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記者が取材依頼をしたくなる広報の特徴は? 日経ビジネス編集部長が教えるデキる担当者の仕事

記者が取材依頼をしたくなる広報の特徴は? 日経ビジネス編集部長が教えるデキる担当者の仕事

広報担当者向けのメディアを展開するPR Tableが「日経ビジネス」編集部長の西頭恒明氏を招いて、「経済誌の『視点』と広報パーソンに求めること」と題したイベントを開催。専門誌の編集者・記者の立場から、企業の広報担当者に求めるものや、効果的な記者とのつきあい方などについて語られました。このパートは、取材依頼をしたくなる広報担当者の特徴として、社内に協力者が多い、記者と同じ方向を向いて仕事ができる、「2.5人称の視点」を持っているなどが挙げられています。

シリーズ
PR Table > 経済誌の「視点」と広報パーソンに求めること
2015年10月29日のログ
スピーカー
日経ビジネス 編集部長 西頭恒明 氏
PR Table 大堀航 氏

広報パーソンの真価は社内協力者にあり

西頭恒明氏(以下、西頭) 次に「社内協力者を多く持とう」というのは、広報の方の仕事って、どうしても対外的な仕事なので、社外の人とどれだけ会って、記者と何人知り合いなのかっていうことが大事だと思うんですけど。それと同じくらい社内協力者、記者から「こういう取材がしたいんだけど」って聞かれたときに、「それなら適任のこういう人物がいます」っていうのを即座に答えられて、しかも調整できる。その人に取材をセッティングできるっていうのが、やっぱり能力としてすごく大事だと思います。 これから先、皆さんの会社はどんどん大きくなっていく。どんどん大きくなって組織が大きくなっていくと、だんだん現場の人たちって、取材対応に対して非協力的になるんですね。 上場企業なんてそうなんですけど、広報に取材を頼むと、現場は忙しいからそんなもん断っておいてくれっていうのが、多くの会社では一般的です。取材の依頼が来てるから、喜んで受けるよっていうほうが稀なんですね。広報としてはその取材を受けたいんだけども、なかなかトップや現場が受けてくれないっていうことが起こってしまう。 でも、日頃から社内協力者を得ている広報担当者の方って、大企業でも結構難しい、時間がないなりに、そういうアポイントメント入れてくれる、っていうか、入るんですね。 それは普段から社内のいろんな人と話をしてて、「そんなことやってんだったら、今度記者さんに説明しとくね」とか、「対外的に発表したほうが良いんじゃないかな」みたいなことで関係を持っていれば、「突然取材が入ったから時間とってください」って求められても、社内の人たちも応じてくれると思うんですね。 だから今の段階から社内のいろんな人たちとの関係を持って、うちの会社にはこんな人がいるんだ、こんなことやってるんだと知っておくことが、皆さんが外に発信する上でもすごく役に立つ。 会社とか経営者の指示とか、直属の上司とか役員の指示じゃなくて、ご自身から、「うちの会社はこんなことやってるのがおもしろいから、もっと外に発表したらどうでしょうか」とか、「こういう人ってもっと外に紹介したらおもしろいんじゃないでしょうか」って言うこともできると思うんですね。 自分から広報活動について提案するうえでの参考にもなりますし、外から依頼を受けたときに、その取材が実現するっていう可能性も高まりますし。社内の協力者を持つっていうことにも、日頃から目配りするといいんじゃないのかなと思います。 今日女性が多いんでこういうこと言っちゃなんなんですけど、結構大企業で、女性広報の人のほうがそういうの上手いんですね。社内の協力者を得ている。 重厚長大系の会社なんか特にそうなんですけど、広報部長に頼んだら偉いからアポイントメント入るかっていうとそうじゃなくて、広報部長でも課長でもない女性の広報担当者のほうが、役員の人に気に入られてるとか、そこら辺の人と普段から親しくしてるから、そっちに頼んだほうがアポが入りやすいとか。 極端な話、社長の時間を押えてもらうのに、広報部長にいくよりも、いち広報担当の女性を通したほうが、手っ取り早いということがあります。これも場合によっては良し悪しがあるのかもしれないですけれども(笑)。肩書で頼むよりも、そういう社内に協力者持ってる人のほうが話が進みやすいっていのは、現実的にありますね。

記者が親しくなりたい広報

というのが、広報の仕事っていうところで、取材したくなる提案とか、取材が入りやすくなる。あそこのあの人に頼めば、結構時間ない中でもアポイントメントを入れてくれる、あるいは、そういう人ってダメなときのレスポンスも早いんですよ。直接コンタクトできるので、「すいません今回は無理でした」と言ってくれる。 でもそうじゃなくて、まずその部署にお伺い立てて、その部署から今度は本人にってやってると、それだけで1週間経って。本当は今週中に何とか取材できないかってお願いしてるのが、結局返事ももらえないままってなってしまう。 ちょっと余談なんですけど、取材入れません、受けられません、そういう断りのときもレスが速いっていうのは、断られても良い印象を受けますね。その場で「できません」は違いますけどね(笑)。その場で「できません」は、「もうこの人受けてくれるつもりないんだな」ってなってしまいますから。 「調整してみます」って言ってくれて、「調整しようとしてみたんですけど、こうこうこういう理由で無理でした」とか「来週海外出張を控えてるので、今週どうしても時間がとれません」とか。「その事業の話については、ちょっと大きな変更点を検討してる最中で、2ヶ月後まで話せません」とか。そういうところまで、断る理由まである程度明確に言ってくれるんですね。 断られる側も、「それだったら3ヶ月後にまたお願いします」ってかたちにできますね。そういう広報の方と親しくしたいなっていうような話です。

取材時の作法。記者と広報がやるべきこと

レジュメの4つ目、「記者にも広報にも共通すること」ですが、記者と広報の方っていうのは、同じ方向を向いてはいると思うんですね。同じ方向は向いているけれども、見てるところの関心は必ずしも一致しない。だけど、向いてる方向はお互い同じ方向を向いてると思うんです。 逆に言うと、向かい合う関係ではないと思うんですね。向かい合う関係って、その2人だけで完結してしまうけれども、広報にとっても我々記者にとっても、向いてるところっていうのは、それが最終的に伝わる人たちであると。 それが大前提として話をしたいんですけれども。1つ目は、これも記者の仕事ぶりで最近特に感じることなんですけれども。取材のときに、記者を連れて行くとずーっと、インタビューしてる相手の話をパソコンに打ち続けてる人が最近多いんです。 その記者って、全然相手に目を向けないで、上げないで、ずっとその内容を……。実は広報の方でも取材対応されてるときに、ずっと打ち続けてる方が結構いらっしゃるんですね。 何が言いたいかというと、何をそのとき話したかっていうのは、録音すればあとで聞き直せる。そのときに、相手がどういう顔をして、どういうような態度で聞いていたかっていうのを見ることは、すごく重要な情報だと思うんですね。 例えば記者も、何を言ってたかっていうのはあとで分かるので、その経営者の表情、その人は本当にそれを思って言ってるのか、口先だけで言っているのか。そこを見てほしいなっていうのを、すごく思うんですね。 広報の方は今度は逆に、取材をしている記者が、「はい、はい」って言ってるけれども、本当にわかって「はい」って言ってるのか、あんまり良く理解できてないのに「はいはい」って言ってるんじゃないのか、と。それは「はいはい」って言いながらも、何となく相手の表情や全体から醸し出す雰囲気から見えることってあると思うんですね。 そうすると、「はい、そうですね」と言ってたとしても、取材が終わって「さっきの何とかっていう部分は理解できましたか?」とか「分かりにくくありませんでしたか? ここはこういうことなんですよ」っていうフォローをできると思うんです。それが結局、きちんと正しく書いてもらうっていうことにも繋がってくると思いますし、お互いにとってもハッピーだと思うんですね。 そういうものだとずっと思って私自身取材してきて、最近その意を強くしたのが、この前オンラインで記事を書いたことで。山崎豊子さんという作家が亡くなって三回忌で、山崎豊子さんの編集者だった人に話を聞いたんです。 山崎豊子っていろんな作品、『白い巨塔』とか『大地の子』とか、『沈まぬ太陽』とか、大量の取材をしてそれを元に小説、フィクションを作り上げた人なんですけど、どういう取材をしたんですかと話を聞くと、山崎豊子という人は、必ずいつも相手の表情をずっと見ていて、語尾がどうだったか、語尾が消えるような語尾なのか、強く話すのか、自信なさげな、フェードアウトしてしまうような喋り方なのか、というところもよく聞いていたそうです。「そういうところにその人の本質があらわれるし、事実っていうものが浮かび上がってくるんだ」と言っていたそうで。 晩年、山崎豊子さんが脚を悪くして自分で取材に行けなくなって、編集者の人に代わりに行ってもらってたそうなんです。編集者は、取材に行って話を聞いてきたものをきれいに起こして、それこそ最初はですます調に文章として整えて提出したら、「私が欲しいのはこんなのじゃないの」と。 さっき言ったように、この人の語尾がどんな感じだったのか、口ぶりがどうだったのか、それを私は知りたいんだって言って。その次からは先方に頼み込んでビデオで撮影してもらって、音声も表情も撮って、返すようにしたと。 やっぱり真実って、そういう細部に宿ってる部分ってあると思うんですね。だから取材のときに、多分上司からちゃんと議事録とっとけよって言われてるからそうされてるのかなって思うんですけども、記者ならどこらへんに関心を持って聞いているのか、どこらへんが上手く伝わってなさそうなのかっていうのを、その表情や口ぶりを見るとだいぶ分かると思うので、そういうところにも、取材を受けるときには目を向けたら良いんじゃないかなというふうに思います。

「2.5人称」の視点をもつ

2つ目は、やっぱり広報の方って1番取材の窓口になる人たちですから。普段から付き合いありますし、飲みに行ったりもします。だけど、ある部分それは、我々は同じ方向を向いているけれども、向かい合う関係ではない、お互いだけで完結するものではないと思うんですね。記事を作るとか、読者に何か情報を伝えるっていうのは。 そこにあるのは、最終的には読んでもらう相手にとって有益なのか、どういうふうに伝わるのか、どんな価値を生むのかっていうことを、それぞれが考えて。 ただそれは、同じ方向なんだけども、記者が有益だと思うもの、価値があると思うものと、広報の人がそう思うことっていうのは、必ずしも一致しないと思うんですね。もしかしたら、完全に一致することのほうが珍しいかもしれない。 だけど、どっちもお互いに最終的に伝える読者に対して、どういうことを伝えたいのか、そこに伝えたいんだっていうところで、お互いに共通の認識であったり、あるいは共通の理解点があれば、良い記事ができると思うんですね。 そのときにやっぱり広報の方には、会社の論理だけで、「うちのトップがこれを伝えたがってるから、うちの会社としてこれがイチオシです」っていう視点だけじゃなくて、読者がどういうふうなものを求めているのかっていう観点からも、広報活動を考えることも大事だなと。 それが最後にある「2.5人称」ということにも関わってくるんですが、これは柳田邦男というノンフィクション作家が提唱してる言葉です。私はその解釈をちょっと変えてるんですけど、柳田邦男さんが言ってるのは、例えば事故調査委員会とかで専門家の方が詳しい事故のレポートを出す。それは専門家の視点に立ってすごく正しいんだけども、もう少し生身の人間、事故で被害を受けた人、あるいはその遺族とか関係者とか、そういう人たちの視点というものも頭に置きながら、客観性の高いレポート作るっていうのが大事なんじゃないですかっていうことを仰って。 我々の仕事もそうなんですね。記者の想いっていうものは大事で、自分はこの会社すごい会社だと思うからもっと多くの人に知らせたい。あるいはこの会社こんなことやって許せないと思うからこの不正について書きたい。その想いが大事なんだけれども、その想いだけで突っ走ってしまうと、読者が置いてけぼりになってしまう。そのどっかで、第三者的に見たらどうなのか、第三者的に見ると自分の言ってることっていうのは本当に受け入れられるのか、あるいは独りよがりの伝え方になってるんじゃないかということを確認することも大事だと思いますね。 ときには広報の方も、例えば発信の仕方として、社長が何かを発信する、それをそのまま伝えるんじゃなくて、「社長。この伝え方って、もっとこうした発信のほうが良いんじゃないでしょうか」っていうような提案ができれば、すごくいいと思うんですね。 それは外の目で見たときにどう受け止められるんだろうっていうものを加味して出てくるもので、広報の人のこれまでのキャリアの中でそこが出てくることもあるでしょうし、外からそういう意見が出てくることもあるでしょうし。 第三者的に見たらどうなのかっていう目で見たときに、感じることもあるでしょうけれども。広報の方は、外に向けた発信の出口でもあり、受信の入り口でもあるわけですから、外から見たときの目、自分の会社を第三者的に見た上で広報活動するということも大事だなと思います。 それは我々記者の仕事の仕方と何ら違いがなくて、大事なのかなと思いますね。どれくらい時間あるんだろう? 大堀航(以下、大堀氏) 今、ちょうど1時間です。お話に引きこまれてました。 西頭 いえいえ。

  
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