蛸が女性を襲う、一番有名な春画

浦上満氏(以下、浦上):次にいって、これは女性同士。ちょっと年増の女性と若い女性ですね。「笑道具」と言うんですよ。当時のこういう道具をね。笑道具を使っていたしております。

島貫泰介氏(以下、島貫):これ、のちのち出てくると思いますけど、結合部で今で言うバイブのようなものが使われてますね。

浦上:お! 出ました! これが一番有名な春画ではないかと言われていますけども、大蛸と子蛸が美人を陵辱しているような悍ましい絵なんだけども。これもやっぱり19世紀のフランスに行っても、ゴングールとか大評判。すごい絵だと。

ただ、非常に妖気的な絵だと。だって、蛸自体が西洋人にとっては魔物でしょ。それを、この美人を陵辱しているから、なんともグロテスクだと思ったんです。でも、なんとも魅力的な絵だと。

ところが、後ろに詞書きとか、あるいは書き入れと言うんですけど、字が。これを読むと、ほとんど落語の世界。艶笑落語。蛸ちゃんがなにを言っているかというと、「俺はこの機会をずっと狙って待っていたんだよ、いい女だぜ、これは竜宮城連れて行かなくちゃ」って言っているわけですね。子蛸は子蛸で、大蛸に負けないように、「俺も頑張るぞ」ってなわけで。肝心の女性がえらいかわいそうだなって思ったら大間違い。すごく喜んでいます。

会場:(笑)。

島貫:まんざらでもない。

浦上:まんざらでもない。「私も蛸だ蛸だと言われてきた」と。蛸って名器のことなんです。「本物の蛸にはかなわない」って言ってるんですよ(笑)。「なんていいんでしょう」って言ってる。だから、後ろを読むと全然、初め画だけ見た印象と違うんですね。だから、さっきも言ったけど、春画って笑い絵なんです。これ見て目を三角にして、「ん?」なんて言うほうが野暮なんです。

大成功だったShunga展

これが大英博物館、2013年、ちょうど2年前ですね。その10月3日から3カ月、大英博物館で「Shunga: sex and pleasure in Japanese art」っていうのをやりましてね。

これが大英博物館の正面玄関。行かれた方は覚えていると思いますけど、ちょっと小さいけどここに春画の大きな絵がありまして。

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