職場の嫌いな人と話すコツ

和田裕美氏(以下、和田):和田裕美のWADA CAFE。それでは番組に届いたメールをご紹介します。ラジオネーム「Oさん」です。

リスナー:去年12月に開催された「人をウゴカス話し方教室」に参加しました。

和田 : すいません。これ聴いている方、「動かす」という漢字をイメージされると思いますが、「ウゴカス」はカタカナで表記しております。

リスナー:「人をウゴカス話し方教室」に参加しました。大変楽しく、あっという間に時間が過ぎてしまいました。セミナーを受けてから今まで下降していた仕事への気持ちが前向きになりました。

セミナーを受けて質問がございます。

会社で嫌い、苦手な人がいます。その人のことは「ポンちゃん」(ポンコツちゃん、30代男性)とあだ名をつけています。

和田 : ポンコツちゃん……。

「ポンちゃん」なら可愛いよね。タヌキみたいで。ポンコツだったんだ(笑)。

リスナー:自分の中で「あー、かわいそうな人だな。ポンちゃんのようにしているとダメになる」と思うようにしています。

ポンちゃんは半年前に私の部署に配属になり、仕事のことを教えてもらわないとわからないはずなのに「自分はわかっている」と言ったり、そのような態度を取ったり、アドバイスを聞く耳を持ちません。

仕事で指示、アドバイスをしたいのですがうまく聞いてもらえないので、話をする気力もなくしてしまいます。

私だけでなく年上の先輩の言うことすらまともに聞きません。先輩も指導を諦めています。

このような人はどうやって動かしていけばよいでしょうか。また嫌いな人と話すコツがあればご教授いただきたくお願いします。

和田さんにセミナー中、当日直接質問したかったのですが、緊張してできなかったので、メールにて失礼いたします。

職場で言うことを聞かない人にかける言葉

和田 : Oさんありがとうございます。

ちなみに「人をウゴカス話し方教室」というのは、前「人に好かれる話し方教室」を2005年からやっていたのですが、10年も経つとコミュニケーションのあり方が人同士ってじゃっかん変わってきていて……。

時代の気配というものも変わってきているので、10年前だったらすごく頷くように言っていたのですが、最近は目で語るとか気をつかうのではなく、どうすれば本音で表現できるかとか、あとは人によってバリエーションを作るとかも大事になってきているんですよ。

それは相手と自分の関係というのは10人いたら10通りのやり方ができるので、そういう時に自分で自分をコントロールするにはどうしたら良いのか。

相手に影響されて強い人になるとか、弱い人になるではなく、自分がこれでいこうと思って自分でスイッチを押していくというのが大事ですね。

それが人に影響されるのではなくて、影響するということになるのですが、「人をウゴカス」というのは徹底的にやっていこうということで一から新しく作ったセミナーなんですよね。

本も出していないですよ。コンテンツとしては。で、去年やってみたと。それで来ていただきましたというセミナーです。1回しかやっていないわけなのですが。

感情ではなく、客観的な事実で伝える

ということで質問ですね。ポンちゃんの方なんですけれども。

指導を諦めている、アドバイスをしても聞いてくれない、ということが書かれていますが、これ会社ですよね。「会社としてこの人どうなんですか?」ということ。

指導云々とか、どうやって伝えようということをわきに置いて考えてもらいたいのですが、どうすればわかってもらえるのかなということはもちろん大切なのですが、彼どうしたいです?

この人。いてほしい? いてほしくない?

要はお給料を払っているのに、それだけのパフォーマンスを出しているのかどうかということを現実的に見てほしいんですね。

それで現実的に見て、会社のもっと上の部長さんや社長さんがどう思っているのかわからないし、大きな会社だったら紛れてわからないかもしれないし。

もしくは悪い部分もあるけれど、生産性あげていってここの部分はしっかり仕事ができるんだという他の長所があるかもしれないし、そこはもう少し話を聞かなければわからない部分もあるとは思うのですが、もし「わかっている」という態度を取った時にわかっていなければ、これはお給料をもらう仕事をやっているレベルではないんですよ。

わからなくてもいいし、できなくても良いの。

ただ、学んでできるようになろうとするのが仕事の現場だと思うんですよ。

それが自分のプライドか、「わかっている」と言ってできてなかったら、これ「給料もらわないで」ということでしょ。

ということは、この人が必要かどうかという会議なんですね。

そして必要という場合でも、すぐにやめてもらえないとかいろいろあるかもしれませんんが、そこを話していくわけです。

「こういうところでこうこうだから」と。

気持ちを動かすとか感情とかではなく、事実を伝えないとわからないです。事実を徹底的にね。

「頑張ってほしいんだけど」とかではなく、事実。

「これに関しては何月何日に伝え、〇〇さんはわかっているとおっしゃったけど、でもこの結果に対してちゃんと説明できますか?」

「もしこれできなかったら、あなたの中でわかっていると思っているかもしれないけれど我々の会社が求めるレベル段階には達してません。」

「では、仕事ってお給料をもらってやる仕事だけど、要求レベルに達していないのであれば、要は会社にとって必要かどうかという話になります。」

「ただ会社というのは入ってもらった人がそこのレベルに達するまで、サポートして教育していかなければいけない立場だと私は思っています」と。

「なのでわからないことをわからないままにしないで、あなたがわかっていると思っていたとしても、できるようになっていなければ、頭でわかっていても行動には落とせていないという判断をさせていただきますので、行動に落ちるまでしっかりやってください。よろしいですか?」という話なんです。

「今のわかりました? 理屈じゃないんですよ。これこういう事実なんで。あなたが気分悪くしようが、何しようが、これ事実なんで。」

「そしてこれあなたがクリアにならないと、あなたの出世もないし、あなたの昇給もないし、もしかしたら人が誰かをリストラしようとするときに真っ先にあなたに矛先が向くかもしれない。」

「なぜかというとわからないことをそのままにして成長しない社員というのは給料泥棒じゃないですか? 正直」と。

アドバイスを聞く耳を持たない人はいらない

本当の意味で助けてあげるのが上司であれば、言ってあげないと一番可哀想なのがここなんです。

言うことを聞かないから諦めるとか、どうしていいかわからないではなく、例えば具合が悪くなってそれで病院に行った時に(医者の)説明も聞かずに「そんな生活わかってます」と言いながらまた夜ふかししたりとかね。

お酒をガバガバ飲んでいて「酒を飲まないほうがいいのはわかってますがやめません」というのに対して、お医者さんというのは「病気を治したいんだったりとか、健康になりたいんだったら、あなたどうしますか」というところに落ちると思うんですね。

だからわかってくれる、わかってくれないではなくて「飲み続けたらこうなりますがあなたどうしたいんですか?」という事実を伝えるということと似ているのではないのかなと思います。

相手が成長してもらうというのは自分が相手からどう思われるのかということは、あんまり考えたらいけないことなんですよね。

ですから「アドバイスを聞く耳を持たない人はいらない」という事実に基づいているほうが良いと思います。

その人のことが嫌いとか好きとかいうことではなく、すべての人に平等に言えることを伝えているということですかね。

これはOさんにも言えることではないですか?

Oさんが「わかっています」と言ってできていなければ、「できるようになって」という話ではないのかなと思うんですよ。

ですから、誰がどうしたとか自分が良い悪いということではなく、こういうルール、こういう事実、こういうことのベースの元に人が成長していって一緒に仕事をしているという確固たるもの、基準たるものがあるというのが大事ですね。

そういうものが大切なんじゃないかなと私は思いますけどね。

だから勇気を持って伝える。結果的にそれが動かすということになるのではないかなと私は思います。

ぜひ頑張ってみてください。