成長企業が語り合う「俺の会社ここが凄い」

池谷大吾氏(以下、池谷):スマートエデュケーションの池谷です。最後のセッションということで「俺凄」という名前をつけていただきました。

昨日から2日間、みなさんいろいろお話聞かれてると思うんですが、結構大きい、有名なLINEさんやサイバーエージェントさんなどのメガベンチャーのお話とか、「連続して成長するの難しいよね」というお話も昨日あったり。あと今日の朝はLaunch Padですよ。

我々よりもうちょっと前のステージで、我々は吉田さんも含めてLaunch Padから出てきたわけですけど、そういうこれからスタートアップされる方たちと、そして私たちは何といっても、その中でもっともぶっちぎりで元気がいい。

連続成長とか「何言ってんだ」と。僕たちは成長し続けるわけで、逆に言うともっとも企業として今調子がいい時期で、やっぱり連続とか何もなくて「チャレンジしかない」と、そういうセッションだということです。

ですので、そのへんをお話できればなと。あと、さっきご説明あった通り、僕ら型破りな集団なので、もう飲んでます(笑)。

昨日守安(功)さんはビールを持ってきてもらって。やっぱりちょっと違うんですよ。瓶ビールです。特に頼んだわけじゃないですけど、手酌ですからね。なので扱いもちょっと違います。

そんなこと僕らは気にしていないわけですよね。人に注いでもらおうなんて全然なくて、「酔うんだったら自分で飲む」という、非常に自立したチャレンジャーであるということです。

池谷:これから大変申し訳ないんですけど自慢します(笑)。従来はみなさんから「どうやって成長するんだ?」といろいろご質問いただくケースが多いと思うんですけど、やっぱり質問しづらいと思うんですよ。

(今までとは)違います。僕たちしゃべりたいんです。「どうやったらこんだけすごいことになるんだ」という理由が絶対あるはずなので、そのへんの切り口をお話したいなと思っています。

ですので、通常のセッションみたいに長い会社の案内、そんなものはありません。今回は自慢直球でいきますんで、その中で軽く自己紹介いただければなと思っています。

素晴らしいゲストが3名お越しですので、みなさん拍手でよろしくお願いします。順番にいきたいと思いますので、SHIFTの丹下さんからよろしくお願いします。

丹下大氏(以下、丹下):みなさん、こんにちは。最後のセッションでこんな「俺凄」って……。これはシリーズ化されたいそうで、僕らがウケるかどうかでシリーズ化が決まるそうなので(Launch Pad)ReUnionに続いて、ちょっと頑張ってみたいなと思います。

ちなみにSHIFTのことをご存知の方、ちょっと手を挙げていただいていいですか?

(会場挙手)

丹下:意外に知ってらっしゃってよかったです。

池谷:もっと調子に乗っていいんですよ? 「何で知らないんだ!」とか。

丹下:知らない人はダメです! しゃべりにくいなこれ(笑)。吉田さんがまじめなんでちょっと僕はしゃべりにくいんですけど……。

池谷:ていうかこれ(スライドの右下に)コンフィデンシャルって書いてますけど(笑)。社長がコンフィデンシャルをぶちまけるんですか?

丹下:会社が大きくなるとフォーマット化するという(笑)。あれ、自慢でした今?

会社の結束力はトライアスロンで高める

丹下:じゃあさっそくいかせていただきたいです。僕らの会社は、ソフトウェアの品質保証をやっていて、結構高学歴なんですね(笑)。

東大、京大、早稲田、慶応の出身者がゴロゴロいる会社なんですけども。何がすごいかって、3枚にまとめてくるときにどう説明するかってずっと考えてたんですよ。僕らは、どうITの中で知的生産性が高いかというのずっと説明しようと思ったんですけど。

まず1個目が、僕たちトライアスロンをやっているんですけども。昨年(2014年)の11月に上場させていただきました。会社って結束力が大切じゃないですか。今200人ほどスタッフが入社してるんですけども、毎年どんどん会社が大きくなるに従って希薄化していく。

どうしても「一体感を持ってやってかないといけない」というのがあって。僕は2年前からトライアスロンをやってたんですけど、みんなが上場前に右往左往してたんですよ。

「証券会社がうるさい」とか「余日管理が結構厳しい」とか。そのときに思ったのは、余日管理とか上場企業がどうのこうのって言う前に、そもそも「俺たちの考える時間があるからダメなんだ」と役員会に言ったんですよ。

考える時間があるから「余計な余日をどうにかしないといけない」とか、「資料揃えてないといけない」とか、そういうのがよくないということで、まず忙しくしようと。

自分たちの何かのアセット、足かせを作ろうということで、「トライアスロンやれ」と言って、役員以下にトライアスロンをやらせました。11月の13日に上場させてもらったんですけど、9月30日に毎日走ってるかいうのを僕がチェックして、1人に30万円の自転車を買わせて(笑)。

池谷:会社の経費とかではないんですか?(笑)

丹下:個人で。「これ買え」って言って。

池谷:30万円って結構高いですよね。

丹下:ちょっとみんな「奥さんに説明つかない」とか言ってたんですけど。そうじゃないと。「それは会社に対するコミットメントが足りない」と言って自転車買わせて、ユニフォームも作ってトライアスロンに出ました。

野村證券さんが主幹事なんですけど、野村證券さんにはちょっと黙って(笑)。トライアスロンは年間1人死亡者出るんですよ。なので役員から1人でも死亡者が出るとちょっと上場が危ないので「これ黙って出よう」ということで黙って出ました。自慢です(笑)。

(会場拍手)

年商5億円の壁のやぶり方

丹下:2番目、ここからちょっとまじめな話に戻らせていただいて、2005年に私が1人で会社を作りました。スライドに従業員が600人って書いてあるんですけど、今は750人います。

よくある鉄板の話なんですけども、会社って自分たちで何か新しいプロダクトとかサービスを作って、ファウンダーの人が意気揚々とやってく。20人30人まではものすごいいい、もっとも高収益な会社です。

僕らも2010年からソフトウェアテストの仕事を中心にやり始めたんですけども、そのときはまだまだ小さい会社で。売上2億くらいだったと思いますけども、2億のうちの1億は利益が出てたんですよ。

あまりにも利益が出過ぎるのでこれはいかんなと思って、そこで会社を切り替えていこうと。とにかくどんどん突っ込んでいかないといけないので、自分たちの思考性を変えようということで、「とにかく人格を変えよう」というのを僕の社内の中で言いました。

それがちょうど2010年で、そこから「資金調達しないといけないな」とある人に言われて、僕は当時100パーセントの株主でした。純資産がだいたい1億円くらいの会社です。

そこからとにかく前を突っ走って走りたいということで、2010年に、『年商5億円の「壁」のやぶり方』という本があったんですね。これは非常にいい本です。特に吉田さんとか見てて思うんですけど、会社って5億の売上まで、とにかく社長が商品を売ってこないといけないんですよ。

社長が売ってくるというのは5億までできる。でもそれ以上に会社を大きくするのは、やはりチームで売っていかないといけない。いちいち僕がマネジメントして、マーケティングとか、いわゆるスタッフのオペレーションとかをやっていくのはもう無理だと。

「いちいち僕に聞くな」ということで、役員にこの「5億の本」を配って、「悩んだらこの本に聞いてくれ、いちいち僕に聞かないでくれ」と言って(笑)。本を配って、そこから20人だった会社がドーンと大きくなりました。

池谷:それは何かそういう日があるんですか? 「今日からお父さんは」みたいな……。

丹下:(笑)。ありましたね。「お父さん、男を捨てて女になります」みたいな、そういう思考の変わり目が。

池谷:全然女になってないですよ(笑)。

丹下:なってないです(笑)。そういう日がありました。

年収1300万クラスを一気に3人雇った

あとはちょっと会社の歴史になって恐縮なんですけど、2011年に20人くらいしかいなくて……30人くらいですかね? そのときにCOOとCFOとCMO、チーフマーケティングオフィサーを雇おうということで、たった20人くらいの会社に1300万くらいの年収の人を3人雇ったんですよ。

これは結構きつくて、P/Lにどヒットするので、翌月から赤字になっていくんですね。CFOとかCOOとかCMOを3人一気に雇うと。

ただこれをやらないと経営チーム作れないということでそれをやって、そこがうまく回り始めて、最初の創業メンバーには役員が1人もいないんですけど、「目指す会社というのはこうだから、君たちはこの役割ができないんで、いわゆるいち社員として頑張ってくれ」と言って、外様さんにドンと入れました。

そこから、実際に4億5000万調達させていただいて、そのときもバリュエーションが非常に高くて、20億くらいだったかな。20億くらいのバリュエーションにさせていただいて、4億5000万調達しました。このときもお金を調達するというのがすごい大変で、2012年当時に調達した金額で一番大きかったかなと思います。

資金調達後の赤字からの復活

その次に2013年、またさらに4億調達して、その直後に45億のバリュエーションで調達したんですけども一気に赤字になりまして。

そこで実際会社ってどんどん伸びていくんですけど、とにかく会社が大きくなってくるとオペレーションのミスがすごい増えてくるんですね。オペレーションミスが増えてくるので、お客様からの解約がどんどん増えてったんですよ。

昔はリピート率90パーセントだったのが、45パーセントまで下がったんですね。とにかく焼き畑農業みたいな仕事の仕方になってて、これじゃいかんということで新規営業ストップということで、営業マンに「営業するな」と言って新規営業させなかったんですね。

そうすると僕らの仕事ってエンジニアの人を、面倒くさいテストという仕事から開放してあげるというものなので、「とにかく既存のお客様に、エンジニアの人に楽になってもらおう。僕たちがテストします」と。

そうすると、その人たちが活躍してくれて会社が大きくなって、さらにその大きくなった分だけ僕らにまた仕事をくれるという、このグッドサイクルができ始めて、2014年にそのまま余日がうまくいって上場させていただいたと。

でもお陰さまで、上場時の初値上昇率が当時は1位で4.6倍。次に上場した方で4.7倍だったかな? 抜かれたんですけど、非常にいい上場をさせていただいたというのが僕の思い出です。

増資したけど1円も使っていない

丹下:ここに投資していただいた方もいらっしゃるのでしゃべりにくいんですけど、トータル8億7400万増資しました。ありがたいことにシステム開発も人材採用も、年間3億4億投資して新しいサービス作ってっていうので、結構掘ってたんですね。

ただそれにも増してありがたいことにすごく業績がよくて、その結果調達したお金も1円も使ってないというのがすごいなと思って(笑)。

もう1つがすごい大切な、ここに133億って書いてあるんですけれども、これは僕の持ってる株の時価総額です。

僕、100パーセントの株主で2010年に増資をしようと思って始めた会社で、当時は2億の売上で純資産1億で100パーセント。

上場したときは50パーセントのシェアで8億7400万調達したけども、僕のシェアが50パーセントで少なくなったけども、1円も使ってない。これたぶん、独りよがりの会社だとしたら別に100パーセントでもいいと思うんですね。なんですけど、そのときに仲間が欲しいと思ったんですよ。

よく資金調達って、これは吉田さんもたぶんおっしゃると思うんですけど、お金というよりは「どういう人と一緒にやって、お互いにバリューアップをして助けてもらって、会社を大きくしていくか」というのが、僕は(大切だと思う)。

銀行で借りるお金じゃないので、そういう方々からのお金を預かってやっていくことだというのを、すごい思っていて。

それが僕は結果として、100パーセントじゃなくていいし50パーセントなんだけども、1億だった純資産が133億になって、それはすごく僕にとってはよかったことかなというのが、ちょっとお金お金してるんですけど、僕の「SHIFTのここがすごい! ドヤッ!」という話になります。

池谷:どうですかみなさん? 拍手をお願いします。

(会場拍手)

池谷:もちろん上場企業さんなんで話しにくい場所とか、こういう場所だと結構かしこまられるんですけど、今日はぶっちゃけでいこうということで、かなりぶっちゃけていただきました。ありがとうございました。