3種類のだしの違いを検証

平政明氏(以下、平):今日はせっかくミスター鰹節の二神さんが来ているので、みなさん見識として、「だしというのはこんなにあるんだ」と。

さっき言った旨味調味料、最近出てきた無添加のやつ、あと本当の鰹節。これを中身を含めて検証してみたい。 日頃、食通だなんだと偉そうに言ってる生田さん。

生田よしかつ氏(以下、生田):俺は食通じゃないよ。素人でよく知ってるやつは、通。俺はプロだから!

:あはは。かっこええね! プロだ。

生田:野菜も通じゃないんだよ。野菜のプロなんだよ。

:だから料亭なんかいろんなとこ行って、最後デザートが出てきて、「これ解説しろ」って言っても絶対言わないよね。だってプロだもん。

生田:プロだもん。

:ということでA、B、C用意しましたのでぜひ飲んでみてください。

生田:ん? うまい!

宮崎:あれ?

生田:やべえ。

(会場笑)

:もう三者三様でおいしいよね、みんな。

宮崎:味は微妙に違いますけどね。

二神:本当によくできてますよね。今は。

生田:本当によくできてるね。

:これ一応、いわゆる鰹節、本当の鰹節のみ、あとは皆さんがよく使ってる旨味調味料。

二神:化学のほうですね。

:これね化学って言っちゃだめなの。天然材料、原料? 私もFacebookで訂正しました。それと、今外国の駐在員に人気の(無添加の)天然っぽいやつ。どうですか生田さん。プロ!

宮崎:プロ!

生田:はい。おいしいです。

:どれがどんな感じ?

生田:あのね、まあ無難だよね。

:Aが無難。

生田:Bがとても生臭みが入ってる。本物。

:築地の匂いがすんな。

生田:そうそう、漁港の匂い。そしてCは酸味です。Cは酸っぱい。

:めぐちゃん

宮崎:Aはすごい味がする。

:甘みがある?

宮崎:濃い味。Bはよく……こういう味慣れてるなぁって感じ。Cが鰹の味。

生田:お、うまいこと言うね。副大臣いかがでしょうか?

:私は司会なんでコメントは……。

一同:え!?(笑)

生田:それではここにA、B、Cの部屋があります。入っていただきます。じゃあどうぞ!

(会場笑)

:一流芸能人!

本当の鰹節はどれ?

二神:これはAがいわゆる天然と書いてあるものです。

:(アルミ袋を指して)こんな感じのやつね。

二神:これはうまくできていて、原材料を見てみますと、風味原料とくくって鰹節、煮干しエキスパウダー、焼きあご、うるめいわし節、こんぶ、あとでんぷん分解物、酵母エキス、食塩・粉末醤油、発酵調味料ということなんですね。

宮崎:いっぱい入ってますね。

:あごだしの風味は出てるよね。ちょっと甘みがあって。

二神:これちょっと食べてみてくださいよ。これが中身。だしパック開けたやつですよ。

:ほう。味濃いね、これそのものがはいってんの?

二神:これが入ってるんです。

生田:水で溶かすから濃いんだよ。

二神:溶かすというかパックですよ。

生田:これ揚げ煎餅にまぶすとうまいよね。

二神:そうです。これスナック菓子の原料ですよ。だからみんな好きなんですよ。

生田:なるほどね。何とかターンみたいなやつ。

:え? いやいや(笑)。これこんな味濃いんだ。

二神:そうなんです。少ない量で出ちゃうので、「手軽でおいしいね」ってかたちで人気なんです。

:でも、かなり味濃いよね。

二神:これだけ食べるとそうですね。

:舌麻痺しちゃうね。

宮崎:なんかすごい、喉乾きそう。

二神:喉すごい渇きます。2番目がよく見るやつ。

生田:これ見たことある。

宮崎:うんうん、見たことある。

生田:これ使ってんだろう、めぐ。

宮崎:そんなことないです。使ったことないですよ。

二神:これもちょっと食べてみてください。

:うちは使ってないな。これも味濃いね。

二神:原材料、これを見ますと、まずは調味料、アミノ酸、グルタミン酸ナトリウム、食塩、糖類、砂糖、乳頭、それから風味原料と鰹節末、鰹節エキス、酵母エキス、小麦たんぱく、発酵調味料が主原料。

生田:酵母エキス好きだね。

:A飲んでからB飲むと、これはうすーい感じするよね。

二神:3番目のC、これが鰹節。原材料名が鰹の枯れ節、以上です。

宮崎:粉末も細かくてサラサラしてる。

二神:鰹節だけだと、先ほど感想にもあったように……。

:これだけ飲むとちょっとうすい、酸味だけなんです。

二神:だからちょっと足していただいて、本物って意味では一応Cに醤油と砂糖とみりんを足しただけなんですけど、これをちょっと足さないとやっぱり味が完成しない。

だしって本当はそれだけだとおいしくないというか、物足りないものなんです。

:そうだよね。

二神:こういうものを足して旨味になるものなので、溶かして終わりとか、パックだけで美おいしいというのはあり得ないんです。

生田:あ、うまい。

:入ると、ぜんぜん違うね。

二神:これで完成なんです。

:あとのフレーバーが残ってくるんだな。だしのほうで。

宮崎:なんかほっとする味がします。

生田:替え玉ひとつちょうだいって感じだね。

二神:そうですね。鰹節、醤油、砂糖、みりん、これだけですよ。

:結局、本当のやつは鰹節しか書いてない。

二神:うちが出してるつゆなんかにしても、原材料は醤油、鰹枯れ節、砂糖、みりん、これしかないんですよ。

:だから鰹節だけだよね。本当に。お買い求めになる時に、いろいろ見たらいいんですよ。

おいしいだしを作るひと手間

二神:原材料名は日本のちゃんとした製品であれば、書いてありますから。しっかり読んでいただいて。無添加とかいろいろ書いてあっても、無添加の意味をよく調べる。

生田:なるほど。

:よく皆さんが使ってるやつはグルタミン酸だよね。アミノ酸等で、食塩、砂糖、風味原料、酵母エキス、小麦たんぱく、発酵調味料で、これがいわゆる無添加って言われてるやつね。

風味材料もけっこう入ってるよね。鰹節、煮干エキスパウダー、焼きあご、うるめいわし、あとでんぷん分解質、酵母エキス、食塩、発酵調味料。

二神:酵母エキスとか、たんぱくとか、加水添加物は味が強いですから、少量でこれだけの味が出ちゃうから、みなさんスナック菓子で食べ慣れているので、これがうまいになっちゃうんだよね。

生田:テレビなんか観てるとさ、ファーストインパクト、ファーストインプレッションなんだよね。口に入れた瞬間に「おいしい!」って言わせるような作り方するんだよね。だから味の濃いものにするんだよ。

:(後から)じわーってくるやつじゃない。

生田:和食なんていうのは、よーく噛まないとおいしくない。若いやつを寿司食いにつれてくと、「よく噛め」って言うんだよ。「普段の倍噛め」と。そうすると「おいしい」って言うんだよ。

:俺は飲み込んじゃうけどね。

生田:だめだよ。

二神:最終的には消費者の方のお好みになるけど、単純に宣伝などに踊らされないで、ご自分で原材料名などを見て、いろいろ試してみて、どれを使うか決めるのがいいですよね。

生田:だしなんてめんどくさくないんだから。

二神:そうなんです。

生田:すんげえ簡単だよ。それで料理やった感もある。

二神:原材料費だってすごく安くすむ。

生田:安い、安い。昆布のだしなんて、寝る前に鍋に水はって入れといたらいい。朝になったらできてるんだから。

二神:そこへ朝、沸騰したところに鰹節いれて、醤油と砂糖とみりんをちょっと足せばいい。ものすごくおいしくなります。ひと手間だけなんです。

生田:毎日は大変ですって言うから、日曜くらいやろうよ。

二神:そうですね。まずは、そこから。

宮崎:(作って)置いておいてもいいんですか?

生田:やっぱりだしは、いたむね。

二神:だしはいたみます。いたまない方法としては冷凍庫の氷つくるやつに流し込んでおく。

生田:うち、やってる。

二神:ただし香りはとびます。香りはとった時がいいんですけど、だし感としては残りますから、まずは余っちゃったやつは捨てずに製氷機に入れて、次にそれを落とすだけでできますから。それから始めるといいと思いますね。

生田:本当にだしなんて難しくないんだよ。みんな変に難しく考えてるんだよね。粉末入れるよりひと手間多いくらい。

二神:ひと手間かかっちゃうんですけど、それだけでまったく違うもの(ができる)。こういう添加物と言われるものは、いろいろなもので作ってますのでね。その辺はさっきの鰹節を燻す問題以上の問題があると思いますし。

:そうだね

二神:これは確定はされてませんけど、本によると、子供のアトピーとか、骨がどうとか、食べ物のせいじゃないかと。それだけじゃないとは思いますけど、そんなことも言われたりしてますので、天然ものに限るのかなと思ってます。この機会にぜひやっていただきたいですね。わたしも海外に行って、和食がこれだけ世界遺産になってますからね。

外国人だけでなく、日本人にも本物の味を

生田:シンガポールで水ってどうしてる? だし取る時って、けっこう水が大事じゃん。

:硬水、軟水ね。

二神:一応、浄水器を通して。

生田:やっぱりそうゆう水は使うんだ。シンガポールの水道の水はだめなの?

二神:だめってことはないけど、浄水器を通したほうが浸透度はよくなる。またクリーンになりますから、余計おいしくなります。

:シンガポールのような、アジアの人がいっぱい集まってくるところで、採算的にはやらなきゃ良かったなあってくらい金かかるんだろうけど。本物のだしを発信してくれると我々としてもありがたいよね。

生田:でも、外国人ってやっぱりこれだと味が薄いんだろうな。

二神:今はそうなんです。私たちも最初2004年に、韓国に進出しまして、最初のころは辛いものの強い文化ですから、だめだったんですけど。

今11年経ちましたら、鰹節の味の判別を韓国人の方もできるようなってきました。11年かかりました。

ですからシンガポールでも、これからきっちりやる。でもシンガポールに行って思うのは、まず日本人もわかんなくなっちゃってるなと思います。

:日本系企業なのに、なんちゃって日本食を出してるということだよね。

二神:だから、まずは日本国内でも啓蒙活動じゃないですけど、最終的に選択するのは各々の家庭だと思うんですけど、まずは基本的な違い、そこだけはよく見てほしいなと思いますね。

:本当にシンガポールで頑張ってほしいですね。二神さんのやってるラーメン屋さんもおいしいよ。

生田:日本国内ではやってないの?

二神:ぼちぼちやってるんですが、あんまりパッとしなくて。

:違うの、言えないの。問屋だから。

生田:ああ。

:ということで、時間が参りました。今日はミスター鰹節二神先生、勉強になりましたね。カフェスタトークシーズン8、これにてお開きとしたいと思います。ありがとうございました

(会場拍手)

制作協力:VoXT