コーヒーを飲むと体に悪いのか?

栗原久氏(以下、栗原):「カフェインとカフェインレスの健康科学」ということで話を進めたいと思います。まず最初にクイズなんですが、本当にコーヒーは体に悪いんだろうか。あるいは、コーヒーを飲むとトイレが近くなる。これは本当なのか。あとコーヒーで会話はどうなるのか。コーヒーにいろいろな成分が入っています。それはどうなのか。美容に関して。こういった点について説明していこうと思います。

まず最初にコーヒーは体に悪いんだろうか。これを見ていきます。我々にとって一番体に悪いのは何かというと、死ぬか死なないか。寿命はどうなるかがあります。いまいろいろな生活習慣病があるんですけど、コーヒーが悪いという話があります。

でも実際は我々が普段食べているものよりも健康にいいんですね。なぜなら寿命がもう何十年も伸びています。それを考えるとですね。死亡リスクはコーヒーを飲んでる方のほうが明らかに低い。男性女性ともに死亡率が低い。これで見ると死亡リスクはあがらない。こういうことが言えます。

ポリフェノールは、日本人は約半分をコーヒーから摂っている。緑茶からは約16%。コーヒーからポリフェノールを摂っていることがデータとして出ています。

これはあくまでも統計データですけど、ポリフェノールの摂取量と肌のしみに相関関係がありまして、ポリフェノールをたくさん摂っている方はしみの量が少ないというデータがあります。

カフェインによって脳と運動のパフォーマンスが上がる

まずカフェインは脳を刺激します。いろいろなパフォーマンスが上がります。コーヒーと砂糖は脳の栄養になります。あとチョコレートとコーヒー。明らかに白湯を飲んだときよりもパフォーマンスが上がります。

あともう1つは、運動パフォーマンスも上がります。1500メートル走をやってみますと、コーヒーを量としては150mg、カップ2杯分くらい摂っています。すると約3秒短縮されたというデータがあります。

3秒というのは1500メートル走でどれくらいかといいますと20〜25メートルくらいの差。これだけの効果がある。

昼寝の直前にコーヒーを飲むと休息効果大

もう1つ重要なことがあります。我々はいまの時間はお昼を食べる、食べないにかかわらず眠くなります。いわゆる午睡。これに対してコーヒーを使うとどうなるかということですが、まず昼寝をしない場合、テストで間違いが増えるんですけども、これに対して昼寝だけをしたときは改善されます。

強い光、洗顔。これでも改善されるんですが、特に昼寝の直前にコーヒーを飲んでうたた寝すると非常に良い。これはいろいろな学校ですでにやられています。会社でもやっているところがあります。

ではなぜ午後に眠くなるかというと、午後の12時に体温が下がるんです。この体温の下がりが小さい子どもは非常に大きいです。だから保育園では昼寝の時間があるんですね。6歳くらいになると下がりが小さくなってくるので1日中耐えられます。

体温が午前4時に最低になります。ピークを過ぎて下がり始めると眠気を感じて、上がり始めると目が覚めます。このリズムを持っているだけでとても重要です。先ほどのコーヒーナップがなぜいいかというと、体温の下がるところに効くことで午後も快調にいられます。

脱カフェインコーヒーを飲めば睡眠を妨げられない

カフェインは脳を興奮させる。だから睡眠が浅くなる。これはカフェインのあまり良いところではないですね。実際にコーヒーを飲みますと入眠時間が遅くなる。それと全体の睡眠時間が短くなる。どうするかというと、脱カフェインコーヒーを飲む。

脱カフェインコーヒーはどうなのか。カフェインは水に意外と弱いんです。ですから最初に水でカフェインを抜いてしまいます。で、残ったもの。その中にいろいろな香り成分ですとかポリフェノールも残ります。コーヒーの味、香りを残して、カフェインだけ抜きます。香りは残ります。

実は香りは脳に影響を及ぼします。なぜかというと匂いは一番原始的な感覚です。だからちょっとした香りの変化で気分を良くすることもありますし、悪化することもあります。

実はコーヒーの香りは人間が作った最高の贈り物と言われています。こんなに素晴らしい香りは世界でコーヒー以外にないですね。この香りを嗅ぐことによって脳のα波、これは目をつぶったときに出る脳波です。気分が安定したときに出ます。α波が非常に出る。

そうするとこの香りで気分が良くなるので、睡眠に対してもプラスの効果があります。カフェインがなければ脳が興奮しない。それで睡眠につながるということになるわけです。

カフェインの半減期は健康な人で4.5時間

あともう1つはですね、睡眠の問題で高齢者。睡眠を時間軸で見ると、高齢者の特徴は中途覚醒があって、ノンレム睡眠。これは脳が休む睡眠ですけど、深い睡眠がほとんどないですね。ところが若い人は深い睡眠ができるわけですけど、高齢者はちょっとしたことで眠れなくなります。

高齢者は腎臓とか肝臓の働きが弱くなりますので、いつまでたってもカフェインが体の中に残るわけですね。だいたい健康な人で2.5〜4.5時間に半分になるわけですが、高齢者はもっと長くなります。未熟児はもっと長いです。だから妊婦さんはコーヒーをたくさん飲むのは問題かもしれない。だいたい200mg以上は避けたいです。成人は300mgまで大丈夫です。

私が実行しているのが、68歳になるのですが、午後4時以降はカフェインが入った飲料は避けています。それはなぜかというと、カフェインの半減期は5時間です。どうしてもカフェインは残っているわけですね。睡眠に影響しますので、できれば午後4時以降はカフェインレスにする。これはコーヒーの場合ですね。

あと緑茶の場合でしたら、一番煎は捨てて二番煎にするという配慮が必要かもしれないです。高齢者施設でそれをアドバイスをしたら、よく眠れるようになったという話も伺っています。

コーヒーは1日五杯程度までがおすすめ

質問者:1日にどれくらいまでカフェインはとっていいんですか。

栗原:カフェインについては健康な成人の場合、300mgまでは大丈夫。これはコーヒーに換算しますと、だいたい5杯程度になりますね。それくらいまでなら大丈夫だろうと。

ただし妊婦の場合にはもっと少なく、200mgくらい。それと子どもの場合も成人より少なく。あとどうしても高齢者は長く作用が続きますので、高齢者は200mgぐらいに抑えたほうがいいかもしれないですね。