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「フグを最初に食べた人は最高にクール!」 フードアーティストが語る、食の進化と好奇心

「フグを最初に食べた人は最高にクール!」 フードアーティストが語る、食の進化と好奇心

神出鬼没の「ゲリラレストラン」を開催するフードアーティスト・諏訪綾子さん。食とアート、そして好奇心を追求してやまない彼女が、食べ物を感情として味わう新たな「味わいかた」を提案します。

スピーカー
フードアーティスト 諏訪綾子 氏
参照動画
あじわうことは進化すること: 諏訪 綾子 at TEDxTokyo

フグ毒で死んだ人って、カッコいい

繧ケ繧ッ繝ェ繝シ繝ウ繧キ繝ァ繝・ヨ 2013-09-25 20.17.10_R 諏訪綾子(以下、諏訪) 皆さん、好奇心を抑えきれずに何かを口に入れた経験はありますか? この魚、ご存知ですか? Suwa_PNG01_R 諏訪 日本人が大好きなフグです。フグを食べるのは日本特有の食文化なんですけれども、皆さんご存知の通り、猛毒があります。この猛毒を持つ内蔵はどのように処理されるのか。まず、ステンレス製の鍵付きの容器に保管します。それから専用の場所で焼却し、それから苛性ソーダで中和し、そして最後に地下に埋めなければいけません。そこまでして日本人が味わうフグ。食べたことない人、皆さん味わってみたいと思いませんか? 昔からフグに関する逸話は沢山あるんですけれども、かつての大相撲の力士や歌舞伎役者もフグの毒で中毒死しています。私は「フグの毒で死んだ」って聞くと、不謹慎ですが、最高にクールな人だと思います。 (会場笑) 諏訪 その欲望を抑え切れず、好奇心を抑え切れず、死を覚悟して味わったと思うと、その欲求ってカッコいい、会ってみたいと思うんです。今日はその好奇心についてお話したいと思います。 私達人間がこの地球上で食べることを始めてから、一体どれくらいの人が食べ物の毒で命を落としてきたでしょうか。生きるために未知なる味わいを求めて、それ程までに手を伸ばさずにいられない食べ物って何でしょうか? どんな物でしょうか? 例えばこれはどうでしょう? Suwa_PNG16_R 諏訪 トゲみたいなものがあります。とってもグロテスクで、ヌメヌメしているようで、何か宇宙から来た謎の生命体のようにも見えます。もし貴方がお腹の空いた原始人で、海辺で初めてこれを発見したら、どうしますか? 食べたいと思いますか? まずは匂いを嗅ぐかもしれませんね。それからちょっと突いてみるかもしれません。この正体が何だか分かる方、いらっしゃいますか? これもフグと同じ日本人が大好きな食材、ナマコです。日本人はこれを、新鮮なものを生で食べます。とっても美味しいんです! (会場笑) 諏訪 最初にこのナマコを食べた人、一体どんな人だったんでしょう? きっと、感覚を研ぎすませて全神経を集中して味わったんだろうな、と思います。 世界中どこにでもグロテスクな外見だったり、強烈な匂いを発する食べ物は沢山ありますが、それらを最初に口にしてきた先人達は、よっぽど生死の危機に瀕していたか、きっと好奇心に溢れていたんだろうと思います。そしてこの好奇心があったからこそ、現代の食文化や文明の進化があったんだな、と思います。 私が住むここ東京は、世界中の様々な料理を食べることができて、世界でも有数のグルメな都市ですが、それでも東京を離れて他の国や場所に行った時に、見たことも味わったこともない食べ物に出会うことがあります。そんな時、味わってみたい食べてみたいという欲求はとてもコントロールし難く、とても強いものです。私はこうした本能的欲求の中でも高度で知的な好奇心に興味があり、「food creation」という活動をしています。

食べ物を”感情”として味わう

諏訪 これは私の作品です。食べ物です。 Suwa_PNG02_R 諏訪 皆さん、味わってみたいと思いますか? (会場笑) どんな味がすると思いますか? 想像してみましょう。まずは鼻を近づけて匂いを。それから手で触ってみます。そして口に入れて舌触り、温度、質感、それから鼻に抜ける匂い。そして最初に噛み締めた時の味、そして喉越し、後味。いかかがですか? この食べ物は「後を引く悔しさと更に怒りさえもこみ上げる」テイストです。 (会場爆笑) 数年前から、こうした”感情のテイスト”をフルコースで味わうゲリラレストランをパフォーマンスとして様々な国で開催しています。 Suwa_PNG03_R 諏訪 名前の通り、レストランがありそうもない場所に突然現れて、そして数日後には消えてなくなるレストランです。私が考える新しい食の価値を体感して頂くために、様々な国や状況下で行っています。例えばこれまでにも、ベルリンでは築100年以上の元造幣所の屋根裏部屋で。シンガポールでは、発展する街を見下ろす、工事中のビルの中で。それから、大勢の人が行き交う駅の地下道。又は美術館の展示室の中。そういった所で開店してきました。 ここで味わって頂くのは、先程のような感覚で味わう感情のテイストです。喜びや嬉しさ、驚き等のポジティブな感情もあれば、悲しさや怒り等のネガティブな感情を表現した食もあります。感情のテイストは、私が感じた感情を食べ物として表現したものです。そしてこれは、美味しさの追求ではありません。それから、例えば、食べて口に入れた瞬間に突然怒り出すといったような、食べると感情が変化する食でもありません。”食べ物”を”感情”として味わうのです。 Suwa_PNG04_R 諏訪 私達が毎日のように食べる朝ご飯、ランチ、ディナー。こういった栄養源やエネルギー源、美食やグルメといった食ではなく、感情として食べ物を味わうことで、誰もが持つ食の既成概念から意識や感覚を解放する、スイッチの役割をします。 例えばこれは「幸せ」のテイスト、「後から押し寄せる切なさ」のテイスト。 Suwa_PNG05_R 諏訪 「驚きの効いた、隠し切れない嬉しさ」のテイスト。 Suwa_PNG06_R 諏訪 皆さん、是非想像して味わってみて下さい。 これは「後ろめたさ」のテイスト。 Suwa_PNG07_R 諏訪 これは「恐ろしさと不安がゆっくりと混じり合う」テイスト。 Suwa_PNG08_R 諏訪 「失意」のテイスト。 Suwa_PNG09_R 諏訪 「恥ずかしさと喜びが、ゆっくりと快感に変わる」テイスト。 Suwa_PNG10_R 諏訪 「痛快さ」のテイスト。 Suwa_PNG11_R 諏訪 ゲリラレストランでは、全ての感覚を総動員して味わって頂くために、フォークやナイフは使わず、ダイレクトに手で味わって頂きます。 Suwa_PNG12_R 諏訪 また、感覚を研ぎすませて味わって頂くために、目を閉じて味わうことをお薦めしています。 味わうというのは人間だけの特権ですが、お金を出せば安心して美味しい物が食べられる現代の都市生活に於いて、私達はどれだけかつての人間のように全感覚を研ぎすませ、真剣に味わうことに向き合う機会があるでしょうか? このゲリラレストランでは美味しい、不味い、甘い、酸っぱい、美容に効く、空腹が満たされるといったグルメや、栄養源としての食を、食の判断基準からいったん解き放たれて、五感やそれ以上の感覚を総動員して味わうことで、私達の中に眠っていた欲望や好奇心を呼び起こしたいと思っています。 Suwa_PNG17_R 諏訪 食べることは生きること。味わうことは進化すること。かつて先人達が好奇心から新たなテイストを発見し進化してきたように、現代の私達は眠っている好奇心、本能的な欲望をもっともっと活かすことで、潜在的な能力を発揮し、更なる進化ができるのではと思っています。

「怒りのテイスト」そのお味は?

諏訪 今日は皆さんに感情のテイストを一つお持ちしました。どなたか味わってみたい方、いらっしゃいますか? じゃ、そちらの黒いジャケットの方、どうぞこちらにお上がり下さい。 これは感情のテイストの一つ、「一瞬で沸き起こる怒り」のテイストです。 (会場大爆笑、大拍手) Suwa_PNG13_R 諏訪 それでは私が「はい」と言いましたら、口を開けて下さい。味わう準備はいいですか? 黒いジャケットの観客 はい! 諏訪 それでは一瞬で沸き起こる、怒りのテイストです。はい。 Suwa_PNG14_R (観客が一瞬吹き出しそうになり、会場爆笑) Suwa_PNG15_R (困惑しつつも味わう観客) 諏訪 ありがとうございました! (会場大爆笑) (ステージを降りる観客に大きな拍手) 先程、手を挙げて頂いた皆さんのような好奇心溢れる人こそが、新しい価値を発見し、進化し続けることができると、私は信じています。皆さん、いつの日か、皆さんの手元にゲリラレストランの招待状が届いたら、好奇心の赴くまま、是非、ご来店下さい。皆様のお越しをお待ちしております。 (会場大拍手)

  
※ログミーでは、TED Talksおよび各TEDxの定めるCCライセンスを遵守し、自社で作成したオリジナルの書き起こし・翻訳テキストを非営利目的のページにて掲載しています。
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