飼い猫の家出に落ち込んでいる母

岡田斗司夫氏(以下、岡田):さあ、どの質問から答えようかな。なんか深刻な感じで。これなんですけども……。

「飼っていた猫が家出をして、母がひどく落ち込んでいます。猫はおそらく帰ってきません」。まあ、猫の家出ってそんなものですよね。「こういう場合、母が自然に立ち直るのを待つべきでしょうか? 新しい猫を探して飼うべきでしょうか?」。

猫家出したら、何日かしたら1回帰ってくるときがあるので、それを待つのも方法ですよ。家出して帰らないというか、俺が知ってる限り、僕が中学のときにそういうことがあったんですけれども、高校になって友達の猫がいなくなったときも、やっぱり1週間ぐらいして1回帰ってくるというのがあるんですよ。そういう行動パターンがあるような気がする。

まあでも、これ、「母がひどく落ち込んでます」というのが何日前のことなのかよくわからないので。

おっ、(コメントにて)「うちは帰ってきた」ほう。そうですね。(コメントにて)「猫は旅立つねー、1年後くらいにふと帰ってくることもある」。ほうほう。

じゃあ、母が自然に立ち直るのを待つべきでしょうかというのは、励まし方としては「帰ってくることもあるよ」と。「おそらく帰ってきません」じゃなくて、「1年後ぐらいにふらっと帰ってくるんだって」とか、「ニコ生で岡田さんがいってたけど、1週間ぐらいで帰ってくることもあるみたいだよ」と。

結局、基本的に、ふらっといなくなってふらっと帰ってくるというのはよくある話なので。その話をしてあげて、自然に立ち直るのを待つというよりは、ゆるい希望みたいなものを語るほうがいいなじゃないのかなと。

新しい猫を探して買ってきても、もし前の猫が帰ってきたら、新しい猫がいたら「私どうなるの?」って話になっちゃいますので、待ってあげるというのがいいんではないでしょうかね。「もう帰ってきません」って自分で結論を出すよりはそっちのほうがいいと思います。

ということで8時14分。そろそろいこうかな。さあ、どうしようかな。もう高橋さんの投入位置をどのあたりにするのか。今日の楽しみはそのへんなんですけども、どうしようかな(笑)。じゃあ、高橋さん、お願いします。

遊戯王カードゲームのシステムを作った高橋信之氏

高橋信之氏(以下、高橋):どうも。こんちわっす。よろしくお願いします。

岡田:スタジオ・ハードデラックスの高橋信之さん。本当に僕は昔から、いわゆる『アオイホノオ』で語られてない部分ですよね。『アオイホノオ』で語られてる岡田斗司夫とか庵野秀明が大阪にいた頃というのに……。

高橋:そうですね。東京でなくて大阪でやってたときですね。

岡田:東京じゃなくて大阪でやってたときに、実は、なんでそのSF大会を大阪でやることになったのかといったら、もともと高橋さんが東京にいらっしゃって、僕たちが大阪のファンとして高橋さんに会いに行って、「どういうふうにすればいいでしょうね」って相談したりした。

その頃から……。あれ、年齢的に言えば僕より?

高橋:僕は今、年は58ですね。昭和32年生まれですね。

岡田:1個しか違わないのに、俺が18、19歳のときからなんであんな偉かったんですか? SF界で。俺初めて高橋さんにあったとき、まだ19歳の駆け出しだったんですけど、いっこ上とは知らずにそこから先、俺は30年以上40年近く敬語使ってますけども(笑)。

高橋:なんかね、僕、高校の頃から印刷会社でバイトしてて、いろんな映画雑誌の編集部とか映画宣伝部とか出入りしてたので、18、19、20歳ってけっこうもう、大卒で新人編集者が映画宣伝部を回るぐらいの感じで。

20世紀フォックスに行けばスターウォーズの試写の案内がもらえる。そんなことがあったんで、だいぶ業界慣れしてた。

岡田:もうね、あの頃、俺、「この人怒らせたら最後だ」と思って(笑)。武田(康廣)さんと2人ですげー揉み手で。高橋さん、ハード出たあとで、俺と澤村君と武田さんと3人喫茶店でこんななってましたよ(笑)。「今回もハードの高橋さんにいい印象を与えた」って。俺たちが舐められたら大阪は最後だっていう(笑)。

高橋:いやいや、恥ずかしいな。そんなことはないです。そういうことで、ずっとSF映画を中心に活動して。あと、ゲームブックを作ったり、ゲームの攻略本は2,000種類ぐらい作りました。

岡田:もう年齢層が上の人じゃないとわからないでしょうけど、ゲームブックというのが昔あって。いわゆるパソコンのアドベンチャーゲームというのを本にして。で、ここから先何ページに飛べという。今で言えば、リアル脱出ゲームの書籍版みたいなやつありますよね。あれですよ。

高橋:そうですね。あれも結局160種類ぐらい作って。ルパン三世とかドラゴンクエストとか。あれも1,200万部ぐらいやったんだよね。

岡田:その頃、一番景気よかったのがあの頃?

高橋:そうですね。あの頃が一番よかったですね。

高橋:そのあと『Vジャンプ』の創刊も手伝って、遊戯王カードゲームのシステム作ったりすると。

岡田:歴代ジャンプ編集長と仲いいですよね?

高橋:歴代でもないですけど、何人かは。そうですね、よくさせていただいたりとか。

『珍遊記』実写版についてどう思うか

岡田:すげーな。で、今日高橋さんに聞こうと思ってる質問。「実写版『珍遊記』の予告動画は見ましたか? あれどう思います?」というやつからなんですけれども。見ました?

高橋:これ、ショートバージョンだけ見たんですね。

岡田:あの「特報」というやつで、俺、映画館で見て大爆笑したんだけれども、みなさんご覧なったでしょうか? 

実写版『珍遊記』は、予告編で松山ケンイチ主演ということで押してるんですけど、最後に漫☆画太郎のコメントが出て、「最低のクソ映画にしろと言ったのに何事だ、おもしろいじゃねえか! けしからん! 実写版『進撃の巨人』の監督呼んできて作り直せ!」って書いてあってですね(笑)。

いや、これ何かというと、「実写版『進撃の巨人』」というのがつまらない映画のアイコンとして叩かれてると(笑)。

高橋:これ、ちょっとやりにくいコメントに巻き込まれた。ちょっとね、山口雄大の話をします。

岡田:俺は実写版『珍遊記』はどうでもいいんですよ(笑)。『進撃の巨人』ってそんなにつまらないということが日本国民のコンセンサスになってるんだ、すげーって思ってて。

高橋:山口雄大はその前に……。

岡田:動じない(笑)。『地獄甲子園』を撮った人ですよね。

高橋:『地獄甲子園』を撮ったときに、ナパームフィルムズという会社がプロデュースしたんですけれど。担当したプロデューサーが編集部に電話しました。『月刊(少年)ジャンプ』の編集部に。

「どうすればいいですか?」って聞いてきたんで、編集部に電話しろと。「『地獄甲子園』の映画化したい」って編集部に言ってみろと。それで、いきなり電話しました。

電話したら、いきなりジャンプの担当者が出てですね。漫☆画太郎先生の担当が、名前はわからないですけど、出て、「実は『地獄甲子園』の映画化の許諾をお願いしたいんですけど」と言った瞬間に電話で大笑いされて。「ガハハハ、あれが映画になりますか!?」でOKになったっていう。「そんなもんなんだ」って。

岡田:けっこうストレートにジャンプ編集部に電話していいものなんですね。

高橋:そうです。内通回されますけど、雑誌の後ろに載ってる番号見てですね。

映画がダメなときはだいたいプロデューサーが悪い

岡田:『進撃の巨人』は?(笑)。

高橋:町山智浩と会ったことがある。

岡田:あれ、戦犯は誰なの、結局? 運が悪いの? 監督が悪いの? 脚本が悪いの?

高橋:ちょっと誰がプロデューサーかわからないですけど、僕はプロデューサーだと思っています。

岡田:だいたい映画がダメなときはプロデューサーが責任?

高橋:だと思います。実は町山智浩と3年ぐらい前にばったり会いまして、「お前、何やってるんだよ」と。「映画評論家が脚本なんか作っちゃダメなんだ。何やってんだ。お前さ、映画評論家だろ?」と。映画評論家というのは外野にいておもしろいヤジを飛ばすやつだから(笑)。

岡田:「ヤジ飛ばしてるおっさんが野球の監督になって何するんだ?」みたいな感じですね(笑)。

高橋:「やっちゃったら、プレーヤーになっちゃたら、お前もう無責任な発言できなくなるぞ。どうしたんだ、お前?」って言ったら、「いやー、脚本を6回ぐらい書き直した。初めの方の脚本のおもしろかったのが全部こそげた」と。これは予算的にできない。何ができない、できないって。「あんなに脚本というのが手直しされるなんて思わなかった」って。

でも、「お前、素人か」と。

岡田:予算の問題で脚本に好きなこと書けないというのは、誰でも知ってることじゃないですか? 町山さんも知ってるはずなのに、自分で書いちゃうことになるともうダメなんですかね(笑)。

高橋:「何年映画界で仕事してんだよ、お前?」って。

岡田:今、(動画に)「お約束すぎる言い訳」っていうコメントが(笑)。

高橋:素人すぎるなと思って。僕は、つまりプロデューサーとして町山を起用したところからもうね。あいつ才能あるけど、やるんだったら、たぶんノベライゼーションを町山にやらせて。

岡田:ノベライゼーションやってもらった上で、そのノベライゼーションを監督とかプロデューサーが読んでこういうふうに落とし込もうという。

高橋:とかいうね。いきなり監督から脚本を頼んじゃったら、やっぱりああいうことが起きちゃうんだと思うんですよね。町山もそこ反省してて。でも、もう1つ町山に言いたかったのは、あのあと『映画秘宝』で確かダメな映画に選ばれてましたよね(笑)。

岡田:そうそうそう(笑)。そこが男らしいのか、女々しいのか、よくわからないところですね。

高橋:あれは『映画秘宝』の編集部が偉いと思ってるの。もともと『映画秘宝』作った人なのに、作った人を後ろからなで斬りするというね。すげーなと思って。僕はまた『映画秘宝』を買い始めたんですけど。

庵野秀明監督の『シン・ゴジラ』は嫌な予感しかしない

岡田:今、気になっているのが『シン・ゴジラ』なんですけども、あれどうです? いま映画館で流れてる、人が逃げていくだけの予告編あるじゃないですか? あれを見るとダメな予感がふつふつとして。これどうかなと。

高橋:でも、『クローバーフィールド』的だと思えばいいじゃないですかね。ああいうリアリティを追求してるというか。台本厚かったよー。全部読まなかったけど、「うわっ、台本厚」みたいな。

岡田:なんで全部読まなかったんですか?

高橋:なんかパラパラっと見たんだけど。

岡田:絶対、おもしろかったら、パラパラって全部読んでるとは思わない。パラパラとしか読まないところが(笑)。

高橋:いや、あんまり見ないようにしたの。一応、楽しみにしてるから。

岡田:俺もすごい楽しみにしてるんですけれども、出てくる情報、出てくる情報、全部嫌な予感の感じがして。

高橋:会議のシーンがけっこう多かった。作戦会議とか。リアルに、リアルにやっていくんでしょうね。たぶんね。だから、ゴジラを出すよりはゴジラの裏側を出すんじゃないかなと思ってて。それをリアルにやるんだろうなと思ってて。

岡田:という、まず映画っぽい裏話からですね。そろそろツイキャス(配信)終わってくれということなので。ではでは、ここまででツイキャスを終了します。ツイキャスみなさん、じゃあ、ニコ生に来てください。