アスパラガスを食べると尿が臭くなる
ハンク・グリーン氏:皆さんの中で、スカンクのおならの臭いを嗅いでみて、あのかぐわしい香りを自分の体液で再現したい、と思う人は恐らくいないでしょうね。しかし、人類のうち40パーセントは、実はそれができるのです。
やることは簡単です。ただアスパラガスを食べて少々待ち、外敵におしっこをひっかけてやればよいのです。
アスパラガスは、奇妙な野菜です。単子葉植物といって、子葉は1本であり、タマネギやニンニクの仲間です。花はヒトにとって有毒ですが、茎部はビタミンKやビタンミンCなどの栄養分を豊富に含んでいます。
研究者たちは1890年代から、アスパラガスがヒトの尿の臭いを悪臭に変えるのはなぜかを調べてきました。もちろん、コーヒーやニンニクなど他の食品も尿の化学的性質を変えますが、それはちゃんと原因がわかっています。食品の中には、体内で完全には消化できない強い臭気を放つ化合物を含むものがあり、それが体外に排出されるためです。この場合は、尿として排泄されるわけです。
アスパラガスは、他では見られない独特の臭気を放つ化合物を含有しています。アスパラガス酸と呼ばれるもので、消化の際にメタンチオールやジメチルスルフィドなどの硫黄化合物を生成します。硫黄はスカンクのオナラや腐った卵のような独特の異臭で有名ですね。
アスパラガスを食べても尿が臭くならない人もいる
奇妙な点は、多くの人は、アスパラガスをたくさん食べても排泄物に影響が表れず、臭いは変わりません。
研究者たちがその原因を調査し始めたところ、2通りの説明ができる可能性に気がつきました。
1つは、臭くない尿を排泄した人たちは、単に臭いのある排泄をしなかった可能性があります。つまり、臭気を発する化合物を含有する尿を生成しない人たちだったわけです。
もう1つは、化合物を生成はしますが、本人たちがその臭いを感知できなかった可能性です。
1956年、真相を解明するために、オクスフォードの2人の生物学者が実験を行ないました。115名の被験者にアスパラガスを食べてもらって、その尿を分析したのです。