クラウドワークスのここが凄い!

池谷大吾氏(以下、池谷):さあ、みなさん。大変長らくお待たせいたしました。なぜ吉田さんが一番向こうの席に座っているかわかると思うんですけれど。さすが吉田さんで、こういうイベントが公開されることをわかっていて、ちゃんと会社で仕込んでくるっていう。

吉田浩一郎氏(以下、吉田):(笑)。

池谷:よろしくお願いします。

吉田:頑張ります。いきなり「俺の」っていうところにバッテンにしてるんですけど(笑)。

金山裕樹氏(以下、金山):これずるくないですか?(笑)僕らだって「俺の会社」って思ってないですよ! これずるくないですか? 丹下さん、これ見てくださいよ!

丹下大氏(以下、丹下):僕ら、もう(評価)ガタ落ちですよね(笑)。

(会場笑)

吉田:これはでも、本当に素直な気持ちで(笑)。私10年前はドリコムの営業担当役員だったんですが、上場後に役員を降りてますので。個人としては優れていたかもしれないけど、人を率いる器ではなかったと思っています。

1回目の起業でも、役員が取引先を持って出ていったということで、やっぱりクラウドワークスに望む姿勢としては「自分の能力に限りがあるんだ」という思いを非常に持っていますので、マネジメントの方針として基本的には「他人の居場所を作るのが自分の仕事だ」と思ってます。

実際にこの右側の写真も。上場時に我々役員、私は打鐘の木槌をまだ持ったことがないです。基本的にはユーザーのみなさまに打鐘していただきました。子育て中のママであったり、シニアで退職された方であったり、そういった方に木槌を持っていただいています。

それは結構一貫してまして、クラウドワークスのビジョンで、「21世紀の新しいワークスタイルを提供する」で、その副題として「個の力を最大限活性化して社会の発展と個人の幸せに貢献する」っていうのがあるんですけど、個の力を最大限活性化するっていうのは、やっぱりインターネットの力だと思っていて。

やっぱり20世紀、インターネットがなかった時代っていうのは、国や企業によって上から情報を管理することによってマネジメントされてました。個人は情報を取りにいくこともできないし、企業が降ろしてくれないと無理だし、町でも回覧板みたいなものを待たないといけない。

そういう中で、やっぱり21世紀の終わり頃はどうなるかというと、「個人のパフォーマンスを最大化した会社が勝つんじゃないかな」と思っています。だから私は新しい経営というか、人事の革命を起こしたいみたいなことを思っていて、社長がトップでリーダーシップを率いるかたちじゃなくて。

だってRubyとかそうですよね? Rubyはオープンソースで分散型で開発されて、コミッターっていうのがゆるくいて、その人たちが承認したものが上がっていく。そういったようなサービスであり、世界であり経営をやりたいというふうに思ってます。

合計30億円の資金調達のプレッシャー

先ほどもお話あったとおり、先日、サイバーエージェント第三者割当(増資)5億、ドイツ銀行へターゲットイシュープログラム、新株予約権25億ということで、合計30億円の資金調達を行いました。

(会場拍手)

やっぱり、さっきのファイナンスのセッションでも申し上げましたが、未上場のベンチャーのときは本当にリスクマネーの獲得なんで、増資は非常に喜ばしいものだと思ってます。

基本的にはベンチャー投資以外のものはすべて相場が形成されてて、ボラティリティが利率でわかるわけですね。

そういったものがわかる中で、ベンチャー投資だけがそういったボラティリティが一切わからない。非常にリスクマネーなんで、それを投資いただけるというのはすごい喜ばしいことです。ベンチャー投資は、私は祝っていいと思っています。

ただ、上場して完全に機関投資家とか個人投資家が計算できるところに対して30億を突っ込むというのは、やはり彼らに対してリスクを生み出すという行為であり、希薄化を生むわけですから、そういった意味では非常に緊張もしていまして。

30億円やるからには、今ずーっと言ってるとおり総契約額、仕事の発注額で3兆円というのもこの前掲げましたが、当然3兆円くらいの市場というのを作っていかないといけないと思ってます……あれ? これ、全然ダメですか?

池谷:吉田さん今日ちょっとおかしくって、完全にプレッシャー感じてますよね? 昨日の夜会ったときから、いつもの吉田さんじゃないんですよ。けどこれ臨場感あるリアルな話で。やばいとは思ってないでしょうけど、さっきのセッションもそうですけど、いま本気でやばいと言ったらよくないのかもしれないですけど……。

吉田:ちょっとプレッシャーには感じています(笑)。

池谷:今までの累計調達額って、上場のときの調達を含めておいくらになったんですか?

吉田:シリーズA3億、シリーズB11億、上場時10億なんで、だいたい25億くらいです。今までのものをさらに超えるくらいの資金調達を仕掛けていってるという。

池谷:最大で55億くらいになってくるということですね。

吉田:そうですね。上場してみて思うんですけど、時価総額、今150億ですけど、ここで勝負し切っていかないと、小さくまとまってしまうリスクがあると思っていて。

本当に一刻も早く時価総額1000億とかそういったところのクラスに、何とかしていきたいと頑張っております。何かこれ、みなさんやりづらいですかね?

池谷:全然問題ないですよ(笑)。お話が終わったあとで、ちょっとポイントを。

社長抜きで『ガイアの夜明け』に出演

吉田:はい。一応事実としては、設立3年で上場してまして社員の退社は3名のみ。

私は非常に臆病で、常に気を使っているというか、「社員のモチベーション」とか「社員の人たちにどうやったら頑張って楽しく働いてもらえるだろうか」ということをずーっと考えています。結果……1回目の起業、ドリコムでああなったけれども、今回は社員の退社3名のみで上場できたと。

ここから適度に人が入れ替わっていかないといけないので、退社率というのはこれからまたマネジメントします。そういった中で15年度の新卒も入ってきてくれて、いい笑顔してくれているのを毎日見ております。

あともう1つ、これはわかりやすい「どうだ!」っていうことじゃないんですけれども、来週(2015年6月)16日に『ガイアの夜明け』で放映されることになりました。

(会場拍手)

これも、私の中ですごく1個手応えを感じてるのは、私は一切出ません。執行役員の経営企画担当田中(田中優子氏)が仕掛けた地方創生っていうことで、宮崎県日南市と彼女が出る。

上場前まではどうしても取材では私がフロントに立たないといけなかったんですけど、チーム経営を標榜する中で、私自身が出なくても『ガイアの夜明け』に取り上げてもらえるというのは、非常に手応えを感じています。

今3年間で32回テレビに出てるわけなんで、だいたい毎月何かしら、どこかでテレビに取り上げていただけるというような、PRのところも結構頑張っています。

一気にいっちゃいますね。4月1日に発表させていただきましたが、25歳の成田(修造)を副社長に抜擢ということで、若手を積極的に登用します。私自身、39歳で上場して今40歳なので、非常に危機感を感じています。男性の平均寿命が79歳で、40歳ということはもう折り返し地点についてますから。

GMOの熊谷(正寿)さんが「あと何日生きられて、あと何回昼ご飯が食べられるか」って、Excelでカウントしていらっしゃるっていうの見て、そこまでの数のカウントはできないですけれども。

でも、もう人生残り少ないという中で考えるときに何を残せるだろうというと、やはりサステナブルな、「持続的な働く場所を作る」というのが非常に重要であると思っていて。

成田にはもう「15歳下で10歳の人、次を見つける」っていう。ダライ・ラマみたいな感じですけど(笑)。「今10歳の人を次の経営陣として育てるというイメージでいてくれ」という話をずーっとしてます。

「”働く”を通して人々の笑顔を」っていうのは、最近本当に思うのはテクノロジーと金融ですべての社会は最適化されてくということで、今クラウドソーシングという個人の仕事は増えていますけど、仕事の総量はどんどん落下するように減っています。

この前Pepperの話を聞いてたら、Pepperはソフトバンクの店員として教育コストがかからないという話がありました。Pepperを中心にスタッフのミーティングをしている写真があって、本当に思うのは、それは効率性を求めるのであれば正しいわけですね。

ビジネスはそういう方向にしかいかないという中で、おそらく「あなた、Pepperよりもここができてないよ」と言われるような時代が来るという中でいくと、その先にある「”働く”を通しての人々の笑顔って何なんだろうか?」ということを日々考えておりまして。

そういう中で若手を、積極的に働ける場所を作ってるというような感覚でやっております。すいませんでした(笑)。以上となります。

池谷:まるで棒読みでしたね(笑)。

(会場拍手)

池谷:ただ、本当素晴らしいですよね。Launch Padを今日もやったわけですけど、たった3年ですよ。3年で上場って。もちろん上場って厳しい審査もあるわけで準備もしなきゃいけない中で、本当にやりきったことですらすごいと思いますし、さっきの『ガイアの夜明け』とかもすごいじゃないですか?

僕らの予想って吉田さんが半分くらい出てくるところですけど、実際にちゃんと権限委譲が行われていて、今までの反省も含めてやられてるってことで立証されていると思いますし。成田さんも、直接お話することもありますけど、本当に能力もあられて。

吉田:オチとしては、一応念のため広報が『ガイアの夜明け』チームに「社長のインタビューもちょこっと入れましょうか?」って言ったら、「いや、企画が濁るんでいらないです」って言われたと(笑)。

池谷:濁っちゃうんですね(笑)。

吉田:彼女と地方創生っていうかたちでやるということで(笑)。一応聞いてはくれてました。

池谷:ありがとうございました。

(会場拍手)