子供の性虐待を対策する部署の設置が決まった

山田太郎氏(以下、山田)前回、この番組でもやったと思うんですけど、日本政府も実際に児童の虐待であったり、性虐待に集中して「どうやってなくせるか」ということを検討する部署がないと(いけない)。

これは先週の火曜日の予算委員会で菅官房長官が……1日目と2日目で答弁が変わって、実際には私の書類を見て心変わりしたというか、安倍さんとずいぶん話をして閣議決定することを決めたようですが、4月からそういう対策部署を作ると決めました。

ということで、やっと日本政府が重い腰を上げるということなんですが、ブーア=ブキッキオさんを始めとして国連から実際に勧告がされるかもしれないと。遅いということはないんですけども、今から対処するということになったわけですよね。

極めて曖昧な「3号ポルノ」の定義

山田:「3号ポルノ」。つまりポルノの定義そのものも、どれくらいバカバカしいかという話もしておく必要があると思います。児童ポルノ禁止法の中の3号ポルノと呼ばれる定義は、このようになっています。

懐かしいね。これは一昨年の6月に参議院の法務委員会でさんざんやった定義なんです。これがポルノの定義だということになると、実際に裸であるかどうかは関係なくて。「一部衣服を着けない」ということは、肌が少しあらわになっていることで性的な興奮をした場合のことなんですよ。

どういう場合が性的興奮かというと、「一般の人が感じる性的興奮」と言っている。なんでかというと、フェチは何を見ても興奮するから。手の平を見たって興奮しちゃうかもしれないじゃん。

遊佐:ああ。

山田:わかるでしょ? 服だけじゃなくて手袋してなきゃ。顔だってそうだよね。それで興奮しちゃったら(手の平や顔は)ポルノかよって話になっちゃうので、「一般の人は手の平を見ても興奮しない」と。

じゃあ、ということで聞いたんですよ。「3歳とか2歳とか1歳の小さい子が性虐待で殺されたりもするんだけど、普通の人は3歳とかの子どもの裸を見て性的に興奮しますか?」と。それは普通の人じゃないよね。もしかしたら一種のフェチだよね。

となると、これは当てはまらないじゃん。最初から全部当てはまらない。つまり、児童虐待をする人なんてのは、基本的には一般人じゃないと考えたほうがまっとうな考え方なんです。「興奮をする」って書いてあるけど、「誰にとってどんな人が興奮するかというのはわからない」という議論に戻っちゃうんですよね。

遊佐:はい。

山田:ということで、危ういんですよ。何が言いたいかというと、ポルノであるかどうかということに固執するのではなくて、虐待そのものが行われたかどうかに対して全部(対策を)やらなきゃいけない。そうじゃないと……じゃあ次の「児童ポルノに該当するもの・しないもの」というのは出ます?

山田:これも法務委員会でやったんですが、バカバカしいですよ。いいですか。「性的虐待が実際に行われているが、顔のみを映した動画」。これは児童ポルノに該当しないということです。その下の4つもどう見ても性的虐待だと思いますが、児童ポルノ規制法の中ではポルノとしては認識されないために、取り締まれません。ひどいよね。

もっと言っちゃうと、裸のはずだったとしても胸とか局部がきれいに隠されていれば、ポルノ指定されない可能性がある。

遊佐:へえー。

「児童ポルノ」ではなく「性虐待記録物」と呼ぶべき

山田:書いてあるね。「3号ポルノに該当するビデオにモザイクをかけたもの」、これはOKだと。意味ないじゃん。これ虐待されてる子ども、何も守れないじゃん。つまり社会法益と社会秩序のためにポルノが出回らないようにしているだけなんであって、国連とかも含めてバカじゃないかと思うんですよ。

ポルノ撲滅だってごちゃごちゃ言ってるけど、こういうものを撲滅したところで性虐待はなくならないんです。だから、児童ポルノなんてわけのわからないカテゴリーに固執(するんじゃなくて)……一方ではインターポールが言ってるんだから。同じ国連機関なんですから。

インターポール、国際刑事警察機構が「児童ポルノという言葉はやめてくれ」と。「性虐待記録物」としないと、定義がゆがんでしまう。結局、社会秩序の面で「自分が嫌だから見たくない」って人たちがことさらに取り上げて、それが性虐待だとなってる。逆転だよね。僕は目的と手段が逆さになってると思いますよ。

僕は質疑のときにやりましたけど、いい加減に我が国も「児童ポルノ」という言葉は使わずに「性虐待記録物の防止・撲滅」という形に法律も内容もするべきだし、国連もそういう形の勧告をすればいい。そうすれば、児童ポルノというものに関してあまりにもこだわった、「ポルノの境目」のような刑法175条におけるポルノの議論なんてしなくて済むんですよ。

この番組でもやりましたが、あくまでもグローバルスタンダードとしては「人権を守る」というところをやるのであって、ポルノだとかエロのようなものは文化・風習によってずいぶん違うから、そういったものをいちいち国際的に議論をして「ああでもない、こうでもない」とやると(当初の目的が)ゆがみます。

ということですけども……時間になっちゃったと。

坂井:(笑)。

遊佐:あっという間ですね。

根拠がないものに関しては根拠を求めていく

山田:まだまだいっぱい言いたかったんですが。ただ、これについては外務大臣に「根拠がないものに……」これはブキッキオ発言のことですね。「根拠がないものに関しては根拠を求めていく」と。

坂井:科学的根拠があるものを報告書にすると。

山田:これは何が言いたかったかというと、「マンガとアニメとゲームを取り締まらなくてはいけない科学的根拠というのは、日本政府も法務委員会のほうでは『ない』ということで議論されていますので、国連から3月にどんな勧告をされたとしても基本的に受け入れられない」という質疑を前回の答弁で取ったと。

坂井:記録にも残ってます。

山田:私のやり方は、一昨年の法務委員会で内閣の大臣から言質を取っており、今回は岸田外務大臣から言質を取ってますので、もし仮に勧告をされたとしてもマンガ・アニメ・ゲームが傷つかないようにしておくというもので、事前に策を打ってあります。

ただ戦っていかないと、それでも青少年健全育成基本法みたいなのを作られちゃったり、あらゆる手段でとにかくマンガ・アニメ・ゲームを狙い撃ちですから。しかもその中のポルノと言われる領域ですよね。これはなんとしてでも阻止していかなくてはいけないなと思っています。

「岸田は使える」って(コメントで)書いてあるけど、はっきり言って1週間も放置しといたのは誰だと。そう思いますよ。しかも、今でもブキッキオ発言は(続いている)。「沖縄県は、家出したら売春産業しか行くところがない」だとか。おかしいと思うよ。

その発言のほうが、沖縄の人々に対する差別的な見方を国連の報告者が英語で国際的に伝えてしまっている。世界配信されてますからね。援交13パーセント事件もありましたし。そのように思っています。

坂井:ということで、最後は遊佐さんからバレンタインのお知らせを。

遊佐:「山田太郎のアグレッシブの会 欧州視察報告会 ~尊厳死・児童養護の欧州の最先端事例から~」という、アグレッシブの会の第3回目を2月14日の14時から15時半まで秋葉原にて行います。

坂井:これは、先週まではメディアフォーラムだけやろうと思ってたの。追加して……11月でしたっけ。10月でしたっけ。ヨーロッパ(オランダ・ドイツ・イギリス)に行ってきて、この話も含めて児童養護とか安楽死・尊厳死などの最先端を勉強してきたので、それを皆さんに報告する機会を作ろうかなと。

山田:2部構成になってまして、ベースは16時からの「第3回 山田太郎のメディアフォーラム」ですが、その前に児童養護・安楽死・尊厳死についての報告を皆さんにしっかりしたいと思ってます。これは14時からで、両方とも無料です。秋葉原の「TKPガーデンシティPREMIUM秋葉原 カンファレンスルーム3C」というところでやりますので、ぜひご参加ください。

坂井:ホームページのトップに載ってます。

遊佐:お願いいたします。もうひとつございます。AFEE(エンターテイメント表現の自由の会)が1月31日のコミティア115に出展させていただきます。有明・東京ビッグサイト東5・6ホールのM16aにて『AFEEマガジン第4号』を置いてお待ちしております。よろしくお願いいたします。

坂井:お願いします。

遊佐:会員総会も2月28日にございます。会員のみの総会なんですけども、18時に池袋にてやる予定です。その後は懇親会もございますので、ぜひホームページのチェックをお願いいたします。以上です。

坂井:はい。そろそろ時間になりました。

山田:そういうことで今日は終了になりますけども、メディアフォーラムでは重大発表をしたいと思ってますので。よろしくお願いします。

坂井:あとは僕の準備次第です(笑)。今日はありがとうございました。