マーケティングをやる上で、絶対忘れてはいけないこと

中山陽平氏:今回のテーマなんですけれど、「マーケティングをやる上で、絶対忘れてはいけないこと」をお伝えしていきたいと思います。

マーケティングに関わる方、広く言えば、セールスですとか、自社の商品を売ることに関わっている方がどうしても陥りがちな、悪いポイントがあるんですね。

これを知っているのと知らないというのでは、モノを売る時の発想の広さですとか、実際に結果につながるような施策を打てるかどうか、というところに大きく影響してきますので、ぜひこのことを頭の隅に常に置いておいていただければと思います。

では具体的に一体どういうことかというと、まず、マーケティングの様々なテクニックであったりツールを駆使して何かを売る前に、そもそもそのモノが本当にお客さんにとって魅力的なものなのか、というのを常に考えなくてはいけない、ということなんです。

どうしてもやっぱり、「売ろう、売ろう」と思っちゃうと思うんですね。うちの商品、うちのサービス、こういうものが今はある。私どもはこういうサービスをWEB上で売って行きたいんだ、と考えると、今あるモノ、商品を、いかに良く見せるか、相手に魅力を伝えるか、という方向で考えていくことになると思います。

もちろん商品が、ちゃんと市場のニーズに応えていて、価値のある、皆さんが使って幸せになる、いい気持ちになる、そういったものであればいいんですけれども、そうでないケースというのも、残念ながらやっぱりありますよね。

そういったところを常にチェックして、自分たちがやろうとしていることは、もしかしたらお客さんにとって、それほど必要とされていないものを頑張って売ろうとしているだけなんじゃないか、ということは、マーケターの根本として常に疑わなくてはいけないです。

100のものを200や300に伝えてはいけない

なんでこれを行なわなければいけないかというと、もちろんお客さんにとって不利益があるということでもあるんですけれども、やはりどこかで息切れをします。

元々の商品が、魅力が無かったり、お客さんのニーズに合っていないものであった場合、それを無理矢理売ろうとすると、絶対息切れするんですね。クリエイト側も良いものができませんし、それに売る方、作る方の、やる気、モチベーションがどんどん下がっていってしまいます。

なので、こういった状況は絶対に避けるべきで、よく言われますけれども、そもそもネットで売りたいと思うんだったら、ネットで売れるような商品設計から始めなくてはいけない。

あるいは、どういうふうな形にしたら、ちゃんと商品のいいところを伝えられるか。100のものを100伝えることに尽力すべきであって、100のものを、120、150、200に伝えることがマーケティングセールスのやるべきことではない。

100のものが50しか伝わっていないなら、100のものを相手に100伝えることは大事なんですけれども、100のものを200や300にすることが、仕事ではないと。

これは必ず、モノを売る、サービスを売る、そういう方々は常に気をつけておかなければいけない部分だと思います。

そもそも商品を考え直すところから始めるケースも多い

どうしても自分のサービスを売りたいですよね。というところから、みなさん考えますよね。「どうやったら売れるかな」というふうに。でもそれは、私が新規でコンサルティングで入る場合は、やっぱりいろんなことを伺って、ヒアリングをさせてもらって、商品というところから考え直していただくケースって多いです。

もしかしたら、商品を変えなくてもいけるかもしれないけれども、変えたほうが効率がいいっていうケースも多いです。

どうしてもネットで売り辛いものってあります。例えば、既成の概念に全然はまらないようなもの。あまりにも斬新過ぎて、誰も理解できないようなもの。そういったものって、どれだけネットで訴えても、わかってもらえないんですよね。

こういったものは、対面で売るしかないんです。ちゃんと目の前で説得して、わかりやすく伝える人間が必要です。これはネットで売るのはすごく難しいですよね。

ネットで売るためには、やっぱりみなさんの頭の中に、自分たちが使っている利用シーンですとか、幸せになっている姿を想像してもらわないといけないので、既成の概念のどこかに引っかかっていないといけない。既成概念の淵ぐらいには引っかかっていないと、やっぱり売れないですね。

そういう場合にはどうすればいいのかというと、いったん既成の概念に落として理解してもらってから、その上で既成の概念プラスアルファなんだよっていうふうに、二段階で伝える。このやり方が重要だったりします。

これは、50しか伝わっていないものを100伝える話ですね。マーケティングセールスは、商品を超えてはならないと思っています。それを超えてしまうと、お客さんにとっても、みなさんにとっても、良くないと思っていますので、ネット上で何かを売ろう、これからWebマーケティングを行なって、これからWeb活用を行なって、自分たちの行なっているサービスを、もっと売ろうと考えるときには、まず最初に、自分たちの今やっているサービスは、周りと比べて価値のあるものが提供できているのか。もしそれができていないとしたら、じゃあどういった価値をくっつければ、お客さんにとって選ばれる存在になるのか、というふうに考えてみてください。

「どういうふうに売るか」ではなく「これは売れるかな?」

これは難しいようでいて、それほど難しくはないケースが多いです。特に地場、エリアの商売でしたら、平たく言えば親切対応ですとか、すぐ行きますとか、やれることはいっぱいあります。

そういったことで差別化することはもちろんできますし、ご自身の経歴ですとか、会社の今までの経験みたいなところで、安心を買ってもらう。目に見えないもの、安心というものを感じてもらって、それを差別化要因にする。これも、お客さんにとって非常に嬉しいことです。

最終的にできるアウトプットが同じだとしても、それを頼んで、お願いするまでの不安が少ないほうが、お客さんにとっては利益があります。こういったことを考えますと、たくさん差別化要因は出てくるはずです。

なのでまずは「商品を疑う」ということを行なってみてください。マーケター、またはセールスマンとしては、「どういうふうに売るのか」ではなく、「これは売れるのかな?」というところから始めてみてください。

そうすると、行なうべき施策の視野というか、広がりが全然変わってくると思いますし、それによって得られる成果は、必ずこっちのほうが大きくなります。ぜひともご活用ください。