さびは燃焼の一種だった

ハンク・グリーン氏:金属を十分に熱すると、溶かしたり、曲げたり、1メートルの両刃の剣を作ることができるということは皆さんご存じですよね。でも、実際に金属を燃やすことはできるのでしょうか。

あなたは金属を、金色の指輪や暖炉の火かき棒、炭酸飲料の缶のような、とても身近な形で知っているでしょう。しかし、金属というのは本当は実に多様な物質なのです。

実際に、金属は周期表の元素の大部分を構成するんですよ。

金属は通常、関連する物質的性質によって定義されます。固いけれども展性があり、打ちのばして薄板にすることができるのです。また、金属には延性があり、コードにすることだって可能です。しかし、金属の最も重要かつよく知られている特性は、熱と電気の素晴らしい導体であるということでしょう。また、金属は一般的に、灰色で光沢があります。

金属が電気をよく伝導することができる理由は、一部の金属が燃えることができる理由と基本的には同じものです。多くの金属の原子は、電子を実にたやすく手放す傾向があります。そのため、金属片を熱や電気が流れる時、つまり励起電子が流れる時、そして金属が燃える時に、金属は電子を手放すのです。

しかしその方法は、あなたが想像するような形で起こるわけではありません。例えば、純鉄の塊は、長時間不純物のない状態でいることはありません。その理由は、鉄原子が酸素と一緒にいたがるからです。

酸素は電子が大好きで、鉄が手放そうとしている貴重な電子を喜んで全て取り込みます。そのため、空気中や水中などで酸素にさらされると、鉄はさびて酸化鉄になるのです。

でもこれは燃焼とどのような関係があるのでしょうか。これは酸化と呼ばれる化学反応です。燃焼もまた酸化の形なのです。かなり急速な酸化ではありますけどね。

ですから、さびも燃焼の一種なんです。実際に少し熱を発生させるんですよ。ただ、さびの場合はとてもゆっくりとした酸化で、何も燃やすことはありませんけどね。

スチールウールは簡単に燃やすことができる

しかし、鉄は条件が整うと発火することがあります。鉄を始めとする全ての金属は、熱せられれば熱せられるほど酸素への親和性が高くなります。そのため、小さな鉄片を十分に熱すると、とても急速な酸化が起こる点に達するのです。この点がその金属の発火温度です。

自宅でも試すことができますよ。必要なのは非常に細いスチールウールを少々と、ペンチ、それに火をつけるライターのようなもの。あとは、金属の高温の火の粉を受け止められるようなものですね。火の粉が調理台に落ちて燃え出さないようにするためです。

気を付けてくださいね。

このスチールウールは実はただの薄く削られた金属で、主に鉄でできています。金属の純度が高く、表面積が広いほど、金属は燃えやすくなります。実際に燃えるかやってみましょう。

わあ、綺麗ですね。うまくいきました。火の粉が顔に当たってちょっと痛かったかって? はい、痛かったですよ。

フライパンが燃えないのはなぜ?

それでは、なぜスチールウールは燃えるのに、ブルックリン橋や鉄製のフライパンは燃えないのでしょうか。

いくつか理由があります。まず、金属は非常に優秀な熱の伝導体なので、金属に熱が加えられると熱を分散させます。そうすることで、特定の部分が発火温度に届くのを難しくさせるのです。炎の上にフライパンを乗せると、熱は金属全体に素早く分散されます。ですので、表面はフライパン全体に火がつくような反応を継続させるほど熱くはならないのです。

しかし、スチールウールの小さな細線は非常に薄いため、熱が広がる余地がありません。そのため、鉄は直ちに発火温度に達します。

次に重要な要因は表面積に関するものです。フライパンの鉄の多くはフライパンの内部にあります。鉄と空気が接触することはないのです。スチールウールは長い糸が非常に大きな表面積を持っており、それが空気中の酸素にさらされ、反応を起こす準備ができているために燃えるのです。

それは、1枚の紙に火をつけるのは非常に簡単である一方、大きな古い丸太に火をつけるのは難しいというのに似ています。鉄粉は燃えますが、鉄の棒は燃えないのです。

結局これは、反応するにせよしないにせよ、全ては粒子の問題なのだという良い例です。金属と聞いて鉄製フライパンを想像すると、炎をそらして実際には燃えない姿しか思い描くことができません。

しかし金属を元素状態で考え、鉄などの多く金属が酸素に熱を上げるのだということを覚えておくと、あなたの見識は大いに深まるでしょう。