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「まず名刺を配って」マルチタレント・パックンのキャリアを支えた日本の慣習

「まず名刺を配って」マルチタレント・パックンのキャリアを支えた日本の慣習

お笑いコンビ・パックンマックンのパックンとして知られる、パトリック・ハーラン氏が日本外国特派員協会にて会見を行い、外国人タレントから見た日本のテレビをテーマに話しました。芸人、俳優、DJ、ナレーター、コメンテーター、コラムニスト、大学講師・・・・・・と、非常に多彩な顔を持つパックンですが、学生時代には「なんでもしようとすると、なにもできなくなるぞ」と忠告を受けた経験を持つそうです。また、文化の違う国で笑いを求めることは非常に難しかったと、これまでを振り返ります。パックンが考える、日本とアメリカの笑いについても言及されています。

シリーズ
Through the Eye's of "a Foreign TV Personality"
2015年12月14日のログ
スピーカー
パトリック・ハーラン(パックン) 氏
ジョナサン・ソーブル 氏
参照動画
Pakkun (Patrick Harlan): Through the Eye's of "a Foreign TV Personality"
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今日のゲストはパックン

ジョナサン・ソーブル氏(以下、ソーブル) こんにちは。外国人記者クラブへようこそ。私の名前はジョナサン・ソーブルです。今日の司会を務めさせていただきます。 今日はゲストに、パトリック・ハーランさんをお迎えしています。彼は“パックン”としてよく知られている方です。あなたは、彼をテレビで見たことがあると思います。彼は日本で最も有名な非日本人の著名人です。 gazou021500693 彼はコロラド州に生まれ、 ハーバード大学を卒業し、「パックンマックン」というお笑いコンビのボケとして人々を引きつけています。彼は映画や、NHKで放送された坂本龍馬の生涯を描いた大河ドラマを始めとするテレビ番組に出演されています。また、ニュースコメンテーターや最近ではBS-TBSの「外国人記者は見た!日本 in ザ・ワールド」の司会者として、テレビにレギュラー出演もされています。 さらに東京工業大学の助教授もされており、ニューズウィークのオンラインおよびそのほかの出版物で記事を書いておられます。あらゆる仕事を通じ、日本のニュースメディアやエンターテイメント業界において、洞察や意見を伝えるユニークな立場の方として必要とされています。30分ほど彼の話を聞き、その後は自由に質問してください。

ジャンケンを使った性格診断から

パトリック・ハーラン氏(以下、パックン) パトリック・ハーランと申します。これから、あなたは初めてのことに遭遇するかもしれません。まず1つ目は、あなたにとって初めて出会うアメリカ人漫才師であるということです。私はルール破りや型破りが好きです。ご心配なさらず。 私のショーの始めには、いつもこれをやります。みなさん、手を上げてください。右手でも左手でもどっちでも構いません。グルグル回してください。みんなやってください。これ、参加型ですよ。グルグル、もっと速く! もっと元気よく! いきますよ!  最初はグー、ジャンケンホイ。やりました? ありがとうございます。 実は今、ジャンケンではなく、性格判断を行ったんです。まず、グーの方。大きく手を挙げてください。グー以外の方は下ろしてください。グーというのは、石のかたちをしています。頭が堅い人です。 さあ、続いてチョキを出した人。大きく手を挙げてください。お、多いですね~。 gazou021500694 チョキというのは、グーでもないし、パーでもない。中途半端な方です。 そして最後にパーの方、大きく手を挙げてください。ハハハ、クルクルパーです。というふうに僕は、あちこち、全国津々浦々、どこでもこれをやっています。お客さんがリラックスしてくれるんです。今日は、コミュニケーションについてお話します。そして、今回は参加型イベントです。30分お話ししたあとに、45分間の質問タイムを設けます。 1人で黙って座っていないで、ぜひ積極的に参加してください。そして、ジャンケンポンをすると、この部屋にいる全員が私を見てくれるんです。あなたがここで私の話を聞くとき、私を外国人として見るか、もしくはタレントとして見るかが重要です。おそらく、あなたのテーブルの上には多くの資料があるかと思います。私の話を判断するとき、それらを使ってください。

“マルチタレント”として

さて、話を始めます。ご興味を持っていただいて、ありがとうございます。長い間、私は外国人記者クラブのファンでした。この活動はとても重要だと思います。また、ときどき国内・国外のニュースを作ることは、日本で議論を展開するためにとても重要だと思います。私のことを知らない方のために、まずは私の自己紹介をする必要がありますね。 皆さん、私のことをご存知ですか? あなたがテレビを見ないことを攻めるつもりはありません。なぜなら、私自身、それほどテレビを見ないからです。テレビは見るものじゃない、出るものです。こう考えています。これは冗談です。書かないでください(笑)。私はジャーナリストではないです。私は記者でもないです。私はマルチタレントです。 英語として正しくないとお考えですか? 日本語で言うタレントは、英語では“personality”です。私はマルチパーソナリティと言うべきなのかもしれません。しかし、それは間違っています。私はパーソナリティではなく、マルチタレントなのです。 マルチタレントとは、なんなのでしょうか? あらゆることを並のレベルでできる人のことです。日本では、この言葉が使われます。いくつかできることがあるのが一般的です。 タレントは、1人でなんでもこなします。歌手になったり、俳優になったり、芸人になったり、なんでもします。日本語でパーソナリティと呼ぶ人もテレビには出ています。では、どのような人をパーソナリティと呼ぶのでしょうか。今の私は、日本では「パーソナリティ」と呼ばれています。 私は、芸人や、俳優、DJや、ナレーター、コメンテーター、最近だとコラムニストや先生といったほかの仕事もしています。私はこれらすべてでお金をもらっていますし、事実として、これらをすべてこなしています。今回は、報酬としていくら貰えるんでしょうか? ソーブル 1年間有効の外国特派員協会の会員権です。

どうしてマルチタレントになったのか

パックン イエス! 私は、私にできることはなんでも挑戦します。だからこそ、今日コミュニケーションについてお話しできるのです。私のことを、どのように覚えるといいのでしょうか。日本の芸能界、日本のコミュニケーション、これらをまとめると、日本のメディアとジャーナリズムです。もちろん、外国人としてです。さて、私はなぜマルチタレントになったのでしょうか。 それは、あらゆるものに興味をもっているからです。小学校、中学校、高校、そして大学と、私はスポーツをしていました。音楽もしていました。もちろん勉強もしました。模擬裁判もしましたし、国立美術協会にも顔を出していましたし、スペイン語クラブにも入っていました。チェスクラブにも入っていましたね。ぜんぶやっていました。 大学生のとき、先生にこう言われました。「パトリック、なんでもしようとすると、なにもできなくなるぞ」。私はこう返しました。「そうですね! 肝に銘じておきます」。そして、私はなんでも並にできるようにしました。特にこれといって得意なことはありません。ありがたいことです。そして、このポジションに立つことができました。私がやったあらゆる仕事のなかでわかったことで、ほかの世代の方にとって重要なことを1つお伝えします。 日本でなにかしようとするなら、名刺を用意して相手に渡してください。そうすれば、相手はあなたの仕事について尋ねてきます。これは驚くべきことです。20年前、友人が私に教えてくれたことです。私は名刺を書いてみました。「DJ・パトリック・ハーラン」「ナレーター・パトリック・ハーラン」「タレント、モデル、俳優・パトリック・ハーラン」。 名刺を配り始めました。しかし、これらどれにおいてもプロとしてしたことはありませんでした。すぐに、電話が鳴り始めました。彼らは「DJなんですか? 来てください!」「俳優ですか? 来てください!」「芸人ですか? 来てください!」と言うのです。驚くほどの変化でした。そして、正直言うと、日本に来て最初の17年間は、十分な準備をしていないことに対して、申し訳なく思っていました。18年経っても、名刺を持ち歩いています。 また、今も先ほど言ったあらゆる仕事をすべてをしています。そのいくつかは、ほかの人よりよくできるようになりました。しかし、私が生き残れたのは、結局のところ運がよかったからです。そして、名誉なことに、私は今ここにいます。長い間、外人タレントの友達には、やることを1つに絞れと言われ続けていました。私はお笑いをしています。ですから、これから日本とアメリカのお笑いの違いについて、いくつかお話ししたいと思います。

違う文化のなかで笑いをとること

まず1つ目は、ユーモアの型です。漫才はもちろん、日本のお笑いのほとんどはステージの上に2人立ちます。そして、コントをし、2人はボケとツッコミに分かれます。アメリカにも、昔はこの型の多くのお笑いコンビがいました。例えば、ローレル&ハーディーや、アダム&カステロや、ブッシュ&チェイ二―(ブッシュ元大統領と、チェイニー元副大統領)です。最後は冗談です。 しかしもう、お笑いコンビは多くありません。ピン芸人か、一発屋が一般的です。私は、お笑いが想像よりずっと難しいことに気が付きました。違う文化のなかでお笑いをすることや、違う言語でお笑いをすることは、これまでやってきたことのなかで一番難しいことでした。あなたは戸田奈津子さんを知っていますか? 彼女は、とても多くのハリウッド映画を担当してきた翻訳者です。彼女は、日本では最も有名な副題制作者として有名です。 彼女は私に、テレビ番組のなかでこう言いました。「お笑いを翻訳するのが最も難しいんです。ほぼ不可能に近いです」「パトリック、毎日もがきなさい!」。私はこう返しました「もちろんです。今日もお笑いの世界をもがいてます」。 私は、日本やもしかしたらほかの国でも通用するかもしれない、面白くなるためのパターンや型を習いました。そのパターンは、アメリカのそれとは違っていました。 具体的には、アメリカのお笑いには3つの基本形があります。政治的なネタ、性的なネタ、そして、田舎者のネタです。時々、奇跡的にそれらが一緒になることがあります。ビル・クリントン政権のことです。3つの条件が完璧にそろったネタです。 しかし、日本ではこれらのネタは規制されています。性的なジョークを言ってはいけません。政治的なジョークもダメです。これらのネタを生業とする芸人は、非常に少ないです。彼らは、小さなステージで、観客を前にしてネタをします。テレビに出ることはありません。その理由は、後ほどご説明します。 もう1つの違いは、アメリカでは政治家自身が面白いです。アメリカでは、冗談を言うことができなければ、活動していけません。多くの政治家は、彼ら自身が冗談みたいな存在ですが・・・・・・。冗談です。 例えば、オバマ大統領は面白い人です。彼に、最大の強みを訪ねると、こう答えました。「私の最大の強みは地味すぎること。最大の弱みは素晴らしすぎること」。彼は面白い男です。ジョージ・ブッシュは、面白くないです。15年前、彼は「戦争は終わった」(イラク戦争のこと)と言いました。陽気に笑いながら。

  
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「まず名刺を配って」マルチタレント・パックンのキャリアを支えた日本の慣習

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