今日のゲストは香山リカ氏

朝岡晶子氏(以下、朝岡):皆さん、こんばんは。「とことん共産党」の時間です。今晩もどうぞよろしくお願いします。

小池晃氏(以下、小池):こんばんは。

朝岡:MCは、日本共産党副委員長の小池晃さんです。

小池:よろしくお願いします。

朝岡:そして今日のゲストですけれども。

小池:待ってました!

朝岡:皆さんご存知かと思いますが、精神科医で立教大学教授の香山リカさんにおいでいただきました。よろしくお願いします。

香山リカ氏(以下、香山):よろしくお願いします。

香山氏の経歴

朝岡:皆さんよくご存知かと思いますが、簡単にご紹介させていただきたいと思います。

香山さんは北海道生まれということで、よくいろいろな文章にも書いていらっしゃいますけれども。そして、1960年生まれということで、なんと小池さんと全くの同じ年。

小池:同い年。

朝岡:お二人ともお医者さんと。

香山:あ、そうですか。

小池:元医者ですね。

香山:現、です(笑)。

朝岡:精神科医、ご専門は精神病理学ということで。先ほど、立教大学の先生と申し上げましたけれど、立教大学現代心理学部映像身体学科の教授ということです。

香山:立教というと池袋のイメージが強いと思うんですけど、私は新座キャンパスといって、埼玉。

朝岡:なるほど。

テレビとかラジオとか雑誌とか新聞とか、いろいろなメディアでご執筆されたり。ラジオ番組もNHKラジオで持ってらして。今日の番組に香山さんが来てくださるって知った方から「ラジオいつも聞いてます!」というTwitterなどが流れていました。

いろんな媒体でご活躍の香山さんです。今日「とことん共産党」初めてということで、楽しみにしています。ありがとうございます。

香山:よろしくお願いします。

小池:この間お会いした時に、「共産党もネットなんかでもっと配信したほうがいいんじゃないですか?」ってご意見をいただいて、「やっているんです」ってお答えして。「出ていただけますか?」って言ったら、「いいですよ!」と快諾いただいて。本当にありがとうございます。

香山:何も遠慮しないことに決めているんで! どこにでも行きます!

小池:ズバズバと。

沖縄・辺野古の問題について

朝岡:ということで、まず最初に今日のテーマのご紹介をしたいと思います。じゃん!

今日のテーマは、「香山リカのアベ政治徹底分析」ということでお送りしたいと思います。

今日はすごく久しぶりになりますが、最後に赤旗ナイトのコーナーもあります。ママの会の活動を取材された記者の皆さんが来てお話をしてくださいますので、最後までどうぞお楽しみにご覧ください。

小池:テーマ入る前に、こんなことがありましたので。(注:新聞号外見出し「辺野古 本体着工」)

これを、怒りを持って皆さんに報告したいと思うんですが。

沖縄、名護市の辺野古で、新基地建設の本体着工ということで、強行しました。本当にひどいと、私は思うんですね。

結局これ、沖縄の翁長知事は、前知事の埋立承認を無効として取消ということをやったわけですけど、当然だと思うんですよ。やっぱり、沖縄民意はこの間の選挙で、「あれは信じちゃダメだ」と完璧に決着がついているんだから、それに答えたんで当然だと思うんです。

沖縄の防衛局が、国土交通大臣に不服審査請求をして、そしてそれを認めるという......。猿も呆れる猿芝居という。

朝岡:そうですね。

小池:実は、本体工事前には、「県と事前協議する」っていうふうに2013年に政府は約束しているんですね。ところが今回本体着工したわけですよ。とうことは、この約束違反でもあると。

それから今回知事の権限を奪って代執行というかたちでやった。2013年に安倍政権は「代執行はしません」と言っていた。

もう、どれだけ嘘つきゃいいんだ!

低劣なやり方に断固NO

香山:今日のニュース見てたら、抵抗している人たちをかなり排除っていう感じでね、暴力的に避けたって話も聞いて。

朝岡:これ、文子おばあじゃないですか? そうじゃないですか? 辺野古でいつも座り込みするおばあ。ひどいなぁ……。

小池:とにかくやり方が汚いっていうか卑劣っていうか。辺野古の三区。あそこの地域の辺野古から久志、豊原。この三区に、名護市を通さずに直接国が金を入れるというね。

香山:お金っていうのがね……。この間、ユネスコの記憶遺産の件でも、中国の南京大虐殺が記憶遺産になったということで、あれに対してもすぐにお金を引き上げるという。

小池:低劣。下品。

香山:抗議するとかいうのは、いろいろあっていいと思うんですけど、それへの抵抗の示し方が、お金を引き上げるということでそれを見せつけるというのはちょっと。

小池:汚いですよね。

僕は先週3日間沖縄に行っていて、名護の稲嶺進市長にお会いして。市長は、もちろん怒っているんだけど、金を直接市長の頭越しに、言ってみれば町内会みたいなところに配るというのは、本当に怒っていた。

朝岡:そうですよね。住民の皆さんが、これまでだってなかなか分かれてしまって大変だったのに、さらにそれを分断するようなやり方ですよね。

小池:「県民は埋立賛成派が多いと聞きましたが」というコメントあるけどね、アホじゃないか!

だって、県知事選挙で10万票の差がついたんですよ。4つ小選挙区の選挙全てで、新基地建設反対で勝ったんですよ。それで、「県民は埋立賛成してますよ」って、バカなこと言うなと思いますけど。

アホは失礼だな。失礼しました。バカと言います(笑)。

条件反射でコメントしないでほしい

朝岡:今日は、ニコニコ動画の公式とYoutubeでご覧いただいておりますので、是非いろいろなコメントや質問を寄せていただきたいんですけれども。

香山:先入観で「沖縄」と言ってしまえば、今言ったように「賛成している」とか、辺野古というと「お金をみんなもらっているんだ」とか。普天間も、「地主がみんなお金をもらってる」とかって。

条件反射のように、この単語を言うとこの答えみたいにおっしゃる方いるんだけど、もうちょっと自分で考えたり、一次資料を見た上で言ってほしいと思うんですよね。

ネットだから、みんなすぐ書き込まないといけないんじゃないかという。その気持ちもわかるんだけど。コメントはすぐ書き込みたいからね。

小池:書き込まなくてもいいんだよ! じっと見ててもいいんだから!

朝岡:そうですね。

香山:ゆっくり考えましょう!

小池:ゆっくり考えて書き込んでくださいね!

そういう話で、これはこれから大問題になっていくと思うし、安倍政権の傲慢さが出ている。

香山:「わかるけどお互い様だよ」だって。こっちも、すぐ喋ってるからってことか。じゃあ、みんなも番組をやればいいんだよ。自分で。それがネットの良さだからね。

小池:そうですね。

一個人としてデモに参加して

朝岡:特集のほうに入っていきたいと思います。

この夏の大きな全国的な運動になった戦争法案反対の運動ですけれども。香山さんもまさに先頭に立って中心にいらしたということで。

香山:私、中心じゃなかったんですよ! 辺境だったわけ。それがよかったと思っていて。今回は気付いてみたら、私は何かのリーダーだったわけじゃないし、中心の呼びかけとか、記者会見で前にいるような役割はなかったんです。

だから、一個人として、一大学の有志としてというか。時には個人としていろんな野音に行ったりしたんですよね。

それは私にとって、こんなこと言うと偉そうだけど、呼ばれてもいないのに行くっていうね。当たり前のことで、ごめんなさいね。偉そうなんだけど。それを、ここまでやったっていうのは、この年になるとなかなかないことだったんですよね。

小池:しょっちゅう香山さん来てた。目撃情報が。

香山:なんかねぇ!

小池:今、デモロスになっちゃってるっていう。

香山:そんなことないですけど。

朝岡:私も時々お見かけしましたけれども、学生さんと一緒だったり、香山さん自身がプラカード持ってたりとか、本当にあのなかで一緒に声をあげていらっしゃったのをよく。

「なぜにデモに参加するのか?」

香山:途中から「何のために自分は行っているのかな」とか、個人の問題としても考えたりしたんですよ。もしかしたら、デモロスって話が出たけど、楽しいから行っているかもしれないって途中で思ったんですよね。

知り合いもいて、出会いの場だから。「あ、いたんだ!」みたいな。何年か振りの友だちとかに会うじゃないですか。

あるいは、学生さんと仲良くなったりして、「邪な目的で私行っているのかな」とか、出会いの場みたいなね。そんな感じもしたの。

でも、それはそれでいいかもって思って。自分のために行ってるっていうね。「安保を止めたい」とか、「若者を応援したい」とかっていう偉そうな理由じゃなくても、私が行きたいから行ってるっていう理由でもいいんじゃないかって途中から思うようになって。

小池:それって大事なんじゃないんですか。そういう運動が今回の(新しいところで)。今までにはそういうのなかった。今回のがこれだけ広がったのは、そういう人たちが心から行きたいなと思って。「行け」って言われて行ったんじゃなくて、行かずにはいられないというか。

香山:行かずにはいられない動機が、本当の純粋な「安保に反対」だけじゃなくても、私みたいに「人に会いたい」とかね。

小池:いいんじゃない?

香山:友だちに会いたいとか。待ち合わせの場所にしたいとか。そういう人もいたと思うんですよ。途中から私も、それを分ける必要もないなって。だからって100パーセント安保のこと考えてないわけじゃないからね。

あんまりそこで悩むのやめようって思って、行ける時には行こうと思って。

自分たちで変えられることへの確かな実感

小池:でも、そう言いながら集会なんかでは、すごいアピールされてましたよ。

朝岡:今のあたりの香山さんのお気持ちも語られている集会でのスピーチのムービーがありますのでご覧いただきたいと思います。どうぞ。

(動画開始)

香山:夏以来、私が今勤めております立教大学の有志の教職員、そして学生さんたちと一緒に、何度も国会前に足を運び、そしてこの戦争法案への反対の声をあげてきました。

(拍手)

ありがとうございます。私も今まで、いろいろなかたちで「憲法を守ろう」「命を守ろう」という発言をしてきたんですけれども、それはどちらかというと、本を通して、あるいは講演会で。時には、テレビやラジオで一人で発言をするということがほとんどでした。

でも、この夏、私は本当に自分のなかで何かが変わったと思います。それは、戦争法案は残念ながら成立してしまいましたが、こんなにたくさん同じ思いの人たちがいるんだ、そして、みんなで力を合わせ声をあげれば、何かが動き出すんだということを、はっきりとこの手でこの目で実感することができたからです。

この戦い、これからもまだまだ続きます。とにかくこの動きが途絶えないように、これからも一緒に頑張っていきたいなと思っています。でも、ここまできたら、もう絶対に私は大丈夫、何かを変えることができると強く確信しています。

「この確信が、やっぱり真実だった、正しかったね」というその日が来ましたら、是非またここで、皆さんとこうやって集まって、「やった! よかった!」と勝利の集会をまた是非ご一緒したいと思っています。それまで一緒に頑張っていきましょう。ありがとうございました。

(動画終了)

現場を支えた救護班の存在

香山:一言、言いたいのは、今回もちろん学者の会とかSEALDsの人たちが中心に頑張ったんですけど、実は縁の下の力持ちみたいに、いろんな人ががんばって。

救護の方たちがいたんですよね、いつも。バンを持ってきて。あの人たちは自主的にネットワークを作っている医師や看護師やいろいろな人たちですね。

時々見回りをして、「具合が悪い人いませんか?」って言って、脱水症状になった人に水をあげたり。全然、医療機器はないので。その人たちがいたからこそ、ステージではSEALDsとか学者たちがスピーチできたんだなとすごく思って。

最後のほうになってから、彼らと話すようになったんです。「すごい偉いですね、立派ですね、私も手伝えばよかった」と言ったら、一人のドクターが、「僕は感謝しているんです」って言うんです。

「どうして?」って言ったら、「医師も普段は自分の科の先生としか付き合いがないけど、ここで世代も違って科も違う先生たちと会えたし、自分もちょっと行き詰っていたけど、ここでいろんな人に会えて、すごく解放された」って言ってて。

「だから、SEALDsとかデモやっている方に感謝しているんです」って言ってて、「なんてすごく立派なんだろう!」と思って。

「皆さんにこそ光が当たるべきですよ」って、その時は言ってしまったんですけど、彼らは「いやいやとんでもない」と。「みんなすごいですよ」と言ってて。

こういう人たちに支えられてデモがあったんだなってすごく思いましたね。

小池:僕が昔働いていた病院の仲間なんかもやっていたけど、みんな生き生きやってましたよね。

香山:最初は「行ってあげようかな」とか、そういうふうな気持ちで行っても、必ず自分が得るものがあったとか、考えが変わったとか、いいことをもらって帰るっていう。

私はいつもそう言いながら、「今日何しに行ってたんだっけ?」って思って。「あ、安保のデモだ!」とか思い、「もう、採決されちゃうんだ」って思って。

これはひどいことなのに、ひどいことのなかにこれだけ良いことがあっていいのかみたいな、いつも心が引き裂かれて。

でも、「このデモがなかったほうが本当はよかったな」とかすごく思ったんですよね、やっぱり。だって、元々こんな法案なかったんだから。でもあってよかったとか。自分でもすごい複雑だったんですよ。