偏光サングラスはどのように光を遮っているのか

ハンク・グリーン氏:最後にぎらぎら光る真夏の太陽の下に素顔をさらしたのはいつの事ですか? 湖やドライブ中に車で光の反射にさらされたのは?

偏光サングラスは光の眩しさを遮るのに適したサングラスです。しかし、サングラス自身が光を軽減させているわけではありません。

偏光サングラスの働きを知るために、まず偏光とは何かを知るところから始めましょう。何よりも、光とは、分子と波動が作用したものだと言うことをまず知っておいて下さい。

光子と呼ばれる光の集まりは太陽からあなたの目に降り注ぎ、さらに上に下に、横から横へとさまざまな方向へ小刻みに動き回ります。それらの光がゆらゆら動き、まるで波のような跡をつくりだします。

さまざまな方向に飛び回っていた光の分子はひとところに集まり、あなたの方へ流れてくる、光波の大きなうねりをつくり出します。あなたが一番良くさらされている光は、この絡み合った自然光で、無偏光化された光です。

すべての光子が頭をそろえて同じ時に同じ方向に振動するのではありません。ですので、絡み合った光子がその後再びバラバラになるのはそう難しいことではありません。光分子は必ず何かにぶつかり、そこからそれぞれ同じ方向に動き始めるのですから。

つまり、無偏光化された光が湖の表面や車のフロントのような部分に反射する時、すべての光子はそれらの表面部に垂直の方向に向かって微動するということになるのです。

ただハイウェイや水体のような水平面では光は垂直に振動しだし、絡まり合わずに無偏光化した反射した分子は突然じょじょにその姿を消してしまいます。つまり、偏光化するのです。

日中、光が眩しい時、湖やハイウェイ、反射する白いピクニックテーブルは垂直な偏光をつくりだしているのです。

サングラスの水平な表面に当たって光が偏光化すると、光の粒子ははね返され、上へ一直線に振動していきます。偏光サングラスを通して私たちに届くのは、光の粒子以外の光なので、眩しくないのです。

それにしても、「偏光サングラス」なんてバカみたいな名前だとは思いませんか? サングラスのレンズ自体が偏光化しているのではないのに。どんな光でもレンズで偏光化することはできないのに。

私たちが偏光レンズと呼んでいるのは、レンズが偏光化した光を、どんな方向から来た垂直に振動する光分子でも閉め出し、違う方向へ方向転換させ、透過させずに、偏光した光以外を透過させることによります。

それはシマシマ状の格子がついている小さな窓のようなものだと思ってみて下さい。どんな粒子が窓に近づこうと上に下にと弾んでいようが、レンズはその格子で粒子の侵入を妨げるのです。

さまざまな方法で、偏光レンズは光に作用します。そんな偏光化した光に対応するサングラスを最初につくったのはポラロイド社をつくった、エドウィン・ランドという人で、1936年のことでした。

彼は何万もの小さな分子をヘラパタイトと呼ばれる液晶性化合物を透明な伸縮性のあるポリマーの中で浮遊させる偏光フィルターをつくりだしました。ヘラパタイト分子は小さな針のような形をしています。彼はそれを用いて格子のある窓を分子レベルでつくったのです。

現在、偏光フィルターを応用したさまざまな製品がつくられています。しかし、根本的な原理はなにも変わってはいません。あなたが真夏にブラインドなしに快適なドライブができるのも、湖に落としてしまった眼鏡を探せるのも偏光フィルターのおかげなのです。落としてしまったのが偏光サングラスだったら……それは、残念なことですが……。