電子レンジがマイクロ波でものを温める仕組み

マイケル・アランダ氏:あなたもきっと人に言われたり、アルミ包装のブリトーを温めるのに失敗して学んだ経験があるかもしれません。電子レンジに金属のものを入れてはならないのです。

しかし科学的に物事を考える人は、電子レンジそのものが金属でできていることに気がつき、不思議に思うかもしれません。電子レンジの扉の窓は特に、金属の網でカバーがされています。ホットポケット(注:アメリカの冷凍食品)のパウチはアルミニウムの線が入っていますよね。

では、どうして電子レンジと金属の組み合わせは問題がないのに、アルミ包装のものを加熱することによって、もう少しで火事が起こるような事態になってしまうのでしょうか?

電子レンジの熱は、電磁管と呼ばれる強力な真空の管がマイクロ波を発生させることにより生じます。電磁管は電波のような電磁放射性のマイクロ波を、レンジ内で回転している食品に対して送り出します。

電子レンジの小さな窓が金属の網で加工されているのは、ファラデー・ケージと呼ばれ、その網目はマイクロ波の周波数より小さくできているので、ドアを通り抜けてレンジ前のあなたの顔面を熱してしまうことがないようにできています。

レンジ内という小さな箱の中にとどまることにより、マイクロ波はガラスや紙、プラスチックを通り抜け、食品中の水分分子に吸収されるまで食品を加熱することができるのです。冷凍食品も解凍されます。

なぜ電子レンジにアルミホイルなどを入れると危ないのか

しかし、金属に関しては話が変わってきます。金属は自由に動き回れる電子でいっぱいです。それゆえ、非常によく電気が伝導されます。電子レンジが金属にどう反応するかは、金属の厚みと形によります。

例えば、電子レンジの壁は分厚く平らです。それゆえマイクロ波がぶつかったときには、金属中の電子は前後に振動しますが、マイクロ波はただ跳ね返ります。

しかし、金属物質がアルミホイルのように薄い場合は、すべての電子の動きに持ちこたえることができず、非常に早く加熱されてしまいます。気が付くころには発火してしまうのです。

それに、フォークやアルミホイルの塊など、ほとんどの金属物質にはたくさんの曲線や角があります。そのような特徴があると、マイクロ波が角やとがった部分に沿って高濃度の電界を作り出します。すると物質の周囲の空気が電離され、それにより、あのひどい、弾けるような音が出ます。

そして電界が高度に達すると、近くにある金属物質に向かって、強力な電弧を発生させます。近くにある金属物質はたいてい電子レンジの壁です。結果、電化製品のショッピングに行かなくてはならなくなってしまうというわけです。

しかし、一部のパイやスープ、ホットポケットなどの加工食品は、電磁波を受けた薄い金属が、非常に早く非常に熱くなるという特徴を生かし、包装に、外面が金属物質でないもので加工された薄い金属の層を使っています。

そうすることにより、中の金属に触れる食品に速く焼き目が付きます。しかしそのような食品も加熱をするときは気を付けなければなりません。なぜなら、長く加熱しすぎると、それも発火してしまうからです。

結果的に言えるのは、気を付ければ、特定の金属物質は電子レンジに入れることは可能であるということです。しかし、なぜそんなリスクを負う必要があるでしょうか? 台所やブリトーを台無しにしてしまうかもしれませんよ。