IVS 2015 Fall Kyoto「ドローンの未来」

千葉功太郎氏(以下、千葉):最初に僕のほうから、「ドローンって何だろう」というのを(ご説明します)。たぶんもうこの会場の方だと説明の必要がないので、ザザッと飛ばしていきますが。

本当はパネルディスカッションの4人目でお呼びしたかった、マイクロソフトの西脇(資哲)さんという執行役員(がいて)。

ドローン業界では、ドローンエバンジェリストとして有名なので、彼の資料をそのまま借りてきました(笑)。素晴らしいので。僕の資料じゃないです。

ドローンの定義はいろいろあるんですけど、「無人で飛行可能な航空機の総称」ということで、本当にいろんなもの。昔は軍事系のものがドローンって呼ばれていたんですが、今は空飛ぶ無人のものがドローンと呼ばれるようになっています。

今年ちょうど、国際ドローン展があって、DJIさんふくめて各種いろんな発売が相次ぎ、一番有名になったのは、やっぱりこれですよね。

首相官邸にドローンが落下して、ドローン少年が登場して、もうこれで一躍ドローンというキーワードが、日本全国で知名度が高まったんじゃないかなと思います。

これはやっぱりドローン業界にはけっこうショックだったんですが、一方でこれだけの知名度を一般の方々に知っていただいたチャンスでもあるというのが今年。ただ、マナーの悪さは絶対許されないですね。

実は日本では無人飛行機、ドローンはずっと昔から注目されていて、特にヤマハさんが作られている農業用のヘリコプターに関しては、世界のドローンの65パーセントが、日本の国内で飛んでいたぐらい、実は日本は昔から、今で言うドローン世界大国であると。

まず、最初に(パネリストの)お三方に、今どんなことをやっているかというのを、5分くらいずつお話しいただきたい。

トップバッターは、坂本さんに。空撮事業など、リアルな今のドローン事業に関して教えてください。よろしくお願いします。

坂本義親氏(以下、坂本):はい、ORSOの坂本でございます。よろしくお願いします。まずはドロニスト・千葉功太郎さんの撮影した動画からです。うちで編集させていただきましたので、ぜひそちらをご覧いただければと思います。ぜひ皆さん、ドロニスト千葉さんと呼んでください!

(映像が流れる)

坂本:僕は大分出身で、こちら(の映像)は大分県の姫島。

千葉:国東半島の向こう側にある、人口2000人の島ですね。1泊2日の1人撮影合宿。

坂本:これはINSPIRE 1ですよね。

千葉:そうです。INSPIRE 1。実はDJIさんからご提供いただいた機材で、僕のプロドロニストとしての第1号作品ですね(笑)。

坂本:はい。正直この映像を見たときに、「千葉さん、すげえ練習したな」と。

千葉:仕事やってますよ(笑)。

坂本:だって、コロプラの副社長ですよ。これ見たときにちょっと衝撃受けました。たぶんドローン始められて……半年ですよね?

千葉:半年ですね。ちょうど3月ぐらいに坂本さんからドローンを見せられて、あとグリーの山岸(広太郎)さんからドローンの映像を見せられて、すごいなと思いました。

そこからひたすら練習したんですけど、やっとこれぐらいのレベルになりました。皆さんもできます。

坂本:いや、本当に素晴らしいです。

千葉:ありがとうございます。

坂本:はい。こちらの映像はドローンのメディアで「Catalist」というWebサイトがありまして、そちらに載っていますので、ぜひゆっくりご覧ください。

ドローンを活用した空撮事業

坂本:僕はORSOという会社をやってます。最近ドローンの会社として有名になってきましたが、そもそもはスマホのサービスを作る業務をしています。こちらの会社は起業2社目、2005年設立で、100人程でやらせていただいてます。お世話になってる方ありがとうございます。

千葉:それが今ではピボットして、ドローンの会社になったんですか(笑)。

坂本:そうなんですよ! 完全ピボットではなく、新規事業の一環として取り組んでいます。ドローンを表現方法の1つとして使えないかというので、2014年ぐらいから。

ラジコンをやってる仲間がいまして、Phantom2というDJIさんのドローンが出たときに、ぜひ飛ばしたいというので撮影協力してもらえる場所を所有している方を募って始めました。

ドローンって、僕らから見ると携帯電話端末に見えてるんですよ。携帯電話っていろんな機種があるじゃないですか?

「すべての機種に感動体験を」というのを、僕らはずっと追い求めてきたので、まずはいろんな機種のドローンを飛ばして映像を撮りながらたくさんテスト飛行していこうと考えて、去年の7月辺りからいろんなところを回らせていただきました。

今はドローンを活用した動画撮影、編集、機種選定や環境整備、あとコンサルティング、ドローンを活用した事業を一緒にやりませんかというので、ドローンに関係する事業であればなんでもやらせてもらってます。 いろんなところで飛ばしていて、総フライト数1,700フライトを達成しました。

千葉:飛ばしすぎでしょ(笑)。

坂本:総撮影スポット数80ヵ所。保有ドローン台数が105台。

千葉:(笑)。

坂本:最近20台ほど増えまして。

千葉:すごい。

坂本:はい。独自のテスト項目と安全確認項目を設定しまして、安全に飛行をさせていただいております。

うちの場合はドローンで撮った映像と、あとやっぱり映像作品としてのクオリティを求めて表現したいので、地上カメラで撮ったり、あるいは星が撮れるカメラを使って星を撮ったりしたのを組み合わせながら、動画自体を見てくださる方やその後のコンバージョンを上げることを意識して制作しています。

最後まで見ていただける、スマホ動画を作るというところをメインに、動画制作や編集をやっています。

ちなみに、なぜ動画制作なのかというと、「動画撮らしてください」と言ったほうが「テスト飛行させてください」って言うよりも撮らせてくれる方たちが多いので。うちとしては、テスト飛行の1つとして動画を撮ってる感じです。これも大分県です。本当にありがとうございます。

千葉:すごい。

坂本:(映像を見て)こちらは国宝の宇佐神宮ですね。

千葉:ナショナルジオグラフィックみたいです。

坂本:ありがとうございます。

千葉:すごいですね。

坂本:これもINSPIRE 1です。

千葉:やっぱりDJIなんですか?

坂本:DJIですね。続いてPlan・Do・See(プラン・ドゥー・シー)さん。去年の秋ぐらいにお世話になりまして、飛ばさせていただいた動画です。

やっぱりこの結婚式場とか雰囲気が必要な建物を、ドローンでいろんな方向から「なめながら撮る」というのは映像的にとても映えます。

特にPlan・Do・Seeさんの建物は歴史ある文化的な建物が多いので、建物の美しさをどうやって引き出すか映像としてクリエイティブな撮影の仕方が試せてすごく楽しかったです。

海外でメジャーなドローンレース

坂本:次は、最近ドロ-ンのレースが2月に開催されまして。

千葉:ニュースでもけっこう出てた。

坂本:はい。そちらの協賛ということで公式動画を撮らせていただきまして、そちらも今日はご覧いただこうかなと思います。

千葉:ニュースで観た方もいらっしゃると思うんですけど、最近(開催された)ドローンレース。もともと海外ではすごいメジャーなんですが、日本にも上陸しつつあって。これは飛ばすのに、何か特殊な技術や免許がいるんですか?

坂本:レースになるとレース用の特殊な機材が必要になります。それを自分で組み立てるというのが現在の主流です。今回開催されたドローンインパクトチャレンジの場合はクラスが2つありまして、DJIさんやParrotさんのような既にパッケージで販売されているドロ-ンを使って飛ばせるクラスと、あとは専門的なドローンレース用の機材を自分で組んで飛ばすクラスの2つのクラスがありました。

千葉:すごい。最高時速は何キロぐらい?

坂本:100キロぐらい出ます。

千葉:ひえー。これはドローンカメラからくる、伝送映像を見ながら運転するやつですよね。

坂本:はい。

千葉:これは食っていけるんですかね? プロレーサー。

坂本:食っていけると楽しくなりますよね。

千葉:まだこれから。

坂本:はい。eスポーツと一緒になるとうれしいなと思います。

千葉:なるほど。

坂本:なぜ今ドローンなのかというので、我々の基本方針を。「自分たちがされたら嫌なことはしない」というところをぶれずに、一つひとつ、安全項目、確認項目を作りながらやらせていただいてます。

実は、今日の日経新聞の社会面に取り上げていただきまして、今デジハリさんとドロ-ンのオペレータを育成するというので、私が実務におけるケーススタディと操縦実技の授業をやらせていただいてます。

我々は飛行テスト、動画作成というところをやってきまして、培ったノウハウと経験をご活用いただけるパートナー様をいろいろ探しているところであります。ORSOからは以上です。ありがとうございます。

千葉:ありがとうございます。さっき言い忘れちゃったんですけど。

坂本:はい。

千葉:慶應義塾大学SFCドローンコンソーシアム上席研究員という肩書に、僕と坂本さんが……ありがたいことに。

坂本:僭越ながら。

千葉:まだ慶應大学で未発表らしいんですけど、「今日ここで言ってもいいよ」と言われたので、先に言いますが。何とドローンの研究チームが立ち上がり、坂本さんはプロでやられているのでいいですよね。僕みたいな趣味の人まで、アカデミックな世界で研究をすることになりました。

坂本:ありがとうございます。

(会場拍手)