙げられた方。

質問者13:静岡大学2年の〇〇です。今、仲間を集める掲示板みたいなものを作ったんですが、なかなかユーザーが集まらないんです。どうやったら簡単に集められるか方法を、合宿以外で教えてもらいたいです。

宇佐美:なるほど。ユーザーを集める方法って難しいですよね。極論を言えば、欲しい人がいて、その人に直接話して、それがいいものだったら使ってくれると思うんですけど。

まず、誰がその掲示板を欲しいのかということと、それが身の回りにいるのかということ。その人たちに対して、いるのはわかっているけどアプローチできないのか、そもそもどこにいるかわからないのか、などによって変わると思うんですけど、どうですか? 誰が欲しがるものなんですか?

質問者13:サークルを作りたい人とか、例えば会社を作りたい人とか。そういう想いを持っている人が使いたい掲示板にしてあるので。

宇佐美:最初なんで作ろうと思ったの?

質問者13:最初は、サークルの掲示板を作ろうとしたんです。僕たち情報学部で、情報学部なのに大学にはサークルの掲示板が物理的に置いてあったんです。なんで情報学部があるのに、Webサイト上でそういうことができないのかと思って、僕たちが作ろうと思いました。

宇佐美:なるほど。それが本当のニーズに合ってないんじゃないかなという気がちょっとします、今のお話を聞いただけだと。

仲間を集めたいんだったら、Webに投稿することが果たして本当にいいのか。目につかないと、そもそも来てくれないじゃないですか。目につかないところに投稿しても意味がないので、なんとかして、人をガッと集める手があれば、それが機能するかもしれないですけど。

一番最初だったら、「普通に学科の人、全員にビラ配った方が早くない?」とか思っちゃうと思うんですよね。ほかの手段との比較で、そっちのほうがいいと思えたら掲示板を使ってもらえると思うんですけど、そう思ってもらえないから使ってもらえてないんじゃないかなと、思います。答えになってますかね?

こういうのがあるみたいなので、みなさん、もしよかったらあとで話聞いてあげてください。

今日のMVPは?

では、一応最後の質問ということで。

司会者:タオル渡しますか? MVPに。

宇佐美:あー、そうだ! どの質問がよかったですかね? 赤川さん、MVP決めていただいてもいいですか?

赤川:それはDeNAに物申すを。

南場:たしかに。

宇佐美:一番盛り上がりましたもんね(笑)。

質問者12:でも僕mikanのタオル持ってます。それ。

宇佐美:あ、そうだ。友達なんですよ、もともと。じゃあ、彼以外で。

赤川:高校生起業家の。頑張ってください。応援してます!

宇佐美:そうですね。ありがとうございます!

(会場拍手)

宇佐美:終わりです。ありがとうございました。みなさん、ぜひ話しかけてください。朝食行きましょう。よろしくお願いします。

司会者:宇佐美様、ありがとうございました。みなさん、もう一度大きな拍手をお送りください。

(会場拍手)