千葉麗子がブレイクするまでの裏話

千葉麗子氏(以下、千葉):だからあれだったもん。大手の芸能事務所とか、そういうところじゃなく、ベンチャーの中で千葉麗子で一発当てなかったら食ってけないっていう小さい事務所の中で、大人たち2人とか3人がパチンコで稼ぎだしてくれたお金で、福島から通わしてくれてたから。

山田玲司氏(以下、山田):マジで!

千葉:福島から東京のここのとき。やるしかなかったから、だから好きなようにやらせてもらってたの。

山田:パチンコの上がりでやってた事務所だったの。

千葉:だから私を見つけたわけですよ。80年に。私、生まれは大阪なんだけど……。それで小学校から福島県福島市で、それから東京16歳だから高校2年生の夏に出てくるわけなんですね。

おっくん:ちょっと(大内)書いて。しゅって。

大内ライダー(以下、大内):はい。東京来たのが90年ですか?

千葉:麗子が高校2年生の2学期。

山田:91年にデビューしてるって話だよね。

千葉:そうそう、だからこの間に「アイドルになりたい」と思ってオーディション受けたりとかするわけですよ。

山田:あー、受けてたんだ。

千葉:受ける受ける。高校1年生のときも。

小さい頃からスターに憧れていた

おっくん:大体「アタシ、スターになりたい」って思ったの何歳くらいなんですか?

千葉:もう小っちゃい頃からなってる。

おっくん:最初に憧れたアイドルとか。

千葉:ブラウン管の中だと、やっぱりピンクレディーとか。

おっくん:あー! きたきた!

千葉:うん、ですよね。ピンクレディーとか。聖子ちゃんとかもしかり、タレント、アイドルを見て「いいな〜」って。私新幹線の中で会ってるもん、ピンクレディーに。

山田:そうなんだ。

千葉:4歳の時に。

おっくん:まじで。へー。

千葉:それで、そっからチャレンジしてる時に、話を戻すと、大手の芸能事務所じゃなくて、ベンチャーみたいなところに見つけてもらったんだけど、仕事はグラビアとかあったんだけど。

要はお金が、経費がかかるでしょ。新幹線とか。昔、新幹線も高かったの。東北新幹線、東京駅入っていないから上野駅ですね。上野まで。

なかったのよ! 東京駅まで乗り上げてなかったの。

山田:乗り上げ?

おっくん:乗り上げ?

千葉:えっ、東北新幹線だよ。

大内:あっ、僕もあの、栃木県出身ですけど。

千葉:じゃあ那須塩原。

大内:那須塩原です。

山田:何の話してんだよ(笑)。

千葉:ということで、稼ぐときには事務所の大人たちがパチンコやって、当時。

山田:パチンコで、儲けたお金で。すごいね。

千葉:そうです、それで当てちゃって。だから事務所は大きくなるというか。そんなに大きいところじゃないので資本がかかってないので、みんな潤って。だから好きなことができたんですよね。自分が選んで。セルフプロデュースじゃないけど。

何万人もの中からオーディションで選ばれた

おっくん:え、これは、『ジュウレンジャー』とかは「自分でやりたい」って言ったんですか?

千葉:ううん、オーディション。何万人も受けるオーディション。何万人も受けるから、そん中で戦って勝ち抜く。だから、事務所が「東映で『ジュウレンジャー』っていう番組やるから行って来い」と。

おっくん:戦隊ものがすごい好きで「私、絶対この役がやりたい!」って言ったわけではなく。

千葉:ないですね! 私すごい女の子女の子してて、ピンクレディーとか好きだったので。最初戦隊もののオーディションって聞いてたから、これは『ジュウレンジャー』のメンバーとかみんなにも言ってるんだけど、すごい名前のドラマだなと思ったの。

山田:連ドラだと思ったのね。

大内:まあ連ドラですけどね。

千葉:ごめーん。

山田:トレンディドラマだと思ったのね。

『ひとつ屋根の下』と『南くんの恋人』では悪女役

千葉:ほんとにごめーん! 普通ドラマのタイトルとしてはさ、いろいろあるじゃない。例えば私もやったんだけど『ひとつ屋根の下』とか、『南くんの恋人』とかやったんですけども。

おっくん:『ひとつ屋根の下』出てたんすか?

千葉:そう、いしだ壱成くんにひどいことする役かな、あれは。で、『南くんの恋人』では武田真治くんに悪いことする役。

おっくん:(笑)。えー! なんで悪女なの。

千葉:わかんない! 『ジュウレンジャー』でお姫様やったのにー! だから性格出んじゃないの。地が出るんじゃない? わかんないけど。それで、本人としてはお姫様なんだけど、戦う感じのものだったりとか、やっぱそういうのになっちゃうんだよね。

ていうことでした。『ひとつ屋根の下』とか『南くんの恋人』に出てました。あと雑誌のグラビアだったりとかだよね。あと写真集がブームでしたね。90年代って。予算がすごくあったんですよ、ここって。

90年代はカメラマンたちがいろいろね。篠山紀信さんから始まりアラーキー、渡辺達生さんもいて。義久さんもそうですけどいろんなカメラマンがいて、グラビアで写真集でどこ行くか。

だから、もう全部行ったよ。ギリシャ行ったでしょ。良かったよ、ギリシャ行っといて。もー今行けないよ! お金下ろせないよ!

おっくん:別にこっちで下ろして行きゃいーじゃん(笑)。

千葉:イタリアでしょ、フィレンツェでゴンドラも乗ったし、ローマの休日もしたし。もうハワイなんか何十回も飛んでるか。

おっくん:つまりバブルってことですよね。

千葉:ここ写真集バブルですよ。そこでグラビアであれしてしまったので。バブルのあれがありましたよね。でも、実際の経済的なバブルは崩壊したあとだったから。

山田:(バブルは)92から94くらいで確実にダメになったよ。

千葉:私は、もう崩壊してたんですけども、写真集がここはブームだったので。どっちかっていうと、私は演技も下手だし、役者もやりたいと思ってなかったし。

山田:演技良いよね(笑)。

千葉:歌も下手だし、だから歌手にもなりたいわけでもなく、だけどやっちゃったんだけど、全部。だからラジオ番組とかも多くなったんですよ。

山田:だから誰もこの人のことは操れないんだよ。自分でしか操れない。コントロールできない。それでやたらうまくいくわけ。

千葉麗子の同世代のアイドルは?

山田:俺『Bバージン』描き始めたのが91年なんだよ。あれってね、バブルの文化を描いているんだけど、描き始めたらバブル終わるんだよ(笑)。

だからこの人(千葉麗子)が出てきた瞬間に、(時代の)何かが終わった。宮沢りえさんがちょっと前って言ってたじゃない。

千葉:宮沢りえさんはもう(キャリアが)上ですよ。あたしより全然先輩。

山田:あそこが、もう大爆発。

おっくん:チバレイさん同期は誰なんですか?

千葉:同期マニアックな人しかいない。

山田:年齢だと牧瀬里穂、西田ひかるとか。森高千里は?

千葉:森高千里さんなんて全然先輩ですよ。

山田:同期っていうのは出てきたとき(キャリア)じゃなくて、年齢でいうと、雛形あきこもこのあたりじゃない? ちょい後くらいかな。

千葉:雛形さんは後ですね。『殿様のフェロモン』とかで。

山田:内田有紀さんはその後だよね。

千葉:内田有紀さんは、『ひとつ屋根の下』で一緒に出てるんじゃない?

山田:30代がみんな震えてる(笑)。

千葉:高橋由美子ちゃんとか同期になるのかな。ちょっと先輩に、りぼん……永作博美さん。

山田:よくヤンサン出てたよね。

モー娘。でアイドルの世界が仕切り直された

山田:この後に、いろいろ失敗した挙句モー娘。登場なわけよ。

おっくん:いろいろ失敗した?

山田:だから、旧来のやり方でアイドルが売れなくなっていくの、どんどんどんどん。

おっくん:一応書いたんですけど、ウィンクって90年代。

山田:ウィンクってザッツバブルなの。

おっくん:細川ふみえとか。

山田:細川ふみえはグラビア系のやつで。優香って意外とおもしろかったよね。変わりもんだったよ。モー娘。がほんと(90年代)後半で、一旦アイドルが上に上がりすぎたのが、下まで落ちてもう1回0からやり始めるっていうのをやったのがモー娘。なんだよ。

だから、バブルで世の中は下まで落ちたんだから、「アイドルも落ちろよ」ってなって。普通の人からテレビ東京の番組で、最初っから、オーディションから努力したみたいな、その流れがあって。あなたその頃社長になってっからね。

千葉:うん、もう辞めてるから。私は90年代の半分で、もう。アイドルは4年間しかやってないんで。

20歳でアイドル引退→OL→社長に!

大内:95年に引退すか。

千葉:うん。

山田:もうビートルズですわ。

おっくん:え! 91年にデビューして95年に引退してるんですか。

千葉:そう、4年間しかやってないの。

おっくん:まじ駆け抜けてるじゃないですか。

山田:そんで96年に『Bバージン』が終わるんだよ。すっごい被ってんだよ。

おっくん:え、すごい(早い)、すごいっすね!

千葉:だってやっぱりホラ、その旬のものにいきたいじゃない。

おっくん:ってことは17歳でデビューして。

千葉:20歳でやめました。成人だから。

山田:でも一旦OLやるよね。

千葉:やる。その後に自分の会社を設立する前に1回、千葉県松戸市で、マッキントッシュと、もっとクリエイターとして勉強したいなと思って。それで入って。

山田:WordとExcel覚えたみたいな感じ。

千葉:そう。できることは全部覚えて。

山田:そこで経営のノウハウとか勉強して、その年に会社立ち上げっから。社員15人。早いよね、やることが。

おっくん:え、それが20歳の子!?

山田:そう、代表取締役。

おっくん:20歳ですよ!

大内:じゃあ芸能界を辞めて、就職して起業するまでを全部20歳の時に。

おっくん:お前20歳のとき何してた?

大内:いや、あの一緒に……。

おっくん:やってたな(笑)。

大内:乾杯とかしてましたね。

おっくん:全裸で乾杯とかやってたな(笑)。いやあ、すごいっすね。

ドロドロせずに芸能界を辞められた

千葉:だから計算高い女だったんだよ。もうだって、自分の旬のとこがわかってるわけでしょ。女の子としてチヤホヤされるし、金になるっていうか。若さで金になるっていうのはここでしょ。どう考えても。

山田:16〜20までだと。20からは下のやつに抜かれてくっていうか。

千葉:抜かれてくっていう(感覚は)なかったけど、市場価値としてはここだなって。それでズルズルとみんなやるのは、だから、事務所がすごい投資して、だけどその子に賭けたけども失敗しちゃったっていう場合だったりとか。

「お前にいくら予算かけたと思ったんだよ」って言って、「じゃあ最後にヘアヌード出してから芸能界去れよ」みたいなのがいるような時代ですよね。

今でもあるのかもしれないけど、ドロドロしたことがないように、ここでがっと稼いで、CM1本で1000万〜2000万円だからそれでスタッフか2人だったら。

おっくん:スタッフが2人?

千葉:そうですよ、だって大手じゃないから。小さい事務所だから。私に賭けてくれた大人たちは、だから文句も言えないし。逆に言ったら万々歳で潤ったから、私はドロドロせずにパッと辞めれたっていうのはある。

おっくん:へぇ、俺もアイドルになろうかな!