どうして体毛が生えるのか?

男性は一生の1カ月以上の時間をひげ剃りに費やしているそうです。ただし、ひげは人間のさまざまな体毛のうちの1種にすぎません。ほ乳類にとって体毛は、体温を調節し、周りから身を隠し、触り心地や外見をよくするための道具です。

では、どうして人間は、こんなに体毛が薄いのでしょう? そもそもなぜ毛が生えるのでしょう? どうして頭には毛がたくさん生えて、頭より下にはあまり生えないのでしょうか?

頭に生えている髪の毛から、ヤマアラシの針、マングースの毛にいたるまで、あらゆる動物の体毛は、クレアチンというタンパク質からできています。人間や一部の動物にはいくつかの異なる種類の毛が生えていて、驚くべき変化を遂げることもあります。

子宮の中の胎児は、うぶ毛という細かい毛に包まれていますが、お腹から出てくるころにはうぶ毛は抜け落ち、その代わりとなる別の細かい毛が生え始めます。

そして、大人へ近づくにつれ、毛が生えかわっていきますが、これはアンドロゲンという男性ホルモンが作用しているからです。また、男女問わずこのアンドロゲンは分泌されていて、男性は女性とくらべて、アンドロゲンの分泌量が多いため、女性よりも体毛が多いのです。

つまり、私たちの体毛は種類によって成長のスピードが違うのです。これはありがたいことで、もしそうでなければ人間もアフガン=ハウンドみたいな犬のような姿になってしまうでしょう。

毛が抜けたり弱ったりする理由

髪の毛は4年間ほど伸び続けますが、脇やそのほかの部位に生える毛はたった数カ月しか伸びないのです。脇の毛は成長パターンが限られているので、2、3センチより長くなることはありません。すねまで伸びた脇毛なんて、見たことないでしょう? 

ただし、髪の毛にも休息が必要で、毛包の休眠期と呼ばれる期間が存在し、髪の毛がちぎれやすくなったり、抜け毛が増えたりします。

毛穴の大きさなどの要因に加えて、さまざまな段階があるため、髪の毛、脚の毛、眉毛とそれぞれ質や長さは異なりますが、ごくまれに、子供のころから毛が成長し続け、顔や身体が毛で覆われてしまう先天的な「毛髪病」というものも存在します。

人類は体毛の少ない種族で、興味深いことに、私たちの毛穴の数は先祖のそれと変わりません。その数は、およそ500万本。先祖の類人猿より人間の毛のほうが短く、細いだけなのです。

人間の体毛が薄くなったワケ

ここで、浮かび上がる疑問がひとつ。私たちの体毛はどうなってしまったんでしょうか?

科学者によると、私たちの先祖が気温の高いアフリカのサバンナで暮らしはじめた170万年前から、人類の毛は減り始めたそうです。その理由は人類が直立歩行するようになり、直射日光にさらされる部分が減ったからであり、髪の毛だけが多いのは、太陽から肌を守るためだと言われています。

また、寄生虫がわく可能性が低く、衛生的にもよいため、毛が少なくなったのだという説があります。身体が毛に覆われていると、寄生虫やそのほかの虫の住処になってしまうかもしれません。健康で清潔な印象を異性に抱いてもらうために、毛の少ない身体へ進化したとも言われています。

つまり、髪の毛で直射日光から肌を守りつつ、寄生虫を避けるために体毛は減ってきたのです。このことからわかるように、あらゆる発展や変化には理由があるのです。

脇毛があるのにも理由があり、脇にあるアポクリン腺から異性を惹きつけるフェロモンを分泌しているためです。

毛を剃るときには、その毛が人間にとって何らかの役割を果たしていて、何百年もかけて辿りついた結果であることを忘れないでください。それでもおそらく毛は剃るだろうと思いますが。それが今の社会での常識ですからね。