DVDでは高解像度の長編映画は収録できない

マイケル・アランダ氏:あなたがたった今、数十億ドルを投じたハリウッドの3D大作映画を撮り終えたとします。まばゆいばかりの光線、きらめくスター達、大迫力の爆発、そしてロマンチックなシーン…、それらはすべてひとつの大きな映画ファイルに集約されます。もっとも、コンピューターから見れば、それらのデータは延々と続く1と0との羅列になるわけですが……。

あなたはそれらの1と0をある種の物理的な形状を持ったもの、いわゆるDVDやブルーレイディスクに納めなければなりません。しかし、映画のファイルサイズがとても大きい場合、つまり映画が長編で解像度が高い場合じゃ、データ容量が4.7ギガバイトしかないDVDでは足りなくなります。

そこでブルーレイの登場です。ブルーレイプレイヤーはより強力なブルーレーザーを使用します。そのためブルーレイを使用した場合は、1つのディスクに最大50ギガバイトまでデータを収めることができるのです。

どちらのディスクの場合でも、すべての0はディスク上に刻まれたピットと呼ばれる小さな穴に保存され、すべての1はランドと呼ばれる部分に保存されます。

なぜブルーレイは大量のデータを記録できるのか

あなたの映画が再生されるとき、プレイヤーは過剰エネルギーを吸収する電子によって放射された集中光線、すなわちレーザーを放ちます。そのレーザーはレンズを通り、ディスク上に集約されます。プレイヤーは光線の反射や拡散の仕方で、光線がランドに当たっているのか、それともピットに当たっているのかを識別します。そしてそれが1なのか0なのかを判断するのです。

ディスクに収めることができるデータ量はレーザーによって左右されます。つまり使用されるレーザーにはピットとランドをしっかり区別できるだけの細さが要求されるのです。さもなければ、誤ってピットとランドの両方を同時に読み取ってしまうことになります。

光を構成するすべての色にはそれぞれ波長があります。そして波長が小さければ小さいほど、その色の光線をより小さな部分へ集中することが可能になります。言い換えれば、より小さなピットやランドの情報を読み取ることができるようになるのです。

赤色のような、虹を構成する光の上部に来る色はより長い波長を持ちます。その一方で、虹を構成する光の下部に位置する青色はより短い波長を持つことになります。だから青紫色のレーザーを使用するブルーレイプレイヤーは、赤色のレーザーを使用するDVDプレイヤーに比べてより小さなピットやランドの情報を読み取ることができるのです。

ブルーレイディスクはより小さなビットやランドを持っているので、同じ表面積他の種類のディスクに比べ、より大量のデータを詰め込むことができます。

ブルーレーザーを生み出すのも並大抵のことではない

しかし、ブルーレーザーを生み出すことは並大抵のことではありませんでした。なぜならガリウムナイトライドと呼ばれる特殊な化合物半導体が必要とされたからです。

つまり、ブルーレーザーを生み出すために、高エネルギー電子を格納できる大量の穴、もしくは低エネルギースポットを持った結晶が必要だったのです。

1990年代の前半にその解明に成功した物理学者は2014年にノーベル物理学賞を受賞しました。そして1996年、彼らはブルーレーザーを生み出すためにその結晶の使用に踏み切りました。

その後の10年間でブルーレーザーの性能は飛躍的に高まり、ついにはより大量のデータが書き込まれたディスクを読み取ることができる次世代のプレイヤーとしての地位を確立したのです。言うまでもなく、ブルーレイはその代表格です。

これが、巨大な映画ファイルを小さなディスクに収めることができる秘密です。