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「一人前になるには1万時間必要」は誤りだった! たった20時間で新たなスキルを身につけられる4つのコツ

「一人前になるには1万時間必要」は誤りだった! たった20時間で新たなスキルを身につけられる4つのコツ

巷で声高に叫ばれる「スキルを熟達させるには1万時間必要だ」との声。しかし米の人気作家・ジョシュ・カウフマン氏は、自身の体験から4つのコツさえ抑えればたったの20時間で「まあまあ良い」レベルまで到達できると語ります。

スピーカー
作家 Josh Kaufman(ジョシュ・カウフマン) 氏

子育てが奪う自由時間

ジョシュ・カウフマン氏 皆さん、こんにちは。2年前、私の人生を永遠に変えるような出来事がありました。妻のケルシーと私に、娘のリラが生まれたのです。 親になるということは、実に素晴らしい経験です。一夜にして自分の世界がすっかり変わるのです。自分の優先事項もたちまち全部変わってしまいます。その変化の速さには、対処するのが本当に難しいこともあります。また、親業について、学ばなければならないことが山ほどあります。例えば、子どもにどんな服を着せるか、とかですね。 (会場笑) 20h.1_R これは私には新しい経験でした。これが実際の洋服です。私は似合うと思ったのですが、リラでさえも似合わないとわかったようでした。 (会場笑) 学ばなければならないことも、頭が変になってしまいそうなことも、一度にどっとやってきます。さらに大変なことに、ケルシーも私も家で働いています。私たちは二人とも起業家で、自営業なのです。ケルシーはヨガ講師のためのオンライン講座を開発しています。私は作家です。ですから、私も家で仕事をし、ケルシーも家で仕事をしています。 赤ちゃんがいて、やるべきことは全てこなそうと努力しています。だから、本当に、ものすごく忙しい生活を送っているのです。この素晴らしい経験をするようになって数週間経つと、睡眠不足がものすごく深刻になってきました。第8週目頃でしょうか、私はこう思いました。私だけでなく、時代も国も超えて、親であればみな同じことを思ったでしょうが、「もう二度と自由時間を持てない」と思ったのです。 (会場笑) そのとおり、と言う人もいました。必ずしもそれは事実ではないのですが、でも、その時は本当にそう思えたのです。私は非常に戸惑いを覚えました。 なぜかというと、私にとって何よりの楽しみの一つが、新しいことを学習することだったからです。何かに好奇心を持ったら、飛びついて、いろいろかじってみて、試行錯誤を繰り返し、最終的にはかなり上手く出来るようになっていました。それが、この自由時間がなくなってしまったら、そんなことはもう二度と出来なくなるかもしれない、と思いました。

スキル習得に必要な時間は1万時間?

でも、私はとても学習オタクなのです。学習し続け、成長し続けたいのです。 そこで私は図書館や本屋に行って、私たちがどのように学習するか、どうすれば速く学べるかについての研究を調べることにしました。たくさんの本を読み、いくつものWebサイトを調べて、次の問いに答えようとしたのです。「新しいスキルを習得するのに、どのくらい時間が必要なのか?」。何がわかったと思いますか? 20h.2_R これを見て下さい。1万時間ですよ! 皆さんは聞いたことがありますか? 何か新しいことを学習して、上手に出来るようになりたいと思ったら、それを達成するのに1万時間かかるというのです。このことを何冊もの本で読み、いろいろなWebで見ました。これを読んだ私のリアクションは「だめだ~!!」。時間がない! 1万時間なんて取れっこない。もう二度と新しいことを学習することは出来ない、永遠に出来ないんだ、というものでした。 (会場笑) でも、そんなことはないのです。1万時間の大体の目安はというと、フルタイムの仕事5年間分に相当します。長い時間です。誰でも新しいことを学習した経験はありますが、とてもそんなに長い時間がかかったことはありませんよね。 では、いったいどうなっているのでしょう。何だかうさんくさいですよね。研究結果と自分の予想と、実際の経験がかみ合わないのです。そこで、わかったことがあります。ここがミソですよ。 「1万時間の法則」は、プロレベルの成績の調査に由来するものです。フロリダ州立大学のK.アンダース・エリクソン博士という方がいます。彼が1万時間の法則の考案者です。この法則は、プロのスポーツ選手、世界的な音楽家、チェスの名人など、超競争の激しい分野の、超成績の良い人ばかりを調査して導かれたものです。 博士は、これらの分野でトップに達するために、どのくらいの時間がかかるのかを調べました。わかったことは、練習がより計画的であればあるほど、何の分野であれ得意分野の練習に時間をかければかけるほど、ますます上達する、ということでした。そしてこれらの分野の頂点に立つ人々は、練習におよそ1万時間を費やしているというのです。 さて、このちょっと前に伝言ゲームの話がありましたね。真相はこうです。マルコム・グラッドウェルという作家が、2007年に『天才! 成功する人々の法則』という本を書きました。その本の中心的テーマがこの「1万時間の法則」でした。たくさん練習すれば、十分に練習を積めば、ものすごく上達する、その分野でトップになれる、というものです。

「1万時間の法則」は誤解

ところで、実際にエリクソン博士が言っていたのは、超競争的な分野の、それも非常に限定されたテーマにおいて、トップになるためには1万時間かかる、ということでした。それ以上でもそれ以下でもありません。それが、実際にはこうなってしまったのです。『天才! 成功する人々の法則』が出版されたとたん、すぐにベストセラーリストのトップになり、3ヶ月間その座を守りました。 突然、この1万時間の法則が広まったのです。そして社会全体で伝言ゲームが始まりました。 最初の「超競争的な分野のトップになるために1万時間かかる」が「何かの達人になるために1万時間かかる」になり、それが、「何かが得意になるためには1万時間かかる」になり、そして「何かを習得するのに1万時間かかる」へと変わってしまったのです。しかし、この最後の「何かを習得するのに1万時間かかる」、これは間違いです。本当ではありません。 実際の研究結果は、こうです。私はここカリフォルニア州立大学の図書館で、認知心理学の本を読んで長い時間を過ごしました。オタクですからね。さて、スキル習得の研究を見ると、こういうグラフを繰り返し見かけます。 20h.3_R (縦軸 タスク遂行にかかる時間、横軸:練習時間) 研究者たちは、運動スキルであれ、身体を使うことでも知的なスキルであっても、時間を測定できるものを研究したがります。数値化出来るからなのですが。それで、研究者は実験参加者に対して、物理的配列が必要だったり、頭を使う、ささいなコツが必要なものなど、ちょっとしたタスクを与え、実験参加者がそのスキルを習得するのにどのくらい時間がかかるか、を計測します。 そこでこのグラフの登場です。最初、研究者が実験参加者にタスクを与えたばかりの頃は、非常に長い時間がかかりました。初めての経験で、実験参加者も上手く出来なかったからです。でも、ちょっと練習すれば、だんだん上手く出来るようになるのです。そして、練習のその初期段階が真に効果的なのです。誰でもほんの少し練習すれば、上達するのです。

「まあまあ良い」レベルまでなら20時間で到達できる

さて皆さん、自分が習得したいと思うスキルについては、時間についてはあまり気にしないですよね。私たちにとって大切なのは、どれだけ上手になるかということです。もちろん、「上手」の定義は人によって違いますが。そこで縦軸の「タスク遂行にかかる時間」を「習熟度」に置き換えてみます。 20h.4_R すると、先ほどのグラフがひっくり返って、よく知られた有名な「学習曲線」になるわけです。「学習曲線」を説明すると、学習したての頃は、とても下手くそで、それを自分でも自覚していますよね。それが、ちょっと練習すると、本当にすぐに上手になります。 ですから、学習初期の段階では上達が非常に速い。それがある時点で「プラトー(高原状態)」に至って、その後だんだん上達するのが困難になり、時間がかかるようになります。 それで私の問いは以下のようなものです。(学習曲線の図を指さして)私は上達したいわけですよね。何か新しいことを始めて、「とても下手くそで、それを自分でも自覚している」状態から、「まあまあ良い」レベルまで、それも出来るだけ最短期間で到達するためには、どのぐらい時間がかかるでしょうか? 私の調査によると、20時間です。 20h.5_R たったそれだけなのです。全く何もわからない状態から始めて、思いつくかぎりどんなスキルでも、20時間あれば良いのです。言語を学びたいでしょうか? 絵を描きたいですか? それとも燃えるチェーンソーで曲芸をすることでしょうか? (会場笑) 20時間、集中して計画的に練習すれば、びっくり仰天するでしょう。自分がどれだけ上達したかに驚くはずです。20時間なら実行可能です。1日約45分間を、約1ヶ月間続ければ良いのです。時々2、3日とばしたってかまいません。20時間なら練習を重ねるのも、そんなに大変ではありません。

スキルを小さく分解して練習する

さて、これを実行するには方法があります。約20時間かじったからといって、ぐんぐん上達する、という訳ではありません。賢い練習方法があるのです。投資した20時間を、最大限有効活用できるような、効率的な練習方法があるのです。以下がその方法で、何にでも応用できます。 20h.6_R 1つ目は、スキルを分解することです。何が出来るようになりたいかを正確に見極めて、そのスキルを検討し、小さい部分に分解するのです。私たちが一つのスキルと考えているものは、実際は大きなスキルのかたまりで、それには実に様々な要素が含まれます。 スキルをバラバラに分解すればするほど、実際に自分のしたいことを実現するのに役立つのはスキルのどの部分なのか、を見極められるようになるのです。それをまず練習するのです。もっとも大事なことから練習すれば、必要最小限度の時間で成績を伸ばすことができるようになるでしょう。

まずは、間違いを自己修正できるレベルを目指す

20h.7_R 2つ目は、自己修正が出来るくらいまで学習しましょう。学習しようとする分野について、3つから5つのリソースを手に入れましょう。本でもDVDでも何でもかまいません。だだし、これらのリソースを、練習を先送りする言い訳にしてはいけません。 私にも経験があります。あるトピックについて本を20冊くらい積み上げて、「この20冊を読み終えたら、コンピューター・プログラミングの学習にとりかかるとしよう」というような。それは単なる先送りです。 練習しながら自己修正、もしくは自己訂正出来るようになるくらいまで学習することです。そうすれば、間違いをした時に自分で気がついて、ちょっと違うふうにやってみることが出来るようになります。

誘惑を排除する

20h.8_R 3つ目は、練習の妨げとなるものを排除することです。気を散らすもの、テレビ、インターネットといった、実際にじっくり取り組む邪魔となるものを遠ざけましょう。ほんのわずかの意思の力で、練習の妨げとなるものを排除すれば、実際に練習にじっくり取り組めるようになるはずですよね。

「ヘタクソな自分」からの脱却

20h.9_R 4つ目は、最低でも20時間は練習しましょう。さて、たいていのスキルには私が呼ぶところの「フラストレーションの壁」があります。つまり「とても下手くそで、それを自分でも自覚している」ことです。これは本当にとてもフラストレーションがたまります。自分がばかみたいだとは誰も思いたくないものです。そして自分がバカみたいだと思うことは、実際に練習に取り組む妨げとなるのです。 ですから、皆さんのしたいことが何でもあれ、最低でも20時間その練習に専念することで、当初のフラストレーションの壁を克服し、そして実際に結果を出すまで練習を続けることが出来るのです。たったそれだけです。全然難しいことではありません。この4つのとても単純な方法は、何の学習にも使えるのです。

ウクレレでこの理論を実践

さて、これを理屈で語るのは簡単ですが、実行するのはもっと楽しいですよ。私が長い間学んでみたかったことの一つが、ウクレレを弾くことでした。TED Talksで、ジェイク・シマブクロがウクレレを弾くのを観た方はいますか? まるでウクレレの神様のような演奏でした。素晴らしかった。私はそれを観て、「すごくかっこいい!」と思いました。とても素敵な楽器です。本当に弾けるようになりたいと思いました。 それで、この理論を試すために、20時間ウクレレを練習して、どこまで出来るようになるか、やってみることにしたのです。ウクレレを演奏する第一歩は何かというと、練習するためにはウクレレを手にいれなければならないですよね。それで、ウクレレを買いました。 20hours.1_R これはただのウクレレではありませんよ。ここにコンセントを差し込む必要があります。エレキウクレレです。いいでしょう。 (会場笑) 最初の数時間は、何をするのでも同じです。まず、練習に使うツールを入手しなければなりません。ツールが使えるか、確かめる必要があります。私が買ったウクレレには、弦が張られていなかったので、弦の張り方を解明しなければなりませんでした。これって重要なことですよね。それから調弦の仕方、練習を始める前にやるべきことをしておく方法を学ばなければなりません。 実際に練習を始める準備が出来てから、私は曲を演奏するために、インターネットのデータベースやソングブックを調べました。それによれば……OK、ウクレレは同時に複数の弦を演奏することが出来る。コード演奏が出来る。素晴らしい! 弾き語りも出来る、やったね! (会場笑) 次に、私は歌を調べてみました。私はウクレレのコードブックを持っていて、それには何百ものコードが載っていました。これを見て「うわ、難しそう」と思いました。でも実際の歌を見ると、同じコードが何度も出てきます。それでわかったのは、ウクレレを弾くことは、他のことと同じだということです。本当に大事なルールがほんの少しと、常に使用する技術があるのです。 たいていの曲では、4つか5つのコードを使います。それだけでいいのです。4つか5つさえ知っていれば、何百ものコードを覚える必要はないのです。調べているうちに、Axis of Awesome(4つのコードのみでヒット曲のメドレーを演奏する、海外の人気コメディバンド)というバンドの、素晴らしいヒットメドレーを見つけました。 (会場から口笛) ご存じの方もいらっしゃるようですね。Axis of Awesomeによれば、4つのコードさえわかれば、過去50年間のヒット曲を学べたり、そのほとんどを演奏できるというのです。その4つとは、(コードを弾いてみせる)G、D、Em、Cです。 20h.10_R この4つのコードで、これまでのヒット曲を全て演奏出来るんですよ。私は思いました。「これはすごい! これまでのヒット曲を全部弾いてみたい」。 (会場笑) だから、これを私が最初に習う曲に決めました。実際に皆さんの前で演奏してみたいと思うのですが、いいですか? 始めますよ。 (会場拍手) (ウクレレでAxis of Awesomeの4 Chordsヒットメドレーを弾き語りする) 20h.11_R 20h.12_R (弾き終えて会場から拍手と大歓声) ありがとう、皆さん。いい歌でしょう。 (会場笑) 私の秘密をお教えしましょう。皆さんにこの歌を披露したことで、ウクレレの練習がちょうど20時間に達したのです。 (会場から大きな拍手) ありがとう。素晴らしいことです。自分のしたいことがたとえ何であっても、新しいことを学ぶ上で障害となるのは、知的なことではありません。たくさんのちょっとしたヒントや、コツを学ぶプロセスでもありません。 障害の大部分は感情的なものです。私たちは怖いのです。自分がバカみたいだと思うことは、気持ちの良いことではありません。何か新しいことを学習し始めた時、誰でも本当にバカバカしいと思うのです。知的じゃなく、感情的でしょう? でも、何でもいいから20時間練習してみてください。何を学習したいですか? 言語ですか? 料理でしょうか? 絵を描くことでしょうか? 何に興味がありますか? あなたをときめかせる事はなんですか? それをやってみてください。たったの20時間しかかかりません。楽しみましょう。

  
※ログミーでは、TED Talksおよび各TEDxの定めるCCライセンスを遵守し、自社で作成したオリジナルの書き起こし・翻訳テキストを非営利目的のページにて掲載しています。
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