マヨネーズ一気飲みで内定ゲット?

石渡嶺司(以下、石渡):みなさんどうも、こんばんは。大学ジャーナリストの石渡と申します。呼ばれた側の私が、なぜこんなコメントをしているのかわかりませんが(笑)。ニコニコ動画ひろゆき対談ということで、私が司会のひろゆき、ではなくて、大学ジャーナリストの石渡でございます。どうぞよろしくお願いします。

(一同拍手)

西村博之(以下、ひろゆき):わりとテンパってますね(笑)。というわけで、「就活のしきたり 踊らされる学生たち」ということで、まず就活の本『就活のしきたり』がこちら。

石渡:こちらでございます。よろしくお願いします。

ひろゆき:じゃあ、どんな本なのか説明してもらっていいですか?

石渡:はい。就活のいろんな噂ですとか、都市伝説、それからシステム全般についても私なりにいろいろ調べまして。しかも見開き2ページで。しかも、①説教調にしない ②「その人次第」とか、「正直微妙」とか、曖昧な言い方をしない。それから、③実用性も大事だし読みやすさ重視。という3つの条件を担当編集者から言われて、いろいろ書き直して書いたという一冊でございますので。

ひろゆき:例えばどんな感じの説明をしてるとかあります?

石渡:そうですね。一番最初の章が、就活伝説なんですけど、「マヨネーズを一気飲みしましたけど、内定を採れたという話を聞きました。本当ですか」とかですね。確かに、大昔はあったんですよ。

ひろゆき:あ、そうなんですか? マヨネーズを一気飲みしただけで受かるって?

石渡:はい。とある食品会社で。

ひろゆき:どこですか?

石渡:そこまで私も調べてないんですけど。まあ、マヨネーズですからね、おそらくキューピーとか、某健康マヨネーズとか、そういうところなんじゃないかなと。全然フォローになってませんけど。初筆は87年。

ひろゆき:じゃ、受かったっていうのは事実としてあるんですね。

石渡:はい。

ひろゆき:へえ。今はそれやっても受からない?

石渡:職活伝説ってのは、ほかの話もそうなんですけど、最初の一人は面白いんですよ。

ひろゆき:はいはいはい。そうですね。見たことがないから。

石渡:ええ。でも次の人は、なんかこいつ、真似したな、と。なんかつまんねえよ、と。で、やっぱり落っこちると。

ひろゆき:ということは、誰もやってないネタだったら、受かる可能性があるんですか?

石渡:うーん。ゼロではないですけど、強くはおススメしません。昔だったら、そういう変わり者を雇う余裕も多少ありましたけど、今はそういうのあるのかって言ったら、正直厳しいのかと思います。

ひろゆき:ほう……。まともな感じですね(笑)。

石渡:ええ(笑)。

"まとまり"のある人材がウケる

石渡:あの、すみません。こんな感じでいいんでしょか? (この番組に出演するにあたって)いろんな人に注意を受けまして。ひろゆきさんは理路整然とした揚げ足取りが上手だから注意しろとか。

ひろゆき:ちょっとすみません。何を注意するんですか?(笑)。

石渡:いえいえ、私が注意しろということです。

ひろゆき:進めてください、じゃあ。

石渡:えーっ。いや、そんなこと言わずに、進めてくださいよ。

ひろゆき:そもそも、私、段取りを知らないんですけど。

石渡:私もイマイチわかってないんで。

ひろゆき:では、例えば就活。ほかの所でこういうのがあって、石渡さんが調べた結果こうでしたよ、みたいなのがあると、どんな本だかわかりやすいじゃないですか。

石渡:ありがとうございます。整理していただいて。よかった。私最初(ひろゆきさんて)、すごく怖い人だと思ってたんですよ。絶対「シャドウって何ですか?」って言うのやめてくださいとかですね。

ひろゆき:はいはい(笑)。

石渡:今の「はいはい」っていうのと同じですよね。マヨネーズ一気飲みとか、就活伝説ってのは。最初だから面白いんであって、その話が2度3度出たらつまんないよっていう。

ひろゆき:でも逆に言うと、誰も見ていないものがあるんだったら、学歴だったりとか条件に関係なく、いきなり「ああ、面白い」っていくかもしれないですよね。

石渡:よっぽど変わったベンチャー企業であれば、その可能性もあるでしょうけど。そこそこの企業だとやっぱりまとまりを重視するので。

ひろゆき採用は"特殊能力"重視?

ひろゆき:変わったベンチャー企業。

石渡:さっきお話されてましたね。

ひろゆき:今日技術担当やってるナカジョウ君は、ドワンゴって会社に一芸採用で受かった人なんですけど。カメラ向けられます?

石渡:その話聞いてすごいなって思ったんですよね。

ひろゆき:学生プロレスをやっていて、痛みを感じない男っていう特技で来て、いくら殴ってもいいですよって言われて、殴ってみたら大丈夫だったから、「あ、面白いわ」ってことで受かった。

石渡:ちなみにコメントで「今やってくれ」って(笑)。誰かが殴れってことなんですかね?

(会場笑)

ひろゆき:それは、音声とかもやってるのでね。仕事があるので。

石渡:わかりました。それはちょっとナシってことで。ユーザーの方すみません。

ひろゆき:そういう意味で、採る側、僕はその時採る側の視点で見ていたんですけど、似たような人であれば、例えば、同じような勉強をしてました。同じような喋り具合ですっていう人が10人いるんだったら、一人採ってもだいたい一緒じゃないですか。要は、その感性を持っている人は一人いれば充分で、同じ感性の人が2人いてもしょうがないじゃないですか。

そうすると、特殊な能力を持っている人を入れたほうが、感性だったり、知り合いだったり、コネクションだったりっていう広がりがあるので。僕は特殊能力アリ派なんですよ。で、ナカジョウ君もアリかなって思ったんですけど、実際彼が使えてるかどうかは、定かではないんですが(笑)。

石渡:それはドワンゴの方に、あとでゆっくり。

ひろゆき:はい(笑)。

指示通りのESを作るだけでいいのか? 就活成功の極意

石渡:全くその通りだと思います。ただ、一方で、ルールをちゃんと守れるかどうかっていうのも大事なんですよ。間違いなくありがちなのが、エントリーシートに余計なものをくっつける。例えば、「私は御社が好きで好きでしょうがないです。ですから企業レポートをまとめました。詳しくはこのCD-ROMにまとめましたので、お読みください」と。

もちろん、そこまでやるんだっていう熱意は買えるんですが、読む側って、やっぱり大変なわけですよ。いちいちCD-ROM開けて、読まなきゃいけないですよね。言いたいことはエントリーシートに書けっていう指示を出してるんですから、その指示を守れないってことは、入社してもこいつはルールを守れない社員になる可能性が高いなっていうことで、十中八九、落っこちる可能性がが高いと思います。

ひろゆき:それって2つに分けられると思うんですけど、普通にエントリーシートを書いて、普通に受けて、普通に面接をして受かるタイプの、優秀な学生ならいいと思うんですよ。その正統派戦略で。でも正統派政略で受からなそうな人のほうが、実は世の中多いわけじゃないですか。

例えば、20社受けました。1社も受かりませんでしたって人って、多分、正統派戦略をやっても受からない確率のほうが高いですよね。そしたら飛び道具を狙ったほうが、逆に受かる確率が上がりません?

石渡:うーん……。どうでしょう。やっぱり会社なので、一発芸とかやる学生の方とかもいて、まあ、面白いですけど、それが仕事とどう関係あるの? っていう時に、ちょっとやっぱり辛いのかなと。

ひろゆき:さっきのだと、会社概要をCD-ROMにまとめてくるっていうのが、コンサル系だったりマーケティング系だったら、ちゃんと仕事がすでにできてるじゃないですか。物事を調べてまとめるっていうのが。それは、即戦力として全然行けると思うんですよね。

石渡:もちろんあれですよ、自由に書いてくださいと。何をくっつけても構いませんっていう会社だったら、それはどんどんくっつけるべきなんです。そういう能力を見たいと、会社がはっきり指示を出してるわけですから。

だけど、指示を出してないってことは、指示を出してなくても今の企業っていうのは、エントリーシートに結構好きなことをいろいろ書かせたり、変化球の質問をいっぱい出してくるので、そこであれこれ書いたほうが、仮に優秀じゃなかったとしても、飛び道具的なものがあったとしても、そっちのほうで出していったほうがいいのかなって思います。

石渡氏直伝! 受かるESの書き方

ひろゆき:でも優秀じゃない人のエントリーシートって、多分よくある感じのになって、採用されないのが続くじゃないですか。そうすると、一か八かで賭けない限り受かんないと思うんですよね。「100社受けました」みたいな人って、多分101社目も落ちると思うんですよ。それは100社がいらないって判断するようなエントリーシートしか書けない人なわけじゃないですか。

そうするともう、一発逆転やることしか、その人の受かる道はないと思うんですけど。そりゃ、1000社受けたら1社受かるかもしれないですよ。でも、100社受けてだめなら、200社でも多分ダメだと思うんですよ。そういう人に、正攻法で「エントリーシートがんばりましょう!」って言っても、多分ダメじゃないですか?

石渡:それ、エントリーシートの書き方ですね。落っこちる人って、エントリーシートの書き方が優秀な人でも、優秀じゃない人でも、自分の見せ方がヘタなんですよ。はっきり言っちゃえば、つまんない。

ひろいき:ほう。

石渡:具体的に言うと、ものすごく抽象表現を使いたがる。私にはコミュニケーション能力があります、私にはイベントの運営能力があります、とか。もちろん抽象表現使ってもいいんですよ。変わった表現なんて、そうそう使えるものじゃないですから。

例えば「イベントの運営能力があります」だったら、何がイベントの運営能力、どんなことがあるからそう言いきれるのか。という具体的な話を説明すればいいのに、また、「私にとってイベントとは、人を集めることが大事で」とか、抽象表現の上に、抽象表現を使うというパターンが多くて。

ひろいき:それって、イベントの運営をするっていう実績のある人じゃないですか。実績のある人が表現がヘタだってことなら、直しようがあるんですけど、実績の無い学生がほとんどじゃないですか。大抵大学生って、遊んでるだけじゃないですか。

石渡:それとか、アルバイトをやってるだとかですね。そういう話もまったく同じなんです。『就活のしきたり』でも書きましたけど、「アルバイトの話で受かるって話と、落っこちるって話があるんですけど、どっちが本当ですか」って。どっちも正しいんですよ。

受かる人は、アルバイトの話をすれば受かります。「アルバイトしかやっていませんでした」と。別に、セブンイレブンでもマクドナルドでも吉野家の牛丼でもなんでもいいんですけど、ある程度働いていれば何か言えることがあるんですよ。例えば、深夜働いていたら、変なお客さんが来て大変だったとか。

ひろゆき:え、でも、深夜働いてて変なお客さんが来て大変だったって言われても、僕、採らないですよ? 来ますよね、それくらい。って話じゃないすか。

石渡:でも、そこから語れる、学べることってあるはずなんです。

ひろゆき:じゃあ、バイト経験のある学生に聞いてみましょうか? アルバイト経験のある学生さん、手あげてみてください。

(学生、全員挙手)

ひろゆき:その中で面白いエピソードあるよ、っていう人。

(全員手を下げる)

ひろゆき:いないから、じゃ、はい。あなたから。ではバイトの経験を。就職の面接だと思って、こういう能力がありますよ、とか、こういう体験をしましたよって、カメラに向かって。

学生:僕は、予備校で進路指導のアルバイトをしてるんですけれども、自分が進路指導委員で、親子相手に進路指導をやることがあるんですけど。かなり、大学受験っていうテーマなんで、デリケートなんで、結構親子の間で僕の目の前でケンカする人もいるんですよ。それを、まあ、間を取り持って……ってことを就活で売っていこうかなって。今まだ考え中なんで、まとまってないんですけど。

石渡:いや、充分面白いと思いますよ。

ひろゆき:では、今の話を受かりやすく説明すると、どんな感じになるんですか? 嘘も交えて。

石渡:うそですか? まあ、あんまり嘘は……。

ひろゆき:いや、嘘でもつかないと、何でも無い人は何にも無いですよ?

石渡:まあ確かに。ただ、ゼロを100にってのは、さすがにまずいですけどね。3を100ならギリギリセーフ。

大学1年生から就活しても意味がない?

(注:この動画は2010年に放送されたものです)

石渡:今の大学生って、いつから就活を始めればいいんだと。早い人だったら、もう、1年生から始めるわけですよ。

ひろゆき:大学の1年から就活をするんですか?

石渡:はい。

ひろゆき:具体的に何をするんですか?

石渡:例えば1年生のうちからリクルートスーツを買って。大学が推奨するんです、買えと。

ひろゆき:1年から?

石渡:はい。で、就活の授業をやる時は、スーツを絶対来てこいと。来てこなかったら縛り首とまでは言いませんけど、入っちゃダメとか。

ひろゆき:へえー。何しに大学行ってるんですか、その人。

石渡:いや、だから、そういう大学もあるってことです。それはもう、3年生ごろから、ゼミですとか、就活特別講座ってことで、自己分析というのと適正検査。筆記試験などの対策をやらせるという大学ももちろんありますし。

ひろゆき:そういう大学って、やっぱり就職率いいんですか?

石渡:いや、早く始めたから受かる、って問題じゃないんですよね。大学受験と違って。

大学受験はやっぱり、一生懸命勉強したから東大に受かりました、早稲田に受かりました、あるいは落っこちました、というのがあり得るんですけど、就活っていうのは、頑張ったから絶対内定が採れるかっていうと、自己分析と適性検査を一生懸命がんばったから内定とれるかって言ったら、そういう問題でもない。

ひろゆき:そしたら、大学1年からやっても意味が無いんですか?

石渡:ぶっちゃけて言うと、私はあんまり意味がないと思ってます。

ひろゆき:ちなみにこれ、どこの大学ですか?

石渡:えっ……(笑)。私もちょっと、いろんな大学さんとのしがらみがございまして。それはすみません、ノーコメントということに。

ひろゆき:存在はするんですか? 関東?

石渡:いや、関東というか、いろんな地方に存在しますよ。

ひろゆき:結構あるんですか。

石渡:結構あります。

ひろゆき:へえー、そうなんだ。

石渡:それから、広い意味での就活ということであれば、これは具体名出してもいいでしょうけど、立教でも法政でも、早稲田でも、関大もあったかな、キャリア講義っていいまして、「働くってことはどういうことなんだろう」とか、就活の一歩手前ですよね。そういうことを意識させるという講義があって。それは有名大学であっても、国立大学であってもやってます。

ひろゆき:そうなんですか。僕、そういうの受けたことがないんですよね。

石渡:私も正直、無いんですよ。そういうのが出来たっていうのは、おそらく私やひろゆきさんが卒業した後の話です。2000年代前半以降の話ですね。

ひろゆき:じゃあ、基本的にこれ(大学1~3年生)はあんまり意味が無いってことで、いいんですか。

石渡:あはははは(笑)。まあ、1年生から3年生は、普通にサークル活動するなり、アルバイトするなり、大学の講義受けるなり、普通の大学生活で、私は充分だと思ってます。

「学生時代の経験」は合否に関係ない?

ひろゆき:でも、逆に言うと、さっきの「大学の間何をやってましたか」って聞かれたときに、答えやすいことを持っていたほうが有利なわけですよね。

石渡:ああー、それもちょっと就活伝説ですね。私は正直嘘だと思います。よくあるのが、海外旅行とか留学ですけど、今時みんなどこだって行くわけで、珍しくも何ともないわけですよ。

ひろゆき:そうすると、石渡さんの知ってる中で、「これは役に立ったよ」みたいなのがあったりしません? 例えば、「家で4年間ネットゲーやってました」って、受かるわけないじゃないですか。

石渡:さすがにネットゲーを4年間やってましただと、正直キツいですけど、

ひろゆき:でも、レバノンに写真家として行ってましたってなると、それは採用される確率が上がると思うんですよ。

石渡:似たような例で、私が吉野家の牛丼のアルバイトの話をして、商社に内定したって人の話は知ってます。その一方で、レバノンの写真というのと非常に似ているんですけど、マレーシアの日経企業でインターンシップをやって、そこで、3週間か4週間かな、現地の企業の人事制度を構築しましたと。学生ながら。っていう話をしたら、軒並み落っこちたと。

ひろゆき:落ちたんですか。

石渡:落ちたんです。落ちて、代わりに持ってきた話が、靴屋さんのアルバイトの話。正直、吉野家とかセブンイレブンとかの話と五十歩百歩ですよ。でもその話をしていったら、何かしら受かっていったっていう。

ひろゆき:じゃあ、逆にどういう学生が受かるんですか?

石渡:やっぱり、何でもいいんですよ。レバノンに行こうが、吉野家に行こうが、東京都江東区のセブンイレブンでアルバイトをしていようが。

ひろゆき:でも、優秀じゃない学生で、「家でずっと酒飲んでゴロゴロしてました」って言っても、受からないじゃないですか。それだったら、会社に役に立つようなスキルで、例えば司法書士の資格を取りましたとか、経理の資格を取りましたとかだったら、それは受かりやすいじゃないですか。

石渡:いやあ、それはどうでしょう。

ひろゆき:そういうので、「受かりやすい何か」っていうのが無くて、何やってもダメだよって。じゃあ、ありのままで行って「ダメでした」っていう人に、アドバイスはどうするんですか?

石渡:そこはね、私は大いなる誤解だと思っていて。そもそも今の社会人だって、学生時代に何か変わったスキルがあっただとか、会社にすぐに役に立つ人材だったかというと、決してそんなことは無いわけですよ。採用する側も、ごくごく少数の企業では、神がかった経験があるのが大前提だ、ということになってますけど、ほかの企業は入社してから成長してくれればいいやって程度になってるんだ、と私は思いますけどね。

ひろゆき:そうすると、今受かる子っていうのは、真面目そうで、命令を聞きそうな子ってことですか。

石渡:いえいえ。いい意味で、力が抜けている。悪く言えばいい加減な人ほど決まりやすいです。逆に真面目な方ほど、ちょっと厳しいのかな、と。

『就活のしきたり』amazonへ