小林:今回は「新しい仕事を作る」ということで、皆さんフロントランナーとして活躍しているので、それぞれどんな仕事をしているのかを簡単にご紹介いただきたいと思います。自己紹介の順番は、川村さん、渡邊さん、佐々木さん、そして青柳さんでお願いします。

数々の広告賞を受賞

川村:よろしくお願いします、川村です。ことのいきさつはわからないのですが、面白い同期が集まってパネルで話すということで、今日はみんなの話を聞くのを楽しみに来ました。

僕はPARTYという会社をやっています。SFCからの話をしたほうが面白いかな。僕はT98入学(環境情報学部 1998年入学)で、在学中は佐藤雅彦研究室というところにいまして。今はもうなくなってしまったのですけど、そこでピタゴラスイッチという番組を作っていました。

経歴的には、博報堂に入ってCMプランナーを3年くらいやっていて、その後日本の仕事もあまり面白くないと思って、10年くらい海外のクリエイティブエージェンシーと言われているところに行って、Nikeとかリーバイスとかの広告を、ロンドンとアムステルダムとニューヨークでやっていました。その後帰ってきて、2011年、3年前にPARTYというのを東京で開いて、昨年9月からニューヨークオフィスを立ち上げて、今はそっちで活動しています。

この会社はもともと広告のバックグラウンドがあるので、クリエイティブ業務とか、コミュニケーションとかブランディングをデザインの力で手助けするということをやっています。幸い、今20人くらい東京のオフィスにいて、ニューヨークには5人くらいなんですけど、結構上手くいっています。ウリとしては、物語とテクノロジーをくっつけて、新しいクリエイティブなコミュニケーションを作り出す、ということをやっています。

色んなアジアのアワードで、インディペンデント・エージェンシー・オブザイヤー、ベストエージェンシーオブザイヤーを2年連続でいただいたり、2012年始まりたてはすごく頑張ってたくさんものを作っていたので、ワールドトップ・デジタルエージェンシーをもらったりしました。

ちゃんと「作っている人」だけを集めた実験的な会社

川村:業務内容は、テクネという番組は、僕が好きでNHKさんと2年くらいやっています。ミュージックビデオも、僕が音楽好きなので沢山やらせてもらっています。あとはクライアントさんから来ている広告コミュニケーションを作っています。

さっきお話したように、うちのウリ文句として「クリエイティブラボ」を標榜しています。利点は、電通さん博報堂さんとかの大きなところはフットワークが重かったり、実際に作っているんじゃなくて喋っているばかりの人が多いのが嫌なので、ちゃんと作っている人だけ集めて色んなことをもっと実験的に作る場所にしたい、という意味で「ラボ」にしています。

そのラボで何を実験しているかというと、ストーリーテリングとテクノロジーの融合ということをしています。ビデオを見せると長いので、内容をサクッとちょっとだけ紹介します。

例えば、トヨタさんといったクライアントがいたときに、「子ども向けに車の面白さを伝えて欲しい」といった振りがあって、それに対して広告を作って欲しいという依頼なんだけど、「広告じゃなくて、子ども向けだったらおもちゃを作りましょう」ということで、こういうiPad用のおもちゃを作っています。

これは、バックシートドライバーという企画で、GPSを使って車の後部座席で子どもが遊んでいると、乗っている車の進行にぴったり合わせてゲームの中の車が進むようにして、周囲のお店とかをポコポコ集めてポイントを稼いで、車をカスタマイズしていくことができるものです。

あとは、クライアント仕事だとGoogleとよく仕事をしていて、ニューヨークだと、Googleのクリエイティブラボとアライアンスを組んで色々と一緒に仕事をしています。これは日本用のGoogleに昨年作った企画で、色んなWebサイトを入力すると、なんでも立体迷路に変えてくれる、それをパソコンとモバイルを連携して遊べるといったものです。自分の会社のサイトでも自分のブログでも、入力するとバーンと倒れて、それを玉転がしみたいなのをスマホとつなげてスマホでコントロールできるというものです。

ミスチルなどのMVも手がける

あと、ミュージックビデオは正直あまりお金にならないのですけど、好きでやっている仕事です。これはandropというバンドのものです。彼らがメジャーデビューしてから、4つくらいお手伝いさせてもらっています。売れるとなぜか声が掛からなくなるという病気なんですけど、最近呼んでくれなくて寂しいです(笑)。

これは最初のもので実験的にやった仕事です。カメラを壁に250個並べて作ってプログラミングで制御して、光らせて光のアニメーションを作るということをやっています。こういうのがうちの仕事の良い例ですね。

フィルムのアウトプットなんですけど、テクノロジーを背景に使っていて、融合した面白いビジュアルを考えるということをやっています。映像のディレクターも僕がやっています。企画とディレクターを僕がやっていて、デバイスをパートナーの清水がやっていました。

あとは、SOURという高校時代からの友人のバンドで、ずっと相変らず手伝っていて、本当にひどい話でゼロ円とかでデザインしていて、ちょっとずつお金をもらえるようになってきているんですけど(参考:SOUR “日々の音色”SOUR "Life is Music")、こういう風にやってきています。新しい仕事を作るというテーマの上で、最近やっとお金を儲けないとやっていけないなとやっと気付いたという。

次にミスチルさん(Mr. Children)はもうちょっとお金があって、2万個くらいガムを集めて、ガムだけでコマ撮りして、ビデオを作ったりしました。

3D事業も人気に

テクネも、映像で教育番組っていうのがなくて、日曜美術館やっているプロデューサーの人から「教育番組をやって欲しい」と依頼があって作りました。アートとかファインアートとかを伝えていく番組はあるけれど、どうしてもモーショングラフィックとかミュージックビデオとか、アートフィルムを体系的に見せる番組がなかったので。

何でも良いから面白いものを紹介するのではなくて、そういうテーマを持った番組ができないでしょうかということで、企画から何からやらせてもらっています。すごい大変です。テレビ制作って。ヒーヒー言いながらやっています。幸い去年DVDブックみたいなのができて、ちょうどまた次のシリーズを作っているところです。

自社で商品開発をやっていて、もう2年ぐらい前ですけど「OMOTE 3D(表参道)写真館」というのを表参道のジャイルで2ヶ月間やっていました。お店としてやっていまして、お店に行くと自分の身体を立体スキャンして、それを3Dフィギュアにして2週間後お届け、という商品販売サービスをやっていて、これは結構上手く行っていました。。

テクノロジーで、色々なコミュニケーションがしたい

これはTOYOTAさんから「コンセプトカー開発を一緒にやってくれないか」ということがあって、このFV2というコンセプトから、筐体を作るところまでやっています。僕らは車会社ではないので、しかも20人しかいない会社だから、こういう仕事になると他の色々な会社とコラボするモデルが結構多くて、例えば今も別の仕事で、takramの渡邊さんと一緒にやっている仕事があります。

これもトヨタのエンジニアリングチームと、うちと、キャルティ・デザイン・リサーチ::っていうサンディエゴにある車のデザインをする会社と一緒に作って、全面LEDになってディスプレイの部分に、ARとかが搭載されているものです。これは東京モーターショーに行った後に、デトロイトとか順繰りに廻っています。

あと最近は、レディガガのバックも手伝わせてもらっています。これは真ん中が本人で、両側の2体人形です。全部で4体、等身大ラブドールっていうのを作っています。オリエント工業さんという世界最高峰のSEXドールメーカーがあって、そこと共同でGAGAもそっくりな人形を4体作って、来日に合わせて一緒にツアーしてもらって。

それだけだと面白くないから、中に骨伝導スピーカーが入っていて試聴機になっているんです。抱きしめると、その振動で骨伝導で初めてフルアルバムが聞けるということになっています。そのアルバムのプロモーションで作っているので、本人もすごい気に入って、1体持って帰りました。どうやって持って帰ったかはしらないですけど(一同笑)。色々プロモーションに使って、TVとかも最初は予定なかったけど一緒に出て歌ってくれました。

これも一応テクノロジーで、色々なコミュニケーションの形ですね。TVとかインターネットとか、古くはラジオとかプリント、ポスターとか色々あったけど、それを規定のモデルを複雑にして今の技術、テクノロジーとかを使えば、もっと面白いコミュニケーションとかプロモーションができているんじゃないかと、やっている会社です。長くなりましたが、よろしくお願いします。

デザインとエンジニアリングを両方やる会社

小林:では次、渡邊さんよろしくお願いします。

渡邊:始めましてタクラムの渡邊です。環境情報学部で、僕は稲蔭研でした。僕自身は、環境情報学部で学部時代にゼミの2年生のときに、ゼミの仲間と一緒に自分の会社を始めて、あまりうまくいかず、色々なことをやって今に至っております。

今、takram design engineeringという25人くらいの会社を青山の駅前に、最近オフィスを、内装を自分たちで作ったのです。デザインとエンジニアリングという2つの異なる領域のことを両方にやりたいというモチベーションでメンバーが集まっています。

色んなものを作っていて、僕も川村さんみたいに紹介したいと思います。結構幅広くやっていて、ものづくりもあれば、コンセプトを考える仕事、建築・空間の仕事、ブランディングとか、あとレクチャーや研修の仕事も最近結構多いです。僕自身、香港の大学院EMBAコースで授業を持っています。シーズンに1回くらい行って、社会人向けの授業をやっています。

国内でも、ダイヤモンド社と一緒に企業向けの研修プログラムで、クリエイティブリーダーシップということをやっています。我々のテーマはデザインと工学という、今までは異なる、違う領域と考えられていた分野の中で、いかに思考モードを分業するのではなくて、1人の人間の中で同時にこなすかとか、考え方を切り替えるか、ということでやっています。

ドコモのサービスで、MUJIと一緒にやったiOSのノートテイキングアプリです。実は、川村さんもさっきテクネを紹介していましたけれど、おんなじNHKの制作の人たちと僕らも新しいTV番組を作っています。

分子生物学者の福岡伸一さんと一緒に、子ども向けのバイオミミクリーという番組を作っています。

これは何年か前に作ったものですけど、一見何の変哲もない紙をテーブルの上に置くと、その上に映像が投影されて、動かしても(絵が)ついてくるんです。紙のある部分に触れるとテーブルの背景になっている部分に映像が切り替わる、といった本当にミニマルなインターフェイスです。

普通の紙だけど、テーブル自体を1つのインターフェイスに変えてしまうというものです。これは今、東京スカイツリーの下にソラマチというビルがあって、そこの7階に展示されていますので良かったら見に行ってください。

今日はタクラムのメンバーの神原(啓介氏)も来ています。オンザフライの開発者の1人です。このシステムを使って、シャンパンのドンペリニヨンというブランドのディナーイベントのクリエイティブディレクションをしました。このシステムを使ってお客様をおもてなしする。招待状が届いたら、招待状がそのままオンザフライのシステムとして繋がっている、というものを作っています。実は我々もトヨタのコンセプトカーを作っています。

専門性にとらわれない「振り子の思想」

渡邊:これはデトロイトショーを皮切りに、世界中色んなところに行っています。新型プリウスの内側のインターフェイスを作っています。特徴は、デザインのみにあらず、エンジニアリングのみにあらず、その複合領域を表しています。さらに言うなら、触れるもの触れないもの、ソフトとハード。ソフトの極限には、もしかしたらサービスとかブランドがあるかもしれない、ハードの極限には、もしかしたら建築空間とか都市があるかもしれない。

どこか1つに特化するのではなく、どちらかというと常に頭の思考を切り替えながら、色んな問題にアプローチしようという考え方を持ったメンバーが集まっています。今までにない類::の仕事に取り組んで行きたいというのをやっています。

振り子の思想、これは2つの考え方の間を行き来することです。新しい仕事というテーマになったときに、これまでの職業にとらわれないようなものにしたいというのがあって、振り子を振るような感じで。こんな風な感じで。

例えば我々2006年くらいに始まったのですけど、デザインだけでなくエンジニアリングもやるし、ものづくりと物語の壁も複合させていきたいし、理系と文系の壁も越えてしまいたい。そういうのを一緒にやれたらいいんじゃないか。全体と部分を一緒に俯瞰できるか。

現場の心を忘れずに経営の視点をもてるか、あらゆるAとBの間で頭を切り替える、これまで1つの専門性しか許されていなかった大きな企業の職種を越えて挑戦できないか、それを振り子の思想と考えています。

専門性をうまく結びつけるのが、新しいサービスのあり方

小林:ありがとうございます。次、佐々木さんお願いします。準備できる間に、同業ということで川村さんにコメントをお願いします。

川村:同業ですね(笑)。takramさんはすごいですね。この業界では老舗で早い段階でそういったデザインとエンジニアリングをやっていて。僕としては商売敵というか早く取り込みたいなと思ってやっている(一同笑)。takramに入りたいな、というくらいでやっています。

この辺は業界が面白くなっているところで、今までの1つの業種だけ、クリエイティブの業界で言うと、テレビだけとかそういう中で、他業種とコラボしながら新しいものを作っていくというポテンシャルが今はすごいあるので、タクラムさんとうちもそれに近いですね。うちの場合は、もうちょっとオンスクリーンだとか、ハードウェアじゃないですけどそういうところで上手く仕事を見つけられるといいな、と見ていました。

渡邉:先ほどの振り子の話でも、理系と文系というテーマがあったんですけど、PARTYの川村さんもストーリーテリングとアートとがあって、僕たちと近い感覚を持っているなと。とはいえ、これまでも、ものづくりの専門家と物語の専門家もいたし、これからもそういう人の仕事は続いていくと思うんです。

僕たちはそういう専門家の人の職種を否定したいのではなくて、そういう人と一緒に仕事がしたいですね。ただ、広い視野で複数の業界や職種を結び付けていくという職種が、そんなにまだ多くないかもしれない。それを深い専門性の視野までリッチにして上手く結び付けていくとか、編みこんでいくというのが、もしかしたら現代的な新しいビジネス、サービスのありかたかなと思います。

メディア業界は100年に一度の面白い時期

小林:先に、編集長お願いします。

佐々木:よろしくお願いします。それにしてもさっきの渡邊さんのプレゼン、かっこよすぎじゃないですか!(笑) あの後にこんなプレゼン出してアナログ丸出しじゃないですか?

小林:業種が違うとこんなに違うのか、という感じですね(一同笑)。順番的に、すみません、ごめんなさい。

佐々木:私は2002年卒の総合政策学部の出身でして、私のSFC生活を振り返ると、最初の2年はあまり面白くなかったんですけど、最後の2年は最高に面白かったなと思います。あとで話がでるかもしれないですけど、青柳さんと同じ竹中平ちゃん(竹中平蔵氏)のゼミでバシバシ鍛えられていたこの2年間は、今になってもかなりの財産になっているなと思っています。

仕事の話をしますと、今東洋経済オンラインというところの編集長をしていまして、皆さんもいっぱい読んでくださっているということでありがとうございます。これが2012年の11月にリニューアルしまして、そのあと4ヶ月くらいで他のビジネス誌が出しているサイトの中ではトップになりまして、今もずっとNO.1の地位を確立できています。

今日は、新しい仕事の話がテーマですけど、我々の現場は、さっきの渡邊さんと違ってこんな感じで、やっていることはテクノロジーとかを使って新しそうですけど、書類とかがわんさかあって、全然最先端の仕事という感じではありません。

佐々木:ただ、私はこれからメディア業界はむちゃくちゃ面白くなると思っていて、それは100年に一度の大変化が起きているからです。それを起しているのはテクノロジーで、主に3つあると思っています。

1つ目は流通の独占が完全に終わったということです。今までは新聞であれば、新聞が宅配するということで宅配網を独占していて参入することが難しかった。テレビという点でも放送網をテレビが独占していたので、流通が独占されていて新規参入が無理だった。それが、インターネットが出てきたことで誰でも流通に入っていくことができるのが大きいですね。

2つ目にメディアを立ち上げるコストが激減したといえます。今まではメディアを作るには何十人何百人という人が必要で、設備投資も数百とか数千億必要だったのですけど、今は数億円あれば、それですごい良いメンバーを集めたら世界に通用するようなメディアが作れる時代に確実になってきています。そういった結果、今までは組織で大きな集団でやるのがメディアだったのですけど、今はチーム、個人に力が移っています。良いジャーナリストとか、良いビジネスパーソンが20人集まれば本当にすごいメディアができるという時代になっています。

先ほどお話があった、takramでもPARTYでも、それぞれ20人っておっしゃっていましたよね。それくらいでも、あれだけのインパクトのある仕事ができるようになってきているのはすごい面白いところですね。その点で日本はすごく遅れているのですけど、アメリカを見ると今ニューメディアブームが起きていて、どんどん面白いメディアができているんですね。

3年で売上20倍になるメディアも

佐々木:これ例えば、BuzzFeedというメディアですけど、今までメディアはなかなか儲からないといわれていたのですが、このBuzzFeedの業績を見ていくと、2011年、3年位前は15人くらいしかいなくて売り上げも6億円しかなかった会社が、ぐんぐん伸びて、もう今年だと予測値ですけど、120億円を稼ぎ出して、人も340人雇うようなでかい会社になっているのです。ですから、Webメディアというのは、どんどん社会で大きくなっているといえます。

その中で、メディアの形が変わっていて、私4つの族と呼んでいるのですけど、今までは紙メディアが好きな人は「紙メディア族」とか、「Webメディア族」とか「ビジネス族」とか「テクノロジー族」とか、皆ばらばらになってそれぞれ働いていたのですけど、これからはこの4つの分野がどんどん融合していっています。

先ほどの渡邊さんの振り子の話じゃないですけど、この接点からどんどん新しい仕事が生まれている。その意味で、SFCも色々な業界を総合的にやっていくというのがあって、業界や分野を融合するというのがコンセプトになっているので、そういう意味で、SFCの人っていうのはこれからのメディア業界にあっているんです。これまでのオールドメディアにはあっていなかったと思うんです。

私が昔驚いたのは、福田和也ゼミの人が読売新聞に入って3日で辞めたのがあって、この話ってすごく理解できて、SFCの人とオールドメディアの人って相性が悪いんです。これからのニューメディアの人はSFCの人が合うと思うので、ぜひメディア業界に興味がある人は、私のところにOB訪問に来てください。リクルーティング活動もあります。

今後5年ぐらいで、メディア界のJリーグが開幕する

佐々木:例えば新しい仕事では、ソーシャルエディターとか。さっき出したBuuzFeedとかはページビューのうちの7割8割は、Facebookとかソーシャルから来ているんですね。それだけソーシャルが大事になっていてその専門の人がほしいですね。

あとは動画ですね。これから我々も動画のサイトを始めるのですけど、我々のような活字メディアも、動画を撮っていって映像の分野に出て行く時代になっていきます。他にもUIディレクターとかデザイナーとかコンテンツマーケターとかチーフ・リベニュー・オフィサーとか、ネットメディアの世界で新しい仕事がどんどん生まれているんです。そういった結果、私はこれから5年ぐらいでメディア界のJリーグが開幕すると言っています。

佐々木:何が言いたいかというと、サッカー界の歴史とメディア界の歴史って似ていて、::Jリーグが開幕する前、日本サッカーは日本リーグがやっていて、社員の人が、サラリーマンがプレーしていたんですね。

サッカー選手がサラリーマンである必要性って全然ないじゃないですか。けれども、Jリーグになって選手がどんどんプロ化して、チームを移ったり、世界に挑戦する人も出てきている。私はメディア人ほど、プロとして世界に挑戦していくのに向いている仕事はないと思っていました。

これまで、日本リーグ的、サラリーマン的だったメディア界がこれからどんどんプロ化していくと思いますので、めちゃくちゃ面白くなっていくと思います。ですから、繰り返しになりますけど、メディアをぜひ目指して欲しいと思います。なんか宣伝みたいになったかな。

何かが起こるんだったら、何かを捨ててでも飛び込もう

小林:ありがとうございます。最後に青柳さんの自己紹介をお願いします。

青柳:青柳です。私は2002年にSFCを卒業していますが、その前に慶應義塾志木高等学校にいっていまして、3年のときの友達が「俺SFCにいくんだ」って言っていました。それで魅力を感じまして、インターネットですごいことができるらしいということに感動して、SFCに興味を持ってオープンキャンパスに行きました。すごい遠いなと感じたんだけれど、こういう環境の方が良いかなと思って入りました。

ご紹介があった通り、川村さんと、佐々木さんとは同窓生というか同期で、ワンオブゼムの武石さんも同じ学年でした。さっき話をしていた(クックパッドの)有安伸宏さんは、大学3年のときに会いました。「大学3年生に面白いヤツがいる」と言って連絡先を教えてもらって、「じゃあ、八田(飲食店)で会いましょう」といって、八田にいったのが始まりです。

さっき話をしたのに荒木英士っていましたけど、彼とは2002年にグリーに入ってから一緒に働いていまして、特に2011年から3年くらいはアメリカの立ち上げをやっていました。3年ちょっとくらい、濃い形で一緒にやってきて、僕からすると知っている人ばかりだなと思って、恥ずかしいような嬉しいような感じでいます。

佐々木さんからもありましたけど、竹中研にいたのが大学3年生、4年生で、卒業してから金融機関(ドイツ証券)に4年ほど勤めました。それから2006年にグリーに入って最初の3年、4年くらいは、僕も社員番号20番とかで入りましたから、会社の立ち上げをして、会社を大きくするというのをやりました。

2011年からアメリカに行って「また大変な会社の立ち上げやるのか」と言いながら、好きなんでしょうね、やりまして、3年経って会社が立ち上がって、日本とアメリカ大体半々くらいで生活しています。月のうち大体半分、2週間アメリカ行って2週間日本に戻ってくるような生活をここ3年くらいやっています。

グリーという会社の紹介はする必要ないかと思ったんですが、自分が何者なのかということを改めて振り返ったときに、個人としてのミッションみたいなものを考えてみたのですけど、変わっていっているんですね。

最初のうちは大きな何かを成し遂げたいというよりも、生きて行くのに必死みたいなところがあったんですけど。卒業して12年くらい経って、自分は何をしている人なのかなというと、大きい意味で言うと、テクノロジー業界を盛り上げていきたい人なのかなと思います。

盛り上げようとして渦にいると、常にここは面白いことがあり続けるところだと確信しています。それがソーシャルネットワークだったり、モバイルのゲームだったりグローバルだったり僕の中で2、3年おきぐらいにテーマが変わっているんですけど、常にその先端にいたい。

で、何かが起こるんだったら、何かを捨ててでもそこに飛び込もうということを繰り返していて、そうしていくことが自分自身も変えるし、こういう業界をよくしていくかなって、思いを持ってイベントに参加させてもらったりして、業界の中で頑張っていく人間かなって思っています。よろしくお願いします。