アメリカはトルネード大国

ハンク・グリーン氏:トルネードは地震やハリケーンと同じように世界中で起きています。しかし、これはアメリカの問題でもあります。もちろんアメリカだけの問題というわけではありませんが。

トルネードは北極大陸以外のすべての大陸で発生していますが、ある科学者は世界中でトルネードが起こる可能性を指摘しています。

トルネードは定期的にバングラディッシュ、オーストラリア、中国、イギリスを襲います。国土の広さに対する発生率でいえば、イギリスが世界で一番多いんです。しかし、世界ではおよそ1,500回のトルネードが毎年発生していますが、その65~85パーセントがアメリカで起きています。特にパワフルで巨大なものはアメリカで起きているんです。

なぜトルネードは我々が嫌いなのでしょうか?

我々は本当に知るべきことを知りません。科学者は新たなトルネードの発生源を、ロッキー山脈とアパラチア山脈の間の平原に発見しました。晩春から初夏が、トルネードがもっとも発生しやすい環境であることもわかっています。

発生しやすい環境要因としては、大量の湿気が低く留まることです。アメリカには湿気を含んだ空気がメキシコ湾から運ばれてきます。大陸に運ばれた湿気は低地に留まり、太陽で温められます。湿気は南西の砂漠からくる暖かい空気層に押さえつけられ、上昇し雲を形成することができません。この「コンベクションキャップ」と呼ばれる乾燥した暖かい空気の層が、沸騰したお湯を閉じ込める鍋の蓋の役割をします。水蒸気は上昇することができないんです。

コンベクションキャップの上では、ロッキー山脈から冷たい空気が流れ込みます。暖かな空気は上昇し、冷たい空気は下降するようになります。

トルネードが発生するトリガー

そしてコンベクションキャップは弱まり、エネルギーが蓄積されます。トルネード発生に必要なのは、高気圧の湿気を急激に上昇させるトリガーです。トリガーは寒冷前線の場合もあれば、低地での収束風の場合もあります。いずれにせよ、トリガーによりキャップが取り除かれると、時速160キロメートルの突風が発生します。そして空気は舞い上げられ、回転を始めます。

ほとんどのトルネードは、スーパーセル型雷雨から生まれます。メソサイクロンと呼ばれる繰り返し上昇する巨大な対流嵐です。

暖かな空気が急激に上昇すると、パワフルで不安定な上昇気流が発生します。高さ1万5,000メートルに達する嵐がたった数分で発生するんです。我々は上昇気流と、直径2~6マイルにもなるメソサイクロンの複雑な関係性を解明中です。

わかっているのは、上昇気流が続き、メソサイクロンの中央の渦が固まることでトルネードが発生するということです。内側と外側の風のバランスが保たれれば、漏斗雲が発生することもあります。

なぜアメリカがトルネードの発生源になるのか?

アメリカ中央部が完璧なトルネードの発生源になる理由は2つあります。ひとつは、赤道から北緯30~50度の中緯度では、空気の流れるスピードと方向がまちまちになることです。すると、スーパーセルが回転を始めるのです。

2つめの理由は、トルネードアレイ(注:竜巻が頻発するアメリカの地域の俗称)の地形のユニークさです。赤道付近で湿気を含んだ空気が流れ込む場所、そして、トリガーとなる寒冷前線を発生させる、南北に連なった山脈がある場所は他にありません。

つまりオクラホマ、テキサス、カンザス、ミズーリ州はトルネードの発生源になるんです。自然の驚きと脅威と言わざるを得ませんね。