キノコ雲ができるのは核爆発のときだけじゃない

マイケル・アランダ氏:もしあなたが一度でもあたたかい夏の日に外に出て、「あの雲はなんの形をしているかゲーム」をして遊んでみたことがあるのなら、こんな形のものを見たことがあるかもしれない。カンガルー、あちゃーと顔を手で覆っている男性、もしかしてキノコなんかも……?

よく思い返して。最後のやつじゃないといいんだが。キノコ雲はぜひとも見たいものではない。だってこれらは通常、核爆発のような巨大な爆発によって引き起こされるものだから。

でも雲がキノコの形を取るのには理由があるんだ。大爆発によって発生した火の玉の熱い空気は、大気中の冷たく密度の濃い空気によって押される。その源は核爆発である必要はなくて、ただとても強烈であればいいんだ。核によるものでない爆発、とても激しい火山や山火事でもキノコ雲が発生することがある。

核爆発によって引き起こされたバカ高い温度や圧力は、ただその手助けをするだけだ。これはレイリー・テイラー不安定性と呼ばれている。

2つの異なる密度の層が接するとき、キノコの形は生じやすい。例えば爆発による熱風と大気中の冷たい空気。全ては爆発から始まるんだ。

蓄えられたエネルギーの突然の放出で周囲の空気が熱せられ、広がる。空気は熱せられ、太陽の中心部と同等の温度、何百万度にも昇る巨大な火の玉を作り出す。

熱い空気は上昇するが、とりわけ火の玉は上昇が速い。1メガトンの爆発(広島の原爆が50個同時に爆発するのに匹敵する威力)によってできた火の玉は1分で7キロメートルの高さまで上昇する。

キノコ雲が生まれてから消えるまで

始めは「火の玉」という言葉で想像できるように、球体から始まるが、加えられた力によって、あの象徴的なキノコの形に変わっていくんだ。キノコ雲の傘部分は実は横向きのドーナツ状に空気が回転している、つまり定期的に表と裏が入れ替わる大きな煙の輪のようなものだ。

キノコ雲の傘部分は、周囲の大気の空気抵抗によって火の玉の上部分が横に押され、少し平らになることでできる。押し出された上部分は火の玉の脇を冷やされながらつたっていき、再び高温の中心部にできた上昇気流の渦へと吸い込まれていく。だから雲自体は上昇しているにもかかわらず、傘部分は下に落ちていくように見えるんだ。

たまにキノコ雲の周りに霧がかった後光のようなものがさしていることがあるが、それはこの現象とは全く関係はない。というより、それは通常の雲と同じものでできてる。

そう、凝結した水だ。それらは爆発のあとに生じ、周囲の空気を冷やす低圧力波によって形成される。大気が十分に湿っていれば、冷やされたばかりの水蒸気は凝結し輪っか状の凝結雲、ウィルソン雲となる。

ただ、爆発がどんなに大規模であれ、キノコ雲はずっと残るわけではない。雲が上昇していくと、やがて雲と周囲の大気密度が同じである高さにたどり着く。

すると、雲は上昇せずに外向きに広がっていきやすい。やがて雲は完全に消散する。まあ、核爆発によるものであれば、もう少し長く残っていることもあるだろうが。