欧米によるイラン経済政策解除

堀潤氏(以下、堀):続いてフィフィさん。テーマの発表をお願いします。

フィフィ:(咳払い)

:ここから勝負所ですから!

フィフィ:今、ずっと声が出ないんだろうなと思って。すみません、皆さん!

(テーマ「イラン経済制裁解除 現状と今後」について)

脊山麻理子氏(以下、脊山):イラン核問題の最終合意が履行されたことを受け、欧米などによるイランに対する経済制裁が解除されることになりました。

:中東最大の火種は解消へと言うんです。

2013年8月、ロウハニ政権が発足したことで状況が変化しました。欧米に歩み寄り、核開発の縮小で経済制裁の解除を実現したんです。

これまで非常に悩みの種だったイランなんですけど、イラン国内の経済もだいぶ疲弊してインフレ率が非常に上昇するなど大変だと。

我々は経済活動を再開させたいということで、欧米からオーダーのあった核開発については止めましょうという話だったんです。

日本は関係良化に期待。岸田大臣は「重要な進展を契機として、イランとの伝統的友好関係を一層強化していく」と。

オバマ大統領も、昨日ニュースでお伝えしたんですが、「これで世界は安定に向かう」と言っていましたが。我々は、そうはまったく見えていないというか。イランとサウジの国交断絶の話があったり、石油エネルギーの話があったり……どうなんですか?

イランとサウジアラビアの緊張関係

フィフィ:シナリオ通りというか。

イランが核協議を合意して、そのうち石油を輸出再開するんだろうなというのは、もうずっと前から言われていたことで。欧米はそのシナリオ通りというか、狙っていたと思うんですね。今、サウジとの関係がすごい緊迫化しているというか、緊張関係にありますけど。

:実質、イエメンを使っての戦争状態になっていますからね。

フィフィ:正直言って、これはサウジがイランに対して、イランが欧米から注目を集めているということで焦っていたというところ。

:サウジアラビア側が。

フィフィ:追い詰められてきていますよね。

イランって、皆さんぜんぜんベールに包まれているので。報道も流れてこないんです。サウジもです。

:イランもサウジも両方。

フィフィ:どっちもなんですよ。「どういう国なんだろう?」というのは、わからないと思うんですけど。イランはアラブじゃないです。中東ですけど。

朝見てたら、ハッシュタグで質問来てましたけど、「イラン人とアラブ人の区別の仕方を教えてください」と。

:なるほど。

フィフィ:アラビア語を話す人がアラブ人です。定義として。イラン人はペルシャ語なので。

:ペルシャ語ですね。

フィフィ:ペルシャ人です。ですから、地図を見ても、ここ中東を見ても、トルコも実はアラブ人でもないし。これは、ヨーロッパの人です。

:ただ、宗教はイスラム教。

フィフィ:イスラム教。イランは、最大のシーア派。サウジはスンニ派。大きいですよね、一番。どちらも仕切っていて、非常に石油が出るというところで似ているんですけれども。

サウジアラビアが、今非常に不安定な状態にあるので、欧米は安定したイランと、しかも経済制裁下にあってイランはかなり経済のところを膨らましていて。

サウジとイランの大きな違いは、イランは国民が政府と団結していて経済も発展させていて潤ってきているんです。最近。だから、安定しているなというところで、中が安心しているんです。

:サウジアラビアの場合は、80パーセント以上が原油の輸出に頼ってますからね。国民挙げての産業というわけでもないですもんね。

イエメン内戦の深刻化

フィフィ:日本人はサウジアラビアを想像すると、産油国なのでお金持ちが多いという発想でくるじゃないですか。でも、かなり石油に頼っている国で、恩恵を受けているのは、実は一部で。未だに王族で王政ですよね。

サウジというのは、多くのアラブ人の労働者を昔から受け入れていて。プチ・アラブの春が起きていて、そのプチ・アラブの春がなぜ起きているのかというと、王政を倒したい人たちがいるんです。

:格差で搾取されているから。

フィフィ:若者たちが、この間1980年以来の集団処刑が1月2日に起きて、その中にシーア派の指導者もいたからイランが怒っているんですけど。こういうことが起きている。

こういうことが起きるのはなぜかというと、ヨーロッパと同じような問題を抱えていて、多くの労働者を受け入れたときに、子供たちが成長していって、サウジアラビア人ではあるんですけれども、蓋を開けてみると移民なんです。

:ホームグロウンテロの可能性を土壌として抱えているということですね。

フィフィ:そのことを刺激しようとしている勢力が。今、イエメンが崩壊していますから。政府が。

ソマリアだったり、アフリカと接するこの海峡は、30キロメートルしかないんですよ。ここから入っていって、中の若者たちを刺激して、「王政を一緒に倒そうじゃないか」みたいな組織、勢力が入ってくると。それで、サウジも焦っているんですね。

こういうふうに格差がどんどん中で広がっていって、蓋を開けてみると、みんながみんな石油の恩恵を受けてお金持ちじゃないという、今にも崩壊しそうな状態なんです。

:しかも、原油の値下がり競争でサウジの王族たちも、どんどん収入が減って。

フィフィ:困っているわけじゃないですか。その中で、イエメンの国境で。

それまでは、イエメンの元大統領って元シーア派の人なんですよ。そういう人たちにストッパーになってもらって、なるべく過激派を中に入れないように協力してもらってたのに、今亡命していなくなって。

誰もいなくなって、そこの国境を今一生懸命サウジが空爆しているということは、それは財政を圧迫しますよね。

だから、サウジが窮屈になってきて、内政もおかしくなって、国の状態もおかしくなって。ここと貿易をするのは嫌だなと、欧米は少し控えていて、イランのほうに集中するんですよ。イランは安定してますから。

:アメリカも「僕らシェールガスあるんで」という立場で、すっと中東から引いていって。そこに、習近平さんが今外遊しているわけで。中国の思惑は今度はここに絡んでくるわけですけどね。

フィフィ:こういう状況で戦争は、サウジとイランで起こせません。サウジはイランのことを警戒しています。イランはイラン・イラク戦争でかなりのテクニックを持ってますし、もちろんサウジは軍事費は大きいんですけれども、戦いたくはないというのが本音なので。そこはないと思いますけど。

:第4次中東戦争ね。そこから世界大戦にということには。

フィフィ:イエメンのほうがもっと問題だと思います。そっちのほうから崩壊させようという勢力が入ってくる。注目してください。

:ありがとうございました。本日のオピニオンCROSSは以上とさせていただきます。