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もはや従来型マーケティングでは勝ち抜けない 果てなき消耗戦から脱する道

もはや従来型マーケティングでは勝ち抜けない 果てなき消耗戦から脱する道

従来のマーケティング手法が頭打ちとなった現代に必要な戦略は? 豊富な知識と実績を元に、トライバルメディアハウス・池田代表が贈る「熱狂ブランド戦略セミナー」。メーカーはどうすれば、終わりが見えない消耗戦から脱却できるのでしょうか(2015年11月開催のセミナー内容をもとに、最新情報を加筆修正し記事化しています)。

シリーズ
熱狂ブランド戦略セミナー ~ブランドの持続的な競争優位性は顧客の「熱狂度」にあり~ 
2015年11月19日のログ
スピーカー
株式会社トライバルメディアハウス 代表取締役社長 池田紀行 氏

商品ライフサイクルの短命化が年々進行中

池田紀行氏 次は、プロダクトライフサイクルの問題です。「商品の寿命がどんどん短くなっている」という話ですね。高度経済成長期だった1970年代は、市場に出した商品の6割が5年以上売れてくれるロングセラー商品になっていたんです。 151119_セミナー資料0014_R 商品開発は、製品を世に出して、市場投入するまでに、基礎研究や応用研究、顧客ニーズのリサーチ、プロトタイプづくり、テストマーケティング、ネーミングやデザイン開発、広告やPRの実施、チャネル営業など、膨大なコストがかかるので、発売当初は利益がそんなに出せないわけですが、売れ続けることでようやく利益が出てくるわけです。 しかしながら、今は発売した商品のほとんどは5年間も市場に残ってくれないんです。残るのは1割弱までになってしまっている。どんどん商品寿命の短命化が進行しているわけです。 今、各社が一番悩んでいることは、このプロダクトライフサイクルがどんどん短くなっているという点です。商品開発の世界で「センミツ」という言葉をよく使います。社内で新商品のアイデアが1,000個生まれたうち、実際に市場に投入できるのはたった3つしかない。 社内で出た1,000個のアイデアから3つしか商品化されない。その1,000個の中の3つが世の中に出ても、結局これだけの短い期間で店頭から消えてしまうわけですね。商品の短命化がこれだけ進行してしまっている主な理由は、POSレジの導入が進んでいるからです。

クチコミで売れる商品が出にくくなった理由

昔は「クチコミでジワジワ売れてます」っていう商品が、世の中にそれなりにあったわけですね。 今はなぜ「クチコミで売れてます」という商品がなかなか出なくなったかというと、例えばあるコンビニだと、売れなかったら2週間で棚から削ってしまうケースがあります。クチコミで売れ始める前にトライアルがうまく進まないと、そこで商品が棚から落とされちゃうわけですよね。 セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートのような主要なコンビニエンスストアの店頭にある商品のアイテム数って、みなさんイメージ湧きますか? コンビニには何種類くらいの商品が置いてあるのか。大体2,800~3,000アイテムくらいなんですね。 コンビニはフランチャイズで経営されているので、すべての商品の仕入れの権限を持っているのは各店のオーナーさんなわけですね。本部が強制的に商品を仕入れさせることはできません。 メーカーさんからすると、コンビニエンスストアの本部のバイヤーさんに会って、「こんな新商品で、こういうプロモーションをやって、こんなCMで、これくらいのGRP入れるから、どうかこの新商品を置いてください」ってことを交渉をするわけですね。 その後、コンビニエンスストアの本部は、商品の導入を決めた後に、店舗の店長に、専用端末などを使って通達を出すわけです。「来週こんな新商品が出ます。テレビCMも入りますよ。キャンペーンでこんなことをやるって言ってますよ。仕入れませんか?」って。 みなさんは、コンビニエンスストア1店舗に、1週間で何個の新商品が本部から提案されると思いますか? 3,000前後のアイテムを取り扱っているコンビニに対して、1週間で「来週こんな新商品出ますよ。仕入れませんか?」っていうのは、なんと約100アイテムなんですね。3,000種類しか置けない店舗に、毎週100アイテムの「新商品を仕入れませんか?」という提案があるわけです。 メーカーさんは、それだけ大量の新商品を開発をして、流通さんに提案をし、仕入れてもらう努力をしている。ものすごい競争率ですね。だけど、その商品が無事に仕入れてもらっても、店頭の動きが悪ければ、2週間で削られてしまう。

終わらない商品開発のジレンマ

メーカーさんの商品開発担当、マーケ担当の方々の1番のお悩みがなにかというと、新商品開発におけるコストや負担を負いながらも、新商品開発点数を、年々どんどん増やさないといけないということです。 「じゃあ、もうその競争から降りたい」とできない理由がどこにあるのか。当然ですが、マーケットシェアというのは、インストアシェアとチャネルカバレッジの総和です。「どれだけ多くの店舗に置いてもらえてるか」ということと、「店舗のなかにおける店頭のシェア」ですね。「何フェイス置いてもらえるか」ってところが、とても重要になるわけです。 僕も昔マーケティングの勉強を始めた時に、各社同じような歯磨き粉や洗剤やシャンプー、オムツいろんなものがある状況を見て、「何で1社のメーカーが同じカテゴリー内で2個も3個もブランドを作ってるんだ。1ブランドでいいじゃん」って思ったんです。 これを行う理由は、「インストアシェアを他社に取られるぐらいなら、自社でその棚の面積を取って、自社のインストアシェアを上げていく」って戦略なわけですよね。 なので、新商品の数を減らすわけにはいかないわけです。どんどん新商品を投入して、棚に置いてもらって、削られたらまた次の提案をしていかないと、マーケットシェアが下がってしまうというジレンマにあります。 「じゃあ、新商品をバンバン開発していかなきゃいけないね!」「次、何作ろうか?」「どんなお客様へ向けて開発するか?」ということで、マーケティングリサーチをやりまくるわけです。 各社数千万、数億円を当たり前のようにかけて、「未充足ニーズ」というまだ満たされていない消費者ニーズやインサイトを探索をしようと、ものすごい頑張ってやってらっしゃるわけです。

マーケッターが無理やり作り出す「隙間」

「未充足ニーズ」を発見しようと、マーケティングに取り組むみなさんはポジショニングマップを作るわけですが、戦後70年間、いろんな人たちが隙間を見つけてはそこに商品を投入してきた歴史があるんです。現代はすでにほとんど隙間がない状態ですよね。 0016 みなさんも多変量解析をやりながら、ポジショニングマップを作って、ペルソナとかクラスターとかいろんな分析をして、とにかく空き地を探そうとしてるわけです。でも、忘れてはいけないのは、ポジショニングマップというのは「消費者の頭のなかにある位置関係」なわけですよ。 マーケッターがすさまじく考え尽くした「このX軸とY軸でセグメントして、こんなクラスターが抽出できたので、ここに隙間がある」って言ってるのは、マーケッターが勝手に考えただけであって、消費者がその隙間の空白地帯を認識していなければ、それは空白でもなんでもないわけですね。 消費者の頭の中に存在するX軸Y軸で、普通に素直に考えたら、もう隙間がない状態。そこをなんとか、むりくり作って、今、勝負をしているということだと思ってます。

血の海の中で殴り合い

2006年にヘンリー・ミンツバーグという著者の『MBAが会社を滅ぼす』という本が話題になりましたが、これはMBAが悪いわけじゃなくて。マーケッターでマーケティングの勉強しようとしている人がMBAに行くと、必ず読むのはコトラー、ポーター、ドラッカーですよね。 マーケッターがみんなMBAを取って、コトラー、ポーター、ドラッカーの本を読んで、戦略のフレームワークを勉強し、会社に帰ってそのフレームで分析をしながら戦略を立てるわけです。競合他社も同じことやってるので、戦略はどんどん同質化していくわけですよ。みんな3C分析してSWOT分析して、STPやって4Pやっているわけですから、それは戦略も被りますよね。 なので、コトラー先生も「マーケティング2.0。つまりSTPと4Pは限界を迎えてる」ということをおっしゃっているわけです。市場が熾烈な血の海になってる。このなかで殴り合いをいつまで続けるのか。 メーカーさんは当然、最高の商品を作り続ける使命を持っているんですが、消費者の人たちからすると「これは画期的な機能や性能だな。競合他社じゃなくてこの商品じゃなきゃ絶対やだ」っていうような、機能や性能だけでの優位性で売れることはなかなか難しくなってきました。こういう話が1個目です。

「どっかで見たな、このキャンペーン」が蔓延

次に「最安商品」です。これはシンプルで、とにかく店頭価格を安くして販売する戦略です。 定番の棚に入って、割引がない状態で売ってもあまり売れないので、いかに小売チェーンに販促協力金を積んで店頭の棚面積やエンドを取るかということで、いろんなお金を流通さんに払ったり、値引きをしたりするわけですね。 一回98円で買ってしまった顧客は、それが体に染み付いちゃうんで、今度定価の128円で売ると「高い!」って話になっちゃうわけですよね。ブランド価値が毀損してしまう。ということで、当然、最安戦略はやりたくない。けれども棚を取ったり、短期的に売上を上げるためには致し方がない。 値下げをしたくない場合は、よくある「容量増量」っていうキャンペーンやるわけですね。値段は据え置きなんだけれども、ボリュームが増してるので、実質の値引きをやっているようなもの。あとは飲料業界でもよくある、ノベルティの商品をつけて販売する方法。 今までのこういうセールスプロモーションのやり方は、これからも一時的な売上をつくるためには有効ですが、ノベルティが良ければ売れるし、ノベルティが良くなければ売れない。ないしは値引きをしないと商品が動かない。どんどん麻薬を打ち続けることになってしまうわけですね。 懸賞の条件は景表法で決まっているわけですが。今、ソーシャルメディアの普及も手伝って、各社のキャンペーンやインセンティブが、どんどんインフレ化しちゃってるんですよね。 もう一般的なプレゼントじゃ、生活者は「うわぁ、これすげえ!」って思わなくなっちゃってるわけです。もう1千万円もらおうが、宇宙旅行に連れてってもらおうが、なにしようが既視感が満載なわけです。「どっかで見たな、このキャンペーン」っていうようなものになってきちゃった。 キャンペーンをやらないと買ってくれないお客さんはたしかに多い。なのでキャンペーンで刈り取るしかないんですが、「キャンペーンやらなくても買ってくれるお客さんをいかに増やすか」っていうことを、そろそろ真剣に考えなきゃいけないんじゃないかと強く思います。

  
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