人は髪の毛を消化できない

マイケル・アランダ氏:あなたはお気に入りのレストランにいます。ちょうど料理が来たので、とてもワクワクしています。スプーンを持って、スープを飲もうと思ったら……髪の毛が入っていました。

ここでいくつかの選択肢があります。キッチンに下げてもらうか、髪の毛を取り除いてとにかく食べるか、髪の毛ごと飲み込んでしまうかですね。それが髪の毛 1本である限り、そんなに大した害はありません。毛の塊だったらもっと危険ですけどね。胃の中で大きな毛玉となり、病院送りになり得ます。

しかしあなたのスープには、たった1本しか入っていません。それでもバクテリアは髪の毛にくっついて胃を荒らしたり、下痢を引き起こしたりする可能性がありますが、そんなことはなかなか起こりません。

髪の毛はタンパク質がぎゅっとつまったケラチンという物質で作られています。

人間にはこのケラチンを消化する能力がありません。その代わりに少量の髪の毛なら、体を通過して消化できない他のものと一緒に排出されます。だから1本だけならそんなにひどいことにはなりません。

ただし、もしシェフが慌てて料理して皿いっぱいの切りたての髪の毛を出してきたら、シリアスに考え直したくなるかもしれません。何故なら大量の髪の毛は体内に留まってしまうからです。

ネコにとっては毛を食べるのは日常茶飯事

これはネコにとっては日常茶飯事です。ネコも毛を消化することはできません。ネコの消化システムを通過できないものは、胃の中で毛髪胃石(trichobezoar)と呼ばれる毛玉になります。

ほとんどのネコは大事に至る前に、その毛玉を吐き出すことができます。人間の場合も、大量に髪の毛を食べてしまったらそのような毛玉ができることになります。髪の毛を食べずにはいられない、食毛症(trichophagia)の人に時々起こることです。

しかしそれを吐き出す代わりに、人間の毛玉は胃の中に留まります。最悪の場合、毛玉の先端は小腸まで達し、ラプンツェル症候群と呼ばれる症状を引き起こします。

主な手術法は、医者が消化管を開いて毛玉を取り出すしかありません。だからこれらのことを考えると、スープに入った1本の髪の毛も飲まないに越したことはありません。