ソフトバンクグループ 2016年3月期 第2四半期 決算説明会

孫正義氏(以下、孫):孫でございます。よろしくお願いします。決算発表の場でコメントするのは適切じゃないかもしれませんけども、ソフトバンクホークスが2年連続で日本一になったっていうのは本当にうれしいですね。

野球もですね、必ずしも1人の選手が優れていればチームが優勝できるわけではなくて、いろんなバランスで決まるんだろうと思いますけども、そういうチーム作りをしていくのには、いろんな準備だとか、幸運だとか、いろんな物が必要になりますけども、おかげさまでソフトバンク会社全体の経営におきましても、いろいろな幸運もあって、これまで30数年間、継続して成長することができたというふうに思います。

もちろん山あり谷ありということでありましたけれども、最近思いますのは、本当に、それぞれに打っていた手が一つひとつ着実に良くなってきているなと感じております。

今日の決算発表の内容というのは、そういう意味では順調に、我々が成長しているということを表現できるようなものになっていると思います。

スプリント事業の解決の設計図が見えた

一点だけ、まだ十分じゃないとするならば、それはスプリントだというふうに感じますけども、こちらにおいても、今年の頭の段階においては、私は正直に決算発表の場で申しておりましたけれども、風邪も引いていたし、あんまり自信が無いと。

非常に前途多難といいますか、苦しくて長い戦いになると、正直に申し上げておりました。

しかし、おかげさまで、この3〜4ヵ月の間というのは、私はだいぶ自信が出てきたと。正直に申しまして、スプリントを反転、攻勢させていく設計図が見えたと。

あとはそれを実行に移していくプロセスは、もちろんこれから必要ですけれども、私自身としては、すくなくともハッキリとした道筋は見えたと。

いろんな問題があっても、解決の道筋が見えていないときというのは一番ストレスといいますか、フラストレーションも溜まりますし、難しいですよね。

まさに悩み深しという状況になりますけれども、少なくとも、どんなに今現在が難しくても、解決の設計図が見えた、糸口が見えたと、あとはそれぞ実行するのみだというときは、これから登る山が険しくても、楽しくて仕方がないと。

登山をすること自体が楽しいと。先の登る山がハッキリ見えるという状況というのは、まさに遠足前といいますか、登山前といいますか、非常にワクワクするものであります。

ちょうどYahoo!BBを開始して、最初はもう大赤字を出して、トンネルの先の光が見えないというときは本当に苦しい、長い戦いでしたけれども、途中からさまざまな意味で解決の糸口が見えて、トンネルの先の光が見えたというときには、その真っ暗なトンネルを歩いていても、見える先の出口の明かりで心がウキウキと沸き立つという感じがします。

私は今、毎日夜22時くらいから、スプリントのネットワークの会議をやっておりますが、この時間が待ち遠しくてしょうがない、と。夜の24時、1時、2時まで、長いときはやっておりますけれども、毎晩やっておりますが、この時間が今待ち遠しくてしょうがないというくらい、私にとっては楽しい時間の使い方になっております。そういう意味で私は非常にうれしく思っています。

売上高、EBITDA、営業利益

それでは早速決算の内容に入りたいと思います。業績です。今冒頭に申し上げましたように、売上、EBITDA、営業利益、本業の利益を表すのはここまでですけれども、それぞれ順調に伸びております。

純利益についてはマイナスですけども、これは去年の上期にアリババが上場したと。当然、上場したときに「これは一時益です」ということをハッキリと申し上げていたと思いますが、アリババが毎年上場するわけじゃないですね。

ですから何年に1回かの大きなグループ会社の上場、その一時益が上期に含まれておりましたので、それがない分だけ今年の上期の純利益はマイナス成長になっておりますけれども、それぞれ本業のほうは順調に伸びていると、うれしく思っております。

これがその内訳ですね。それぞれの部門別の売上。

それからEBITDA。EBITDAのほうも国内の通信は順調に伸びて、ヤフーその他順調ですが、スプリントがご覧のとおり改善し始めているということがおわかりいただけると思います。

営業利益も同じようにそれぞれ推移しております。合計の営業利益が21%増であったと。この規模で上期で6800億円、順調に伸びているといえるのではないかと思います。

国内通信事業で4200億円の利益

我々には2つ部門があります。事業資産の部門と投資資産の部門であります。まず事業資産の部門ですけれども、ソフトバンクの国内の通信事業、スプリント、ヤフー、その他の部門というふうになります。

その中でも、まず中心の国内通信について語りたいと思います。

国内の通信だけで、上期で4200億円の営業利益が出ました。まあ、一部には「儲け過ぎじゃないか」というご批判も最近あるようですけれども、我々企業としては、毎年利益を伸ばしていくというさまざまな努力をしなくてはいけないというのが、我々企業人としての使命でもありますので、これからも着実に業績を伸ばせるような、もちろんお客様の多様なニーズに応えて、より安い価格のサービスだとか、あるいはより高度なサービスだとか、さまざまな商品の品ぞろえ、多様なニーズに合わせた品揃えをし、他社とも競争しながら頑張っていかなければいけないと思っております。

iPhoneの国内販売シェア、継続してナンバーワンであります。

同じようにAndroidにおいても、前年対比で21%増ということで、ソフトバンクのモバイルと、我々の100%子会社でありますワイモバイル。こちらのほうを足すと、Androidのほうも21%増ということで、品揃えを強化していっております。

パケット接続率・通信速度で国内ナンバーワン

我々にとっての一番重要な製品・サービスというのはネットワークです。端末は各社が同じようなものを揃えておりますので、ネットワークを一番よくしていくというのが重要な使命ですが、おかげさまで、ネットワークは2年連続してナンバーワンになりました。

法人向け、それからクラウドサービス、こちらも顧客満足度でナンバーワンになりました。顧客満足度という物差しでいうと、ソフトバンクは従来低かったんですけれども、最近は着実に良くなってきたということであります。

国内の通信のほうのARPUですけども、4230円だったものが4190円ということで、通信のARPUは若干下がっておりますが、その分サービスARPUですね。こちらのほうが、去年の同じ時期よりも増えているということで、今後のソフトバンクの国内の通信ということでいえば、このこのサービスARPUですね。コンテンツだとかさまざまなサービスがありますが、こちらのほうをより伸ばしていくことが必要だろうと思います。

携帯の料金が高すぎるのではないかと一部ご指摘が出ておりますが、私は日本とアメリカと両方で経営しておりますので、両方の違いがより肌身に染みてわかるわけですけども、少なくとも日本の通信のネットワークはアメリカよりもはるかに進んでいると。そのネットワークのカバー、そして通信速度。おそらく世界で最も進んだ通信のネットワークが日本であろうと思います。

その世界で最も進んだ通信のネットワークを、アメリカよりもはるかに安い通信料金で提供していると。そのうえ、世界でiPhoneを一番安く提供しているのが日本であると。この点も、ぜひ多くのみなさんにも再認識していただきたいとこだなと。

日本は決して高い・悪いではなくて、世界中で売られているiPhoneが世界一安く売られているのが日本です。そして世界で一番優れたネットワークを提供しているのも日本であると。さらにその中で最も優れたネットワークを提供しているのがソフトバンクであるというふうに私は思っております。

NETFLIXとの国内独占提携

それに加えて、ソフトバンクは携帯だけではなくて、最近光ファイバーを家庭にサービスするという部分で日本で最も伸びているのがソフトバンクであるというふうに思っております。

家庭に光ファイバーと携帯・スマホ、これをセットでご利用いただくと、これからもっともっと、より楽しめる。

その事例がこちらですけども、従来型のサービスというのは、ケーブルテレビのインフラに、従来型のケーブルテレビの有料チャンネル。

ケーブルテレビの有料チャンネルというのは、基本的に番組が時間とともに組まれているという有料チャンネルの番組です。

しかし今時はケーブルのインフラではなくて光ファイバーのインフラで、つまりより高速なインフラで、しかも有料コンテンツも、番組型というよりは、NETFLIXのようにビデオ・オンデマンドということで、オンデマンド型がこれからの世界の潮流になると思います。

このオンデマンド型の番組配信という意味で、世界で今最先端、最も勢い良く伸び、最も大きな会社になったのがNETFLIXです。このNETFLIXとソフトバンクは日本国内で独占提携をしてお客様に提供し始めたと。これが今、実は急激に伸びているということであります。

ということで我々は、常に時代を先取りする会社として、インフラも、そしてその上のサービスも先取りするという形で、これからもやっていきたいと思います。

先ほども言いましたように、通信のネットワークが我々の一番本質的な商品ですけども、その通信のネットワークについても、国内で一番接続率がいいと。通信速度も一番早いと。

これは我々が内部で調査している統計値だけでなくて、外部のさまざまな第三者による調査結果でも、我々が接続率も、そして通信速度もナンバーワンであるという調査結果が出ています。このように我々は世界で最も進んだネットワークを提供していると自負しているところです。

ただ最近メディアでもいろいろと議論されていますけども、日本国内の通信料金が高いのではないかという説がありますので、それに対しては真摯に受け止めまして、お客様の多様なニーズにお応えしたい。

安いサービスをお求めになるお客様にはより安いサービスを提供するし、より高度なサービスをお求めになるお客様にはより高度なサービスを提供する。複合的なサービスをお求めのお客様にはそれを提供することで臨んでいきたいと思います。